建物
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
建築の構造・材料に関する一般的知識からの出題で、大半に対応する条文がない。
記述は日本建築学会の各種構造設計規準および建築基準法施行令 3 章(構造強度)に依拠している。verify:pack の条文突合は建築基準法を参照する節にしか及ばないので、
内容の確認は人が行うこと。2026-08-01 に上記資料と突合済み。
0. どういう視点で見るか
建物の構造は、引っ張りに強い材料と、圧縮に強い材料をどう組み合わせるかで決まる。
| 材料 | 強い方向 | 弱点 |
|---|---|---|
| コンクリート | 圧縮 | 引っ張りに弱い、ひび割れる |
| 鋼材(鉄) | 引っ張り・圧縮とも強い | 錆びる・熱に弱い(火災で急激に強度低下) |
| 木材 | 繊維方向に強い | 燃える、腐る、含水率で変形 |
鉄筋コンクリート造は、この表がそのまま設計になっている——
引っ張りを鉄筋が、圧縮をコンクリートが受け持ち、コンクリートが鉄筋を火と錆から守る。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 鋼材は火に弱い(燃えないが、高温で強度が急激に落ちるため耐火被覆が要る)
- コンクリートの中性化が進むと鉄筋が錆びる(かぶり厚さが効いてくる)
- 木材の強度は含水率が小さいほど大きい
1. 木造
根拠: 建築基準法施行令 41 条〜49 条(木造の構造強度)
木材の強度と含水率の関係は?
含水率が小さいほど強度が大きい
繊維飽和点(含水率およそ 30%)を下回ると、乾燥するにつれて強度が増す。
乾燥が不十分な木材を使うと、後の収縮でひずみ・すき間が生じる。
木造軸組工法と枠組壁工法(ツーバイフォー)の違いは?
- 軸組工法 … 柱と梁(線材)で骨組みを作り、筋かい等で水平力に抵抗する
- 枠組壁工法 … 床と壁の面で構成し、面全体で力を受ける
枠組壁工法は水平力に強く、気密性・断熱性も高いが、
開口部を大きく取りにくい。
集成材とは?どんな部材に使われる?
単板や小角材を接着剤で貼り合わせた木質材料。
節や割れの影響が分散されるため品質のばらつきが小さく、
大断面・長尺の部材を作れる。大規模な木造建築物の柱・梁に使われる。
木造建築物で、腐朽・蟻害を防ぐためにすることは?
- 床下の換気を確保する(換気口を設ける)
- 地面から基礎の立上りを高くする
- 土台には耐久性の高い樹種を使い、防腐・防蟻処理をする
木材の含水率を低く保つことが基本。
2. 鉄筋コンクリート造
根拠: 建築基準法施行令 71 条〜79 条の 4(鉄筋コンクリート造の構造強度)
鉄筋とコンクリートが組み合わされる理由は?
- コンクリートは圧縮に強く、引っ張りに弱い → 引っ張りを鉄筋が受け持つ
- 鉄筋は錆びやすく熱に弱い → アルカリ性のコンクリートが錆を防ぎ、火からも守る
- 両者の熱膨張率がほぼ等しいため、温度変化で剥離しにくい
「かぶり厚さ」とは?なぜ必要?
鉄筋の表面からコンクリートの表面までの最短距離。
鉄筋を火災の熱と腐食から守るために必要で、
施行令 79 条により最小値が定められている
(耐力壁以外の壁・床は 2 センチメートル以上、柱・梁・耐力壁は 3 センチメートル以上など)。
コンクリートの中性化とは?
空気中の二酸化炭素により、コンクリートのアルカリ性が失われていく現象。
中性化がかぶり厚さを超えて進むと、鉄筋を守っていた不動態被膜が壊れ、
鉄筋が錆びて膨張し、コンクリートを押し割る。
コンクリートの強度と水セメント比の関係は?
水セメント比が小さい(水が少ない)ほど、強度が高く耐久性も高い
ただし水が少ないと施工しにくくなる(ワーカビリティーが落ちる)。
3. 鉄骨造・その他の構造
根拠: 建築基準法施行令 63 条〜70 条(鉄骨造の構造強度)
鉄骨造の長所と短所は?
- 長所 … 強度が高く靭性(ねばり)に富み、大スパンの空間を作れる。
自重が軽く、工期も短い - 短所 … 錆びる、火災時に強度が急激に低下する
したがって耐火被覆と防錆処理が不可欠。
耐震・制震・免震の違いは?
- 耐震 … 構造を強くして地震力に耐える
- 制震 … ダンパー等で地震のエネルギーを吸収し、揺れを小さくする
- 免震 … 建物と基礎の間に積層ゴム等を入れ、地震力を建物に伝えない
直接基礎と杭基礎の使い分けは?
- 直接基礎(べた基礎・布基礎・独立基礎) … 良好な地盤が浅いところにある場合
- 杭基礎(支持杭・摩擦杭) … 良好な地盤が深い場合に、そこまで力を伝える
一つの建物で直接基礎と杭基礎を混用する(異種基礎)のは、
不同沈下を招くため原則として避ける。
組積造(れんが造・石造・補強コンクリートブロック造)の特徴は?
圧縮には強いが、引っ張り・せん断に弱く、地震に弱い。
そのため、補強コンクリートブロック造では
鉄筋で縦横に補強し、臥梁を設ける。