期待値
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 数学A (2) 場合の数と確率 ア (ウ)「確率の意味や基本的な法則についての理解を深め,それらを用いて事象の確率や期待値を求めること」のうち、期待値。
0. どういうまとまりか
くじの賞金やゲームの得点のように、結果によって値が変わるとき、1 回あたり平均してどれだけ見込めるかを表すのが期待値です。
それぞれの値にその値をとる確率を掛けて、全部を足します。
| 値 | … | 計 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 確率 | … | 1 |
期待値は 。
分かれ目は次の 3 つ。
- 表を作り、確率の合計が 1 になることを確かめてから掛けて足す(場合の落ちに気づける)
- 期待値は 1 回ごとに必ず出る値ではなく、何回も繰り返したときの平均的な見込み
- 有利・不利は、期待値どうし(または期待値と参加費)を比べて決める
1. 期待値の定義
根拠: 学習指導要領 数学A-(2)-ア-(ウ)
ある試行の結果によって値 、、…、 のどれか 1 つをとり、それぞれの値をとる確率が 、、…、 であるとします。
値 、、…、 をとる確率が 、、…、 のとき、期待値の定義は?
(値 × その値をとる確率 の和)
になっていることを先に確かめる。
期待値を求めるとき、値と確率の表を作ってまず確かめることは?
確率の合計が 1 になっているか
1 にならなければ、場合の落ちか二重数えがある。値が 0 の場合も、表からは落とさない(掛けて 0 になるだけ)。
さいころを 1 回投げて出る目の期待値は?
。期待値は、実際には出ない値(3.5)になることもある。
硬貨 3 枚を投げて表の出る枚数の期待値を求めるとき、値と確率の表はどうなるか?
0 枚: 、1 枚: 、2 枚: 、3 枚:
期待値は 。
2. 期待値の意味
根拠: 学習指導要領 数学A-(2)-ア-(ウ)
期待値は「平均的に見込まれる値」です。同じ試行を何回も繰り返すと、得られる値の平均は期待値に近づいていきます。
期待値とは、どんな値を表しているか?
同じ試行を多数回繰り返したときに、1 回あたり平均的に見込まれる値
1 回やれば必ずその値になる、という意味ではない。
賞金の期待値が 45 円のくじを 1 回引くと、45 円もらえるか?
もらえるとは限らない
1 回ごとの賞金は 0 円や 1000 円などのどれか。多数回引いたときの 1 回あたりの平均が 45 円に近づく、という意味。
くじ 100 本のうち、1000 円が 1 本、500 円が 4 本、100 円が 15 本、残りは 0 円。賞金の期待値が「全部の賞金の合計 ÷ くじの本数」と一致するのはなぜか?
どのくじも同じ確率 で引かれるので、値 × 確率の和が、100 本の賞金の平均と同じ計算になるから
で 45 円。
3. 有利・不利の判断
根拠: 学習指導要領 数学A-(2)-ア-(ウ)
参加費がかかるゲームや、どちらを選ぶか迷う 2 つのくじでは、期待値を比べると、平均的にどちらが得かを判断できます。
参加費 円のくじで、賞金の期待値が 円のとき、有利か不利かの判断は?
なら有利、 なら不利(平均的に見て)
「もらえる額 − 参加費」の期待値の符号で見ても同じ。
2 つのゲームのどちらに参加するかを、期待値で決めるときに比べるものは?
それぞれのゲームで得られる値(得点や、賞金から参加費を引いた額)の期待値
比べる値の基準をそろえる。一方は賞金だけ、もう一方は参加費を引いた額、と混ぜると判断を誤る。
「得られる金額」がマイナス(支払い)になる場合も、期待値の表に入れてよいか?
入れる。支払いは負の値として、確率を掛けて足す
たとえば「当たれば 600 円もらい、外れれば 100 円払う」なら、値は と 。
練習問題
問 1 さいころを 1 回投げ、出た目の 100 倍の金額(円)をもらえるとする。もらえる金額の期待値を求めよ。
350 円
方針 期待値は「とる値 × その値をとる確率」をすべて足したもの。もらえる金額は出た目によって 100 円から 600 円の 6 通りで、どの目も確率 で出る。
- 金額とその確率を表にする(下の表)。確率の合計は
- 期待値は、金額と確率を掛けて足した
- 共通の でくくると、
- よって、期待値は 350 円。
| 出た目 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 計 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 金額(円) | 100 | 200 | 300 | 400 | 500 | 600 | |
| 確率 |
問 2 くじが 100 本あり、1 等 1000 円が 1 本、2 等 500 円が 4 本、3 等 100 円が 15 本で、残りは外れ(0 円)である。このくじを 1 回 50 円で引けるとき、引くのは有利か不利か。
不利(賞金の期待値は 45 円で、50 円より小さい)
方針 有利か不利かは、1 回引いて得られる賞金の期待値と、引くのに払う 50 円を比べて決める。期待値は「賞金 × その確率」の合計。外れ(0 円)も 1 つの場合として本数を出し、確率の合計が 1 になることを確かめる。
- 外れの本数は 本。
- 賞金とその確率を表にする(下の表)。確率は「本数 ÷ 100」。
- 期待値は
- 賞金の期待値 45 円は、払う 50 円より小さい。1 回あたり平均で 円の損になるので、不利。
| 賞金(円) | 1000 | 500 | 100 | 0 | 計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 本数 | 1 | 4 | 15 | 80 | 100 |
| 確率 |
確率の合計は で、落ちはない。
問 3 大小 2 個のさいころを投げ、2 個の目が同じなら 600 円もらい、そうでなければ 100 円を払う。1 回あたりに得られる金額の期待値を求め、このゲームが有利か不利かを答えよ。
円(約 17 円)で、有利
方針 得られる金額は「600 円もらう」か「100 円払う」の 2 通り。払う金額は負の数 として扱う。それぞれの確率を、大小 2 個を区別した 36 通りの目の出方から求め、「金額 × 確率」を足す。期待値が正なら有利、負なら不利。
- 全事象は 通り。目が同じになるのは (1, 1) から (6, 6) までの 6 通りなので、確率は
- 目が同じでないのはその余事象なので、確率は
- 期待値は
- 通分して、
- で正なので、平均的には 1 回あたり約 17 円の得になる。よって有利。
ここで間違えやすい 払う 100 円を のまま足さない。得られる金額としては 円。
問 4 赤玉 3 個と白玉 2 個が入った袋から、2 個を同時に取り出す。取り出した赤玉の個数の期待値を求めよ。
個
方針 赤玉の個数は 0 個・1 個・2 個のどれか。5 個を区別して 2 個を選ぶ組合せを全事象にとり、それぞれの個数になる確率を求めてから、「個数 × 確率」を足す。
- 全事象は 通り。
- 赤 0 個(白 2 個)は、白 2 個から 2 個を選ぶ 通りで、確率は
- 赤 1 個(赤 1 個と白 1 個)は、赤の選び方 3 通りと白の選び方 2 通りで 通り。確率は
- 赤 2 個は、赤 3 個から 2 個を選ぶ 通りで、確率は
- 確率の合計は で、落ちはない。
- 期待値は
| 赤玉の個数 | 0 | 1 | 2 | 計 |
|---|---|---|---|---|
| 確率 |