三角形の辺と角
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 数学A (1) 図形の性質 ア (ア)「三角形に関する基本的な性質について理解すること。」のうち、辺と角の大小関係。
0. どういうまとまりか
三角形 ABC の辺の長さを 、、 と書きます。
中学では「角が等しい ⇔ 辺が等しい」(二等辺三角形)を学びました。ここでは、等しくないときにどちらが大きいかを扱います。
| 知りたいこと | 使う性質 |
|---|---|
| 3 つの長さで三角形ができるか | 三角形の成立条件(2 辺の和は残りの 1 辺より大きい) |
| どの角がいちばん大きいか | 大きい辺の向かいに大きい角 |
| 外角の大きさ | 外角は隣にない 2 つの内角の和 |
分かれ目は次の 3 つ。
- 成立条件は「最大の辺 < 他の 2 辺の和」を確かめれば足りる(最大の辺が分かっているとき)
- 辺の大小と角の大小は、向かい合うもの同士で対応する(隣り合う辺と角ではない)
- 外角は、隣の内角ではなく、隣にない 2 つの内角の和
1. 三角形の成立条件
根拠: 学習指導要領 数学A-(1)-ア-(ア)
2 点を結ぶ線のうち、いちばん短いのは線分です。だから A から C まで B を経由すると遠回りになり、 です。3 つの辺すべてで同じことが言えます。
3 つの正の数 、、 を 3 辺の長さとする三角形が存在する条件は?(3 つの不等式で)
、、
どの 1 辺も、他の 2 辺の和より小さい。1 つでも等号になると、3 点が一直線に並んでつぶれる。
三角形の成立条件を、1 つの辺 についての 1 つの式にまとめると?
と を について解くと 、 で、合わせて 。
3 辺のうち最大の辺が分かっているとき、三角形ができるかを確かめるには何を見ればよいか?
最大の辺 < 他の 2 辺の和、の 1 つだけ
残りの 2 つの不等式(小さい辺 < 他の 2 辺の和)は、最大の辺が入っているので自動的に成り立つ。
3 辺が 、、 のように文字を含むとき、成立条件の確かめで気をつけることは?
どれが最大の辺かを先に決めてから、「最大 < 他の 2 つの和」を立てる。長さが正であることも条件に入れる
文字の値によって最大の辺が入れかわるときは、場合を分けるか、3 つの不等式をすべて立てる。
2. 辺と角の大小関係
根拠: 学習指導要領 数学A-(1)-ア-(ア)
二等辺三角形の性質(2 辺が等しければ、その向かいの 2 角が等しい)を、等しくない場合に広げたものです。
三角形 ABC で、辺の大小と角の大小の関係は?
ならば (大きい辺の向かいの角は大きい)
逆も成り立つ: ならば 。辺と角は「向かい合うもの」同士で比べる。
三角形 ABC で ならば であることは、どう示すか?(証明の要点)
辺 AC 上に AD AB となる点 D をとる。三角形 ABD は二等辺三角形なので $\angle$ABD $=\angle\angle$ADB は三角形 DBC の外角なので より大きい
よって $B>\angle$ABD $=\angle$ADB 。長い辺から短い辺と同じ長さを切り取って二等辺三角形を作るのが要。
三角形の 3 辺のうち最大の辺の向かいの角について言えることは?
3 つの角のうち最大の角である
直角三角形なら斜辺の向かいが直角、鈍角三角形なら最大の辺の向かいが鈍角(鈍角は 1 つしかないので、それが最大の角)。
直角三角形で、斜辺が他の 2 辺より長いのはなぜか?(辺と角の大小関係から)
斜辺の向かいの角は で、残りの 2 つの角はどちらも より小さいから
内角の和が なので、直角以外の角は鋭角。大きい角の向かいに大きい辺。
点 P から直線 へ引いた線分のうち、垂線がいちばん短いのはなぜか?
