室町時代の産業と都市の自立
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「日本史探究」B (3) ア (イ) の「村落や都市の自立」のうち、都市の側を扱います。
農業と手工業が伸びて商品が各地を行き交うようになり、その富を背景に、堺や博多、京都では町の人々が自分たちで町を運営するようになりました。
0. 何を押さえるか
室町時代には、生産の伸びに支えられて、商業・金融・交通が大きく発達しました。
商工業者は座をつくって特権を守り、流通は輸入した銭で回り、港や寺社のまわりに町が育ちました。
| 鎌倉時代 | 室町時代 | |
|---|---|---|
| 市 | 月 3 回の定期市(三斎市) | 月 6 回の定期市(六斎市)、常設の店(見世棚)も増える |
| 金融業者 | 借上 | 土倉・酒屋 |
| 運送・卸売 | 問丸(年貢の保管・輸送) | 問屋、陸上の運送は馬借・車借 |
| 貨幣 | 宋銭 | 宋銭に加え明銭(永楽通宝など) |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 座は、公家や寺社を本所と仰いで保護を受け、販売や製造の独占権を得た同業者の団体。自由な商売の場ではない
- 撰銭令は悪い銭の受け取りを拒むこと(撰銭)を制限する法。撰銭をすすめる法ではない
- 堺を運営したのは会合衆、博多は年行司。京都は町衆が町ごとにまとまった
1. 農業と手工業の発達
根拠: 学習指導要領 日本史探究-B-(3)-ア-(イ)
土地の利用が進み、各地でその土地ならではの産物が生まれました。
室町時代、畿内などで一年のうちに稲・麦・そばを作るようになったことを何という?
三毛作
鎌倉時代に西日本で広まった二毛作が、さらに進んだもの。肥料として刈敷・草木灰に加え、人の糞尿(下肥)も使われた。
京都の西陣など、各地で特色ある産物が作られるようになったのはなぜか?
農業の余力が生まれ、商品として売るための手工業が各地で発達したから
西陣の織物、美濃の紙、備前の刀など、地名と結びついた特産品が生まれた。
2. 座と貨幣
根拠: 学習指導要領 日本史探究-B-(3)-ア-(イ)
商工業者は同業者の団体をつくり、有力な公家や寺社の保護を受けて営業の特権を得ました。取り引きには、主に中国から入った銭が使われました。
室町時代の商工業者が、公家や寺社を本所として保護を受け、営業の独占権を得た同業者の団体は?
座
座の人々は本所に座役を納め、その代わりに製造や販売の独占を認められた。
石清水八幡宮を本所とし、荏胡麻の仕入れや灯油の販売を独占した座は?
大山崎の油座
広い地域で独占権を認められた代表的な座。
日明貿易で輸入され、宋銭とともに室町時代に流通した銭の代表は?
永楽通宝
日本では朝廷も幕府も銭を造っていなかったので、流通する銭は主に中国から入ったものだった(国内で私的に造られた粗悪な私鋳銭も混じった)。
取り引きで質の悪い銭を嫌って受け取りを拒むことを何といい、幕府や大名はそれにどう対応したか?
撰銭。撰銭令を出して、受け取りを拒んでよい銭と拒めない銭を定めた
粗悪な私鋳銭などが混じり、撰銭が流通を妨げたため、ルールを定めて取り引きを円滑にしようとした。
室町時代に高利貸しとして栄えた業者は?
土倉・酒屋
酒屋は酒造りの富で金融も営んだ。土一揆で襲われたのはこれらの業者で、幕府は土倉役・酒屋役を課した。
3. 交通の発達
根拠: 学習指導要領 日本史探究-B-(3)-ア-(イ)
商品が遠くへ運ばれるようになると、運送や卸売を専門にする業者が現れました。
室町時代、馬の背に荷を載せて陸上の運送を担った業者は?
馬借
京都に物資を運ぶ大津・坂本などに多かった。1428 年の正長の土一揆の口火を切ったのも近江の馬借だった。
鎌倉時代の問丸が発展し、商品の中継ぎや卸売を専門に行うようになった業者は?
問屋
港などの交通の要所で、商品の保管・輸送から売買の仲立ちまで担った。
遠く離れた土地の間で、現金を運ばずに支払いを済ませるしくみを何という?
為替
割符という手形が使われた。年貢の送金などにも用いられた。
4. 都市の自立
根拠: 学習指導要領 日本史探究-B-(3)-ア-(イ)
寺社の門前や港、交通の要所に町が育ち、なかには富裕な商工業者が自分たちで町を治めるところも現れました。これが都市の自立です。
寺社の門前に発達した町、浄土真宗の寺院を中心に発達した町を、それぞれ何という?
門前町、寺内町
門前町の例は伊勢の宇治・山田や信濃の長野、寺内町の例は摂津の石山や河内の富田林。
日明貿易などで栄えた堺で、町の政治を行った豪商たちの組織は?
会合衆
36 人の豪商が町を運営したとされる。周囲に濠をめぐらし、自治都市として栄えた。
博多で、町の政治を行った豪商たちの組織は?
年行司
堺の会合衆と並ぶ、自治都市の担い手。
京都で、町ごとにまとまって自治を行った富裕な商工業者を何という?
町衆
町衆は応仁の乱で途絶えた祇園祭を復興させた。町が集まった町組という単位でも自治を行った。