人間活動と生態系の保全
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「生物基礎」の内容 (3) ア (イ) ㋑「生態系のバランスと保全」。
内容の取扱いは、人間の活動によって生態系が攪乱され、生物の多様性が損なわれることがあることを
扱うよう求めている。指導要領はこの単元で、生態系の保全の重要性を認識することまで求めている。
0. どういう論点か
人間の活動による攪乱(人為的攪乱)は、自然の攪乱と 2 点で違います。
規模が大きいことと、生物が経験したことのない種類であることです。
| 人為的攪乱 | 生物多様性への影響 |
|---|---|
| 森林の伐採・埋め立て | 生息地が失われる |
| 道路や堤防の建設 | 生息地が分断される |
| 外来生物の移入 | 在来種が捕食・競争で減る |
| 生活排水・農薬・肥料の流入 | 富栄養化・生物濃縮 |
| 温室効果ガスの排出 | 気候の変化で分布が変わる |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 外来生物=人間の活動によって持ち込まれた生物(もともと分布していなかった地域に)
- 分断は面積の減少だけの問題ではない(行き来できないと、小さな集団に分かれてしまう)
- 生物濃縮は上位の捕食者ほど濃度が高くなる(食物連鎖を通じて蓄積する)
1. 外来生物
根拠: 学習指導要領 生基-(3)-ア-(イ)-㋑
人間の活動によって、本来の分布域の外に持ち込まれて定着した生物を何という?
外来生物
もともとその地域にいた生物は在来生物(在来種)。
外来生物が在来生物を減少させるのは、どんな仕組みで起こる?
在来生物を捕食する・食物や生息場所をめぐって競争する
在来生物が経験したことのない関係が持ち込まれるため。
オオクチバスの移入によって、在来魚に何が起こったか?
捕食によって在来魚の種数や個体数が減少した
移入前後の調査を比べると読み取れる。
外来生物のうち、生態系や人の生活に大きな被害を及ぼすものを法律で指定した区分を何という?
特定外来生物
飼育・栽培・運搬・放出などが規制されている。
外来生物問題で「もとに戻す」ことが難しいのはなぜ?
定着後は個体数が多く、完全な除去が困難なため
入れないことが最も有効な対策になる。
2. 生息地の消失と分断
根拠: 学習指導要領 生基-(3)-ア-(イ)-㋑
生物多様性を損なう人間の活動として、最も影響が大きいものは?
森林の伐採や埋め立てなどによる生息地の消失
住む場所が無くなれば、そこに依存していた種は生きられない。
道路の建設などで生息地が分かれてしまうことを何という?
(生息地の)分断
行き来ができなくなる。
生息地が分断されると、小さな集団に何が起こりやすい?
個体数が少ないため、遺伝的な多様性が失われ、絶滅しやすくなる
面積が減ること以上に、分かれてしまうことが問題になる。
絶滅のおそれがある生物を何という?また、それを一覧にしたものを何という?
絶滅危惧種。一覧をレッドリスト(詳しい資料はレッドデータブック)という
分布や個体数の減少にもとづいて選ばれる。
人の手が入ることで維持されてきた里山のような環境では、放置すると何が起こる?
遷移が進んで環境が変わり、そこに適応していた生物が減ること
人間の活動が常に生態系を損なうとは限らない、という例。
3. 物質の蓄積と気候の変化
根拠: 学習指導要領 生基-(3)-ア-(イ)-㋑
分解されにくい物質が体内に蓄積し、食物連鎖を通じて高濃度になる現象を何という?
生物濃縮
DDT や有機水銀などで起こった。
生物濃縮で、最も高い濃度になるのはどの生物?
食物連鎖の上位にある捕食者
下位の生物を大量に食べるため、体内に蓄積していく。
大気中の二酸化炭素などが地表の熱を保つはたらきを何という?
温室効果
二酸化炭素やメタンは温室効果ガス。
地球温暖化が生物の分布に与える影響は?
生育・生息できる範囲が変わり、移動できない種や高山・極地の種が減る
バイオームの分布(単元 05)が動くことになる。
4. 保全のための仕組み
根拠: 学習指導要領 生基-(3)-ア-(イ)-㋑
開発が環境にどんな影響を与えるかを事前に調査・予測・評価する仕組みを何という?
環境アセスメント(環境影響評価)
人為的攪乱の影響を少なくするために行う。
環境アセスメントを事前に行う意味は?
影響を予測して計画を見直せるため、起きてしまった後では取り返せない攪乱を避けられること
生態系は大きな攪乱を受けると復元力を超えてしまう。
生態系が人間に与えている恩恵を何という?
生態系サービス
食料・水・木材、気候の調節、レクリエーションの場など。
生態系の保全が必要だといえる理由を、生物基礎の内容から挙げると?
生態系のバランスが崩れると復元力を超えて元に戻らず、生態系サービスも失われるから
種多様性の低下は、間接効果を通じて広く影響する。