資料と歴史の叙述
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「歴史総合」A (2) ア (ア) の「資料に基づいて歴史が叙述されていることを理解すること」。
中項目の頭書きは、そのために「遺物,文書,図像などの資料を活用し」と、扱う資料を名指ししています。
このノートの中身は資料の種類と扱い方の考え方で、突き合わせが要る年号や条文は置いていません。
0. 何を押さえるか
教科書に書かれた歴史も、誰かが資料を読み、そこから組み立てた叙述です。
資料の種類を知り、資料を読むときに何を確かめるかを知っておくと、同じ出来事が本によって違う書かれ方をしている理由が分かります。
| 資料の種類 | 例 | 読むときに気をつけること |
|---|---|---|
| 遺物 | 土器・道具・貨幣・建物の跡 | 文字が無くても分かることがある。何に使ったかは推定を含む |
| 文書 | 公文書・日記・手紙・新聞 | 書き手の立場と、誰に読ませるために書いたか |
| 図像 | 絵画・写真・地図・風刺画 | 描き手の意図や、切り取り方・誇張が入る |
取り違えやすい分かれ目は次の 2 つ。
- 一次資料は同時代の当事者が残したもの、二次資料は後の人が資料をもとにまとめたもの。教科書や研究書は二次資料
- 同じ資料から違う叙述が生まれるのは、資料が偽物だからとは限らない。どこに注目し、どう意味づけるかという解釈の違いから生まれる
1. 資料の種類
根拠: 学習指導要領 歴史総合-A-(2)-ア-(ア)
歴史を知る手がかりは、文字で書かれたものだけではありません。
物として残ったもの、絵や写真として残ったもの、人の記憶として残ったものも資料になります。
土器・道具・貨幣・建物の跡など、過去の人がつくり使った「物」として残る資料を何という?
遺物
文字の無い時代や、文字を残さなかった人々の暮らしを知る手がかりになる。
公文書・日記・手紙・新聞など、文字で書かれて残った資料を何という?
文書
書き手が何を見聞きし、どう考えたかが分かる。ただし書き手の立場から見た記録である。
絵画・写真・地図・風刺画など、目で見える形で残った資料をまとめて何という?
図像
文字では伝わりにくい様子が分かる。ただし描き手が何を選び、どう描いたかが入り込む。
戦争や災害を体験した人から話を聞き取り、記録して資料にすることを何という?
聞き取り(オーラル・ヒストリー)
文書に残りにくい、ふつうの人々の経験を残す方法。記憶は時間とともに変わりうるので、他の資料と突き合わせて使う。
2. 一次資料と二次資料
根拠: 学習指導要領 歴史総合-A-(2)-ア-(ア)
同じ出来事についての資料でも、その場にいた人が残したものか、後の時代の人がまとめたものかで性格が違います。
ある出来事と同じ時代に、当事者や同時代の人が残した資料を何という?
一次資料
条約の原本、当時の日記・新聞・写真など。
後の時代の人が、一次資料などをもとに出来事をまとめ直した研究書や教科書などを何という?
二次資料
読みやすくまとまっているが、まとめた人の解釈が入っている。
3. 資料を確かめ、解釈する
根拠: 学習指導要領 歴史総合-A-(2)-ア-(ア)
資料は、書かれていることをそのまま信じてよいとは限りません。
いつ・誰が・何のために残したかを確かめ、ほかの資料と比べて、はじめて叙述の根拠になります。
資料が本物かどうか、誰がいつ何のために作ったかを確かめ、内容がどこまで信頼できるかを吟味することを何という?
史料批判
歴史を叙述する前に、まず資料そのものを疑って確かめる。
一つの資料だけに頼らず、立場の異なる複数の資料を突き合わせる(諸資料の検証)のは何のためか?
書き手の立場による偏りや誤りを見つけ、確かな事実を見きわめるため
たとえば戦争の記録は、戦った双方の資料を比べると食い違うことがある。
同じ資料をもとにしても、人によって歴史の叙述が変わることがあるのはなぜか?
資料のどこに注目し、どう意味づけるかという解釈の違いがあるから
叙述が違うこと自体は誤りではない。それぞれがどの資料を根拠にしているかを確かめて比べる。
日本・清が朝鮮という魚を釣ろうとし、橋の上からロシアがそれをうかがう様子を描いた風刺画「魚釣り遊び」の作者は?
ビゴー(フランス人の画家)
明治の日本で風刺画を描いた。図像は描き手の見方を映すので、誰の目から見た絵かを確かめて読む。