数列の極限
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 数学Ⅲ (1) 極限 ア (ア)「数列の極限について理解し,数列{}の極限などを基に簡単な数列の極限を求めること。」。このノートは、収束と発散のことばの意味と、収束する数列どうしで使える極限値の性質を扱います。
0. どういうまとまりか
項が限りなく続く数列 で、 を限りなく大きくしたときに がどうなっていくかを調べるのが数列の極限です。
ある 1 つの値に限りなく近づくなら収束、そうでなければ発散といい、発散はさらに 3 つに分かれます。
| 分類 | 書き方 | 例(一般項) |
|---|---|---|
| 収束する | (極限値 0) | |
| 正の無限大に発散する | ||
| 負の無限大に発散する | ||
| 振動する | 極限はない |
分かれ目は次の 3 つ。
- は数ではない。 と書いても収束ではなく発散で、 を極限値とはいわない
- 極限値の性質(和・差・積・商)は、どちらの数列も収束するときにだけ使える。 や の形には使えない
- でも、極限値は とは限らない( になることがある)
1. 収束と極限値
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(1)-ア-(ア)
「限りなく近づく」が収束の意味です。途中の項が何であっても、 を大きくした先だけを見ます。
数列 が に収束するとは、どういうことか?
を限りなく大きくするとき、 が一定の値 に限りなく近づくこと。この を数列 の極限値という
が に一致する必要はない。 はどの項も 0 でないが、0 に収束する。
数列 が に収束することを、記号で 2 通りに書くと?
、または「 のとき 」
は極限(limit)の記号。 は「 を限りなく大きくする」と読む。
すべての項が同じ値 である数列 の極限は?
に収束する()
近づいていく途中がなくても、収束という。
2. 発散
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(1)-ア-(ア)
収束しない数列は、すべて発散するといいます。発散のしかたは 3 通りです。
数列が発散するとは?
収束しないこと
「限りなく大きくなる」ことだけを指すのではない。振動も発散に入る。
数列の発散の 3 つの場合は?
正の無限大に発散する・負の無限大に発散する・振動する
正の無限大に発散は 、負の無限大に発散は と書く。
数列が振動するとは?
収束せず、正の無限大にも負の無限大にも発散しないこと。このとき極限はない
(一般項 )や、(一般項 )が例。
のとき、数列 は収束するといえるか?
いえない。正の無限大に発散する
は数ではないので、極限値とはいわない。「極限は 」とはいうが、「極限値は 」「 に収束する」とはいわない。
3. 極限値の性質
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(1)-ア-(ア)
収束する数列どうしなら、極限をとってから計算しても、計算してから極限をとっても同じです。以下では 、 とします。
数列 、 がそれぞれ 、 に収束するとき、 は?(、 は定数)
定数倍・和・差は、極限値どうしの定数倍・和・差になる。、 もこの形に含まれる。
数列 、 がそれぞれ 、 に収束するとき、積 と商 の極限は?
、(商は のとき)
商の性質は、分母の極限値 が 0 でないときにだけ使える。
、 のとき、 は 0 と決まるか?
決まらない。数列によって結果が変わる
、 なら差は 1 に収束し、、 なら差は正の無限大に発散する。極限値の性質は、どちらも収束するときにしか使えない。
を正の整数とするとき、 と は?
、
も正の無限大に発散し、 は 0 に収束する。極限の計算は、最後にこの形に持ち込む。
4. 大小関係と極限
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(1)-ア-(ア)
項の大小は極限値に引き継がれますが、等号が付くことに注意します。
すべての で で、、 がそれぞれ 、 に収束するとき、 と の大小は?
収束することが前提。小さいほうの数列の極限値が、大きいほうの極限値を超えることはない。
すべての で (等号なし)のとき、極限値も といえるか?
いえない。 になることがある(いえるのは まで)
、 はつねに だが、どちらも 1 に収束する。
練習問題
問 1 一般項が次の式で表される数列の収束、発散を調べよ。(1) (2) (3)
(1) 0 に収束する (2) 負の無限大に発散する (3) 振動する(極限はない)
方針 に大きな数を入れたとき、項がどこへ向かうかを見る。1 つの値に近づけば収束、限りなく大きく(小さく)なれば正(負)の無限大に発散、どちらでもなければ振動。
- (1) は、 を大きくすると分母 が限りなく大きくなるので、 は 0 に限りなく近づく。0 に収束する
- (2) は、項を並べると 。負の値のまま絶対値が限りなく大きくなるので、負の無限大に発散する
- (3) は、項を並べると 。符号が交互に変わるので、1 つの値に近づかず、正の無限大にも負の無限大にも発散しない。振動する
ここで間違えやすい (3) を「絶対値が大きくなるから正の無限大に発散」としない。奇数番目の項は負なので、正の無限大に発散するとはいえない。
問 2 、 のとき、次の極限を求めよ。(1) (2) (3)
(1) 12 (2) (3)
方針 も も収束するので、極限値の性質がそのまま使える。 を 2 に、 を に置きかえて計算する。
- (1) は定数倍と差の性質から、
- (2) は積の性質から、
- (3) は分母の極限値 が 0 でないので、商の性質が使える。
問 3 を求めよ。
6
方針 と はどちらも 0 に収束する。2 つのかっこの中がそれぞれ収束するので、和・差の性質でかっこごとに極限を求め、積の性質でかけ合わせる。
- なので、
- なので、
- どちらも収束するので、積の極限は極限値の積になる。
問 4 数列 、 について、、 のとき、、、 を求めよ。
、、
方針 収束すると分かっているのは と の 2 つ。 と を、この 2 つの和・差・定数倍で表せば、極限値の性質が使える。
- 、 とおく。、
- 2 つをたすと なので、
- 2 つをひくと なので、
- 、 は収束するので、
- 同じように、
- 、 がどちらも収束すると分かったので、積の性質から
ここで間違えやすい いきなり「、 とおくと 、」と始めない。それは 、 が収束することを先に仮定している。手順 2・3 のように、収束する数列で表してから極限をとる。
問 5 数列 について、 のとき、 を求めよ。
4
方針 収束すると分かっているのは のほうで、 が収束するかどうかはまだ分からない。そこで とおき、 を の式で表してから、極限値の性質を使う。
- とおくと、
- 分母をはらう。
- 展開して を含む項を右辺に集める。
- でくくる。
- は 2 に収束するので、 が十分大きければ は 0 でない。両辺を で割って、
- 分子は に、分母は に収束する。分母の極限値が 0 でないので商の性質が使えて、
問 6 次の (1)、(2) は正しいか。正しくなければ反例をあげよ。(1) 、 ならば (2) 、 ならば
どちらも正しくない。反例は、(1) 、 (2) 、(反例はほかにもある)
方針 極限値の性質は、どちらの数列も収束するときにしか使えない。 や の形は、 を数のように計算できないので、具体的な数列で結果が変わることを見せる。
- (1) の反例として 、 をとる。どちらも正の無限大に発散する
- このとき で、正の無限大に発散する。0 に収束しないので、(1) は正しくない
- (2) の反例として 、 をとる。 は正の無限大に発散し、 は 0 に収束する
- このとき で、1 に収束する。0 に収束しないので、(2) も正しくない