不動産登記法
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は不動産登記法 2 条(定義)、16 条(共同申請)、25 条(申請の却下)、
36 条・37 条・47 条(表示に関する登記の申請義務)、60 条(権利に関する登記の申請)、
63 条(判決による登記)、74 条(所有権保存登記)、76 条の 2(相続登記の申請義務)、
105 条・109 条(仮登記)。2026-08-01 に e-Gov の条文原文と突合済み。
0. どういう制度か
登記簿は「この不動産は何で、誰のものか」を公示する台帳である。
記録は 2 階建てで、表題部(物の特定)と権利部(誰のものか)に分かれる。
| 何を記録するか | 申請義務 | 職権でできるか | |
|---|---|---|---|
| 表示に関する登記(表題部) | 所在・地番・地目・地積、種類・構造・床面積 | ある(1 か月以内) | できる |
| 権利に関する登記(権利部) | 所有権・抵当権・賃借権など | 原則なし(相続登記は例外) | 原則できない |
権利部は甲区(所有権)と乙区(所有権以外)に分かれる。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 申請義務があるのは表示に関する登記と、相続登記だけ
- 権利に関する登記は、登記権利者と登記義務者の共同申請が原則
- 仮登記は順位を確保するだけで、対抗力はない
1. 表示に関する登記
根拠: 不動産登記法 36 条、37 条、47 条、51 条
物の特定は課税や取引の前提になるので、放置されると台帳全体が使えなくなる。
だから申請を義務づけ、しなければ役所が職権で入れる。
建物を新築した所有者は、いつまでに表題登記を申請する?
所有権の取得の日から 1 か月以内(47 条)
土地の地目・地積の変更(37 条)、建物の滅失(57 条)なども 1 か月以内。
怠ると 10 万円以下の過料。
表示に関する登記は、登記官の職権でできる?
できる
権利に関する登記は原則として申請がなければできない。
表示に関する登記の申請は、共同申請が必要?
不要(表題部所有者などが単独で申請する)
共同申請の原則は権利に関する登記の話。
2. 権利に関する登記の申請
根拠: 不動産登記法 60 条、63 条、64 条、74 条
権利の登記は、記録されると誰かが権利を失う。そこで失う側(登記義務者)も
手続に加わることを求めて、真実でない登記を防いでいる。
権利に関する登記の申請は、原則としてどう行う?
登記権利者と登記義務者が共同して申請する(60 条・共同申請の原則)
登記権利者=登記により利益を受ける者、登記義務者=不利益を受ける登記名義人。
単独で申請できる登記の例は?
- 判決による登記(63 条 1 項)
- 相続・法人の合併による権利の移転(63 条 2 項)
- 所有権の保存の登記(74 条)
- 登記名義人の氏名・住所の変更の登記(64 条)
- 仮登記(仮登記義務者の承諾があるとき、または仮登記を命ずる処分があるとき)
所有権保存登記を申請できるのは誰?
- 表題部所有者またはその相続人その他の一般承継人
- 所有権を有することが確定判決によって確認された者
- 収用によって所有権を取得した者
- 区分建物では、表題部所有者から所有権を取得した者(74 条 2 項)
登記識別情報を提供できないとき、どうする?
- 登記官による事前通知
- 資格者代理人による本人確認情報の提供
- 公証人による認証
登記識別情報は 12 桁の英数字で、従来の権利証に代わるもの。
3. 相続登記の申請義務
根拠: 不動産登記法 76 条の 2 第 1 項・2 項、76 条の 3
所有者が分からない土地が増えたことへの対応として、権利の登記としては例外的に義務が
課された分野である。
相続によって不動産を取得した者は、いつまでに登記を申請する?
自己のために相続の開始があったことを知り、かつ所有権を取得したことを知った日から 3 年以内
遺産分割で取得したときは、分割の日から 3 年以内。
正当な理由なく怠ると 10 万円以下の過料。
遺産分割が長引いて相続登記ができない。どうすればよい?
相続人申告登記を申請する(76 条の 3)
相続が開始した旨と自らが相続人である旨を申し出れば、
申請義務を履行したものとみなされる。
4. 仮登記
根拠: 不動産登記法 105 条、106 条、109 条、110 条
仮登記は「本登記ができる状態になったときのために、順位だけ取っておく」制度である。
だからそれ自体には対抗力がないが、本登記になると順位が仮登記の時にさかのぼる。
仮登記ができるのはどんな場合?
① 登記の申請に必要な情報(登記識別情報など)を提供できないとき
② 権利の変動がまだ生じていないが、その請求権を保全しようとするとき
(始期付き・停止条件付きの請求権を含む)
仮登記に対抗力はある?
ない
順位を保全する効力があるだけ。
本登記をすれば、その順位は仮登記の順位による(106 条)。
所有権に関する仮登記を本登記にするには?
登記上の利害関係を有する第三者の承諾が必要(109 条 1 項)
承諾がなければ本登記できない。本登記がされると、
その第三者の登記は登記官の職権で抹消される。
仮登記の抹消は誰が申請できる?
仮登記の登記名義人が単独で申請できる。
また、仮登記の登記上の利害関係人は、仮登記名義人の承諾があれば単独で申請できる(110 条)
5. 登記の申請と却下
根拠: 不動産登記法 25 条、22 条、23 条
登記の申請が却下されるのはどんな場合?
- 申請に係る不動産の所在地が管轄に属さないとき
- 申請の権限を有しない者の申請によるとき
- 申請情報・添付情報が法令の規定に合致しないとき
- 登記された権利の登記名義人が申請人となっていないとき など(25 条)
登記事項証明書は誰でも請求できる?
できる(何人も、手数料を納付して交付を請求できる)
登記簿の附属書類(申請書など)は、原則として正当な理由がある部分に限り
閲覧を請求できる。