垂線の足を H、 上の他の点を Q とすると、三角形 PHQ は $\angle$H が直角の直角三角形で、PQ はその斜辺だから
点と直線の距離を垂線の長さで測る理由。
3. 外角の性質
根拠: 学習指導要領 数学A-(1)-ア-(ア)
三角形の 1 辺を延ばしてできる角を外角といいます。外角と、その隣の内角の和は です。
三角形の外角の大きさは、内角とどんな関係にあるか?
隣にない 2 つの内角の和に等しい
$\angle$C の外角 。内角の和 と、外角 を比べると出る。
三角形の外角と、隣にない内角の大小について言えることは?
外角は、隣にない内角のどちらよりも大きい
外角が 2 つの内角の和なので。辺と角の大小関係の証明に使う。
練習問題
問 1 3 辺の長さが 、、 である三角形ができるような の値の範囲を求めよ。
方針 3 つの長さで三角形ができるかは、三角形の成立条件で決まる。 が最大の辺かどうかが分からないので、場合分けの要らない「1 つの辺を、他の 2 辺の差と和ではさむ」形 を使う。
- はさまれる辺を 、他の 2 辺を と として式に入れる。
- 左の端(2 辺の差)を計算する。
- 右の端(2 辺の和)を計算する。
- よって
確かめ 3 つの不等式をすべて立てても同じになる。 から 、 から 、 は ならいつも成り立つ。
ここで間違えやすい 「」だけで止めないこと。 が短すぎても( 以下でも)、 と を合わせて を超えず、三角形ができない。
問 2 三角形 ABC で、、、 のとき、3 つの角 、、 を大きい順に並べよ。
方針 辺の長さだけが分かっていて角の大小を知りたいので、「大きい辺の向かいに大きい角」を使う。角と比べる辺は、隣の辺ではなく向かいの辺なので、まず各角の向かいの辺を書き出す。
- 角 の向かいの辺は BC で、長さは 。
- 角 の向かいの辺は CA で、長さは 。
- 角 の向かいの辺は AB で、長さは 。
- 向かいの辺を大きい順に並べると 、つまり 。
- 大きい辺の向かいの角が大きいので、角も同じ順で 。
問 3 三角形 ABC で、、 のとき、$\angle$C の外角の大きさを求めよ。
方針 注目するのは頂点 C の外角。外角は「隣にない 2 つの内角の和」に等しく、その 2 つ( と )がちょうど与えられているので、 を求めずに足すだけでよい。
- $\angle$C の外角の隣にない内角は、 と 。
- 外角は に等しいので、
確かめ 内角 を先に出す方法でも同じになる。 で、外角は 。
問 4 3 辺の長さが 、、 である三角形ができるような の値の範囲を求めよ。
方針 文字を含む 3 辺なので、まず「どれが最大の辺か」を決める。最大の辺が決まれば、成立条件は「最大の辺 < 他の 2 辺の和」の 1 つだけで足りる。長さが正であることも条件に入れる。
- 長さは正なので、いちばん短い辺について 。
- なので、最大の辺は 。
- 成立条件は「最大の辺 < 他の 2 辺の和」で、
- 右辺をまとめると、
- を右辺に、数を左辺に移すと、 から
- のとき も成り立つので、求める範囲は
ここで間違えやすい は入らない。このとき 3 辺は 、、 で となり、3 点が一直線に並んでつぶれる。
問 5 三角形 ABC の内部に点 P をとる。 であることを示せ。
BP を延ばして辺 AC との交点を D とし、成立条件を 2 回使う
方針 長さの和の大小を示すので、三角形の成立条件(2 辺の和は残りの 1 辺より大きい)を使う。ただし と を直接くらべられる三角形が無いので、線分 BP を P の先へ延ばして辺 AC との交点 D を作り、 を仲立ちにして 2 段階で比べる。
- BP を延ばし、辺 AC との交点を D とする。D は辺 AC 上にあるので 、P は線分 BD 上にあるので 。
- 三角形 ABD に成立条件を使うと、
- 両辺に DC を足すと、。 なので、 …①
- 三角形 PDC に成立条件を使うと、
- 両辺に BP を足すと、。 なので、 …②
- ② と ① をつなぐと、。よって 。