正規分布
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 数学B (2) 統計的な推測 ア (ウ)「二項分布と正規分布の性質や特徴について理解すること。」のうち、正規分布。
0. どういうまとまりか
身長や測定の誤差のように、連続した値をとる確率変数では、1 つ 1 つの値の確率ではなく、範囲に入る確率を曲線の下の面積で表します。
その代表が、平均を中心に左右対称な山の形をした正規分布です。どんな正規分布も、標準化すれば 1 枚の正規分布表で確率が求められます。
| 手順 | すること |
|---|---|
| 1. 標準化 | が に従うとき とおく。 は標準正規分布 に従う |
| 2. 範囲を に直す | を に直す |
| 3. 表を引く | 正規分布表の を、対称性と「半分は 0.5」で組み合わせる |
分かれ目は次の 3 つ。
- 連続型では 。確率は面積で、 と の違いは確率に効かない
- の 2 つ目は分散。標準化で割るのは標準偏差 ( なら 10 で割る)
- 正規分布表は 0 から までの面積。 より右は から引き、負の側は対称性で正の側に移す
1. 連続型確率変数と確率密度関数
根拠: 学習指導要領 数学B-(2)-ア-(ウ)
さいころの目のようにとびとびの値をとる確率変数に対して、長さや時間のように連続した値をとる確率変数を連続型確率変数といいます。
連続型確率変数 の確率密度関数 とは? 確率 とどう結びつくか?
が、曲線 と 軸、2 直線 、 で囲まれた部分の面積になるような関数
曲線 を の分布曲線という。 の値そのものは確率ではない。
確率密度関数 がいつも満たす 2 つの性質は?
つねに 。曲線 と 軸の間の面積は全体で 1
「確率は 0 以上」「確率の和は 1」の、連続型での言いかえ。
連続型確率変数 で、 はいくらか? そこから何が言えるか?
。 と は等しい
1 点の上には幅がなく、面積が 0 になる。等号がつくかどうかを気にしなくてよい。
2. 正規分布
根拠: 学習指導要領 数学B-(2)-ア-(ウ)
平均 、標準偏差 の正規分布を と書きます。その分布曲線を正規分布曲線といいます。
が正規分布 に従うとき、 の期待値と標準偏差は?
、
は normal の頭文字。かっこの 2 つ目は分散 で書くので、 の標準偏差は 10、 の標準偏差は 4。
正規分布 の分布曲線(正規分布曲線)の性質を 3 つ。
直線 について対称で、 のとき最大。 軸を漸近線とする。曲線と 軸の間の面積は 1
対称なので、。
正規分布曲線は、 や を変えるとどう変わるか?
を変えると形はそのままで左右に平行移動する。 が大きいほど山が低く横に広がり、小さいほど山が高く の近くに集まる
面積はいつも 1 なので、横に広がれば山は低くなる。
が に従うとき、 が 、、 の範囲に入る確率は、それぞれおよそいくらか?
、、
約 68%・95%・99.7%。 や の値によらない。平均から標準偏差の 3 倍より離れることは、ほとんど起こらない。
3. 標準化と正規分布表
根拠: 学習指導要領 数学B-(2)-ア-(ウ)
平均 0、標準偏差 1 の正規分布 を標準正規分布といいます。 に対する確率 を表にまとめたものが正規分布表です。
が正規分布 に従うとき、 を標準化するとは?
とおくこと。 は標準正規分布 に従う
平均を引いて、標準偏差で割る。「平均から標準偏差の何倍だけ離れているか」に直すことになる。
正規分布表にのっている値は、標準正規分布のどの部分の確率か?
(0 から までの面積)
たとえば なら、行「1.9」と列「.06」の交わるところを読んで 。 より左全部の面積ではない。
正規分布表の値 を使って、 と を表すと?()
、
右半分の面積が 0.5 なので、 より右は 0.5 から引く。負の側は、 について対称なので正の側と同じ面積。
標準正規分布で、 となる の値は?
正規分布表で 。左右合わせて 。 でいえば、 の範囲に約 95% が入る。
4. 二項分布の正規分布による近似
根拠: 学習指導要領 数学B-(2)-ア-(ウ)
二項分布 の確率を ごとに足すのは、 が大きいと現実的ではありません。 が大きいとき、二項分布のグラフは正規分布曲線に近づきます。
が大きいとき、二項分布 はどんな正規分布で近似できるか?
()
平均 、分散 をそのまま引きつぐ。標準偏差は 。
が二項分布 に従い、 が大きいとき、標準正規分布に近似的に従うのはどんな確率変数か?
