衣食住と生活文化
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「地理総合」B (1) ア (ア) の「人々の生活文化が地理的環境から影響を受けたり,影響を与えたりして多様性をもつことや,
地理的環境の変化によって変容することなど」。内容の取扱いは、地理的環境には自然環境だけでなく歴史的背景なども含まれるとしています。
このノートは、住まい・衣服・食べ物が、その土地の気候や材料に合わせて工夫されてきたこと、作物の伝わり方という歴史的背景、
そして交通や経済の変化で生活文化が変容していくことを扱います。
0. 何を押さえるか
衣食住の工夫は、その土地で手に入る材料とその土地の気候への答えとして読みます(気候区分は 世界の気候と生活)。
| 地域 | 住 | 衣 | 食 |
|---|---|---|---|
| 熱帯の湿潤地域 | 高床式・風通しのよい住居 | 薄く風を通す服 | 米・いも類(キャッサバ・タロイモなど) |
| 乾燥地域 | 日干しれんがの厚い壁・小さな窓 | 全身を覆うゆったりした服 | 小麦・なつめやし・羊の乳や肉 |
| モンゴルの草原 | 移動式のゲル | 家畜の毛や皮の服 | 家畜の乳や肉 |
| アンデスの高地 | 石や日干しれんがの家 | アルパカやリャマの毛のポンチョ | じゃがいも |
| 極北 | 永久凍土の上の高床の家 | 毛皮の服 | 狩猟や漁でとった肉や魚 |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 熱帯と寒冷地の高床は、目的が違う。熱帯は湿気と熱を逃がし浸水を防ぐため、永久凍土の地域は建物の熱で凍土が融けるのを防ぐため
- 乾燥地域の服は「肌を出さない」ほうが涼しい。強い日ざしと砂ぼこりから身を守る
- じゃがいも・とうもろこし・キャッサバは、どれもアメリカ大陸が原産。アメリカ大陸の外でいま主食としている地域には、16 世紀以降に伝わった
1. 住まいの工夫
根拠: 学習指導要領 地理総合-B-(1)-ア-(ア)
住まいの材料は、その土地で得やすいもの(熱帯の木や竹、乾燥地域の土、草原の家畜の毛)が使われてきました。
熱帯の湿潤地域で、床を地面から高くした住居が多いのはなぜか?
湿気や熱がこもらないよう風を通し、浸水や害虫を防ぐため
木や竹、椰子の葉など、周りで得やすい材料で作られてきた。
樹木の乏しい乾燥地域で、土をこねて型に入れ、日に当てて乾かして作る建材を何という?
日干しれんが
厚い壁と小さな窓で、日中の強い日ざしと暑さを防ぎ、冷え込む夜は昼の熱を室内に保つ。
モンゴルの遊牧民が使ってきた、骨組みを羊毛のフェルトで覆った組み立て式の住居を何という?
ゲル
家畜を連れて移動する暮らしに合わせ、短い時間で解体・組み立てができる。
シベリアなどの永久凍土の地域で、建物を高床にするのはなぜか?
建物から出る熱で永久凍土が融け、建物が傾いたり沈んだりするのを防ぐため
熱帯の高床とは目的が違う。
2. 衣服の工夫
根拠: 学習指導要領 地理総合-B-(1)-ア-(ア)
衣服は、暑さ・寒さ・日ざしへの備えと、身近な素材(綿・麻・家畜の毛や皮)で形が決まってきました。
乾燥地域で、全身を覆う丈の長いゆったりした衣服が着られてきたのはなぜか?
強い日ざしと砂ぼこりから身を守り、服の中に風を通して汗を蒸発させるため
肌を出すと、日ざしでかえって体温が上がる。
アンデス山脈の高地で、アルパカやリャマの毛で作られ、昼夜の寒暖差に合わせて羽織る衣服は?
ポンチョ
布の中央の穴から頭を出して着る。高地は一日の気温の差が大きい。
3. 食べ物と歴史的背景
根拠: 学習指導要領 地理総合-B-(1)-ア-(ア)
主食は、その土地の気候で育つ作物から決まってきました。一方で、作物は交易や植民によって原産地から遠くへ伝わり、
伝わった先で新しい主食になったものもあります。食文化の地理的な分布は、自然環境と歴史的背景の両方から読みます。
季節風(モンスーン)の影響で夏に高温多雨となる東アジアから南アジアで、主食として広く栽培されてきた穀物は?
米
稲は生育期に高温と多くの水を必要とする。比較的冷涼で乾燥した地域では小麦が主食となってきた。
メキシコなどで、とうもろこしの粉を練って薄く焼き、主食とするものを何という?
トルティーヤ
とうもろこしはアメリカ大陸が原産で、いまは世界中に広まっている。
南アメリカ原産で、いまはアフリカなどの熱帯でも主食とされる、根に有毒な成分を含むため毒抜きをして食べるいもは?
キャッサバ
やせた土地や乾燥にも強い。粉にしたり、ゆでてつぶしたりして食べる。
アンデスの高地が原産で、16 世紀以降にヨーロッパへ伝わり、冷涼な地域の主要な食料になった作物は?
じゃがいも
寒さに強く、麦が育ちにくい北ヨーロッパなどで広く栽培されるようになった。
4. 生活文化の変容
根拠: 学習指導要領 地理総合-B-(1)-ア-(ア)
交通・通信の発達や経済の変化は、地理的環境そのものを変え、生活文化を変容させます。
遊牧や狩猟のように移動を前提にした暮らしは、定住化や都市への移住によって大きく変わりつつあります。
変容は「伝統が消える」ことだけでなく、新しい技術を取り入れながら伝統を受け継ぐ形でも起きています。
カナダ北部などの極北で、アザラシやカリブーの狩猟を中心に暮らしてきた先住民は?
イヌイット
定住化が進み、移動の手段は犬ぞりからスノーモービルへ変わった。一方で狩猟の文化も受け継がれている。
モンゴルで、地方から首都ウランバートルに移り住んだ人々のゲルが周辺部に集まってできた地区を何という?
ゲル地区
遊牧をやめて都市へ移る人が増え、上下水道などの設備が追いつかないことが課題になっている。