硬貨を 400 回投げて表が出る回数 なら、、 で、。
練習問題
以下では、正規分布表の値として、問題文に示したものを使ってください。
問 1 確率変数 が標準正規分布 に従うとき、 を求めよ。ただし、、 とする。
方針 正規分布表にのっているのは「0 から まで」の面積だけ。求める範囲 は 0 をまたいでいるので、0 で左右に分け、負の側は対称性で正の側に移してから足す。
- 範囲を 0 で分ける。 は、 の部分と の部分を合わせたもの。
- 左の部分は、標準正規分布の曲線が について左右対称なので、 の面積と等しい。その値は
- 右の部分は、与えられた値をそのまま使って
- 2 つを足す。
ここで間違えやすい 0 をまたぐ範囲は「足す」。 と引くのは、 のように 0 の同じ側にある範囲のとき。
問 2 確率変数 が正規分布 に従うとき、 を求めよ。ただし、 とする。
方針 は正規分布 に従うが、正規分布表は標準正規分布のものしかない。そこで を標準化して に直し、 を の範囲に書きかえる。求めるのは片側(右側)の面積なので、右半分の 0.5 から表の値を引く。
- から、平均は 50、標準偏差は 10(かっこの 2 つ目は分散 )。
- 平均を引いて標準偏差で割る。 とおくと、 は標準正規分布 に従う。
- のとき、。よって は と同じこと。
- は、右半分(面積 0.5)から の部分(面積 0.4772)を除いたもの。
- 引き算をする。
ここで間違えやすい 表の値 0.4772 は「0 から 2 まで」の面積で、「2 以上」の面積ではない。そのまま答えにしない。
問 3 ある試験の受験者 1000 人の得点は、平均 60 点、標準偏差 15 点の正規分布に従うとみなせる。84 点以上の受験者はおよそ何人いるか。ただし、 とする。
およそ 55 人
方針 得点 は正規分布 に従うとみる。まず、84 点以上になる確率(全体に対する割合)を、 を標準化して求める。84 点以上は片側(右側)なので 0.5 から引く。最後に、その割合を受験者 1000 人に掛けて人数にする。
- 得点を とし、平均 60 を引いて標準偏差 15 で割る。 とおくと、 は に従う。
- のとき、。よって は と同じこと。
- は、右半分(面積 0.5)から の部分を除いたものなので、
- 84 点以上の割合が 0.0548 なので、人数は
- 人数なので整数に丸めて、およそ 55 人。
ここで間違えやすい 求めた 0.0548 は確率(割合)で、まだ人数ではない。全体の人数を掛けるのを忘れない。
問 4 硬貨を 400 回投げるとき、表が 220 回以上出る確率を、正規分布による近似を用いて求めよ。ただし、 とする。
およそ
方針 表が出る回数 は二項分布 に従うが、220 回から 400 回までの確率を 1 つずつ足すのは現実的でない。 は大きいので、同じ平均と分散をもつ正規分布に従うとみる。標準化するのは回数 で、220 回以上は片側(右側)の確率である。
- は に従う。期待値は なので、
- 分散は なので、
- 標準偏差は分散の正の平方根なので、
- が大きいので、 は近似的に正規分布 に従う。 とおくと、 は近似的に に従う。
- のとき、。よって は にあたる。
- は、右半分(面積 0.5)から の部分を除いたものなので、
- 近似を使ったので、答えは「およそ 」。
ここで間違えやすい 標準化で割るのは、分散の 100 ではなく標準偏差の 10。
問 5 さいころを 720 回投げるとき、1 の目が出る回数が 100 回以上 140 回以下である確率を、正規分布による近似を用いて求めよ。ただし、 とする。
およそ
方針 1 の目が出る回数 は二項分布 に従う。 は大きいので、同じ平均と分散をもつ正規分布に従うとみて、回数 を標準化する。求める範囲は平均をはさんだ両側なので、対称性を使って表の値を 2 倍する。
- は に従う。期待値は なので、
- 分散は なので、
- 標準偏差は分散の正の平方根なので、
- が大きいので、 は近似的に に従う。 とおくと、 は近似的に に従う。
- 範囲の両端を に直す。 のとき 、 のとき
- よって、求める確率は にあたる。
- 0 について左右対称なので、 の面積の 2 倍。
- 近似を使ったので、答えは「およそ 」。
平均から標準偏差 2 つ分の範囲なので、約 95% になる。
問 6 ある学年の生徒の身長は、平均 170 cm、標準偏差 6 cm の正規分布に従うとみなせる。平均を中心として、全体の約 95% の生徒の身長が入る範囲を求めよ。ただし、 とする。
158.24 cm 以上 181.76 cm 以下
方針 これまでとは逆向きで、確率(0.95)が先に決まっていて、範囲を求める問題。身長 は正規分布 に従うとみる。まず、標準正規分布で確率が 0.95 になる の範囲を、平均を中心にした両側で決める。それから、標準化の式を逆にたどって の範囲に戻す。
- 両側で 0.95 なので、片側(0 から まで)は半分の 。与えられた値から、これは のとき。
- 対称性から、 となる確率は
- 標準化の式 を入れると、
- 各辺に 6 を掛ける。 なので、
- 各辺に 170 を足す。、
- よって、。つまり 158.24 cm 以上 181.76 cm 以下。
ここで間違えやすい 0.95 をそのまま表で探さない。表の値は片側の面積なので、半分の 0.4750 に対応する 1.96 を使う。
【発展】正規分布の確率密度関数の式と、連続型確率変数の期待値の定義は?
の確率密度関数は 。連続型確率変数の期待値は
は自然対数の底(、数学Ⅲで学ぶ)。 のとる値の範囲が のとき、とびとびの値の「値 × 確率の和」を積分に置きかえたものが期待値で、分散は 。
数学Bでは、この式を使って計算することは求められない。確率は正規分布表から読む。