食料問題
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「地理探究」A (2) ア (ア) の「資源・エネルギー,食料問題の現状や要因,解決に向けた取組など」を理解すること。
このノートは、飢えに苦しむ地域と食べ物があまる地域が並び立つ世界の食料問題を、その要因と、緑の革命・食料自給率・フードマイレージといった取組や指標から扱います。
0. 何を押さえるか
食料問題は「足りない」問題と「偏っている」問題が重なっています。
| 地域 | 起きていること | 主な要因 |
|---|---|---|
| 発展途上国の一部 | 飢餓・栄養不足 | 貧困(買う力の不足)、紛争、干ばつなどの災害、急な人口増加 |
| 先進国・新興国の都市 | 飽食・食品ロス・肥満 | 豊かな購買力、肉食の増加、大量の廃棄 |
| 食料を輸入に頼る国 | 自給率の低下 | 食生活の変化、安い輸入品、農業の担い手の減少 |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 飢餓の主な原因は世界全体の量の不足ではない。世界全体では人口を養える量が作られているが、貧困や紛争で必要な人に届かない
- 緑の革命は品種だけでは成り立たない。高収量品種は肥料・農薬・灌漑を必要とし、それを用意できる農家とできない農家の差を広げた
- 食料自給率にはカロリーベースと生産額ベースがある。日本では値段の高い野菜や畜産物の国産が多いので、生産額ベースの方が高く出る
1. 飢餓と飽食
根拠: 学習指導要領 地理探究-A-(2)-ア-(ア)
世界には栄養不足の人々がいる一方で、食べられるのに捨てられる食べ物が大量にあります。
栄養不足の人の数は推計の方法で変わるため、国連機関の報告では幅を持たせて示されています。
世界全体では人口を養えるだけの食料が作られているのに、飢餓がなくならない主な理由は何か?
貧困や紛争で、食料が必要な人に行き渡らないから
食料があっても買うお金がなければ手に入らない。干ばつなどの災害や、商品作物に偏った農業が重なることもある。
農業・林業・水産業の発展と、飢餓の解消・栄養の改善を目的とする国連の専門機関を何というか?
国連食糧農業機関(FAO)
食料の援助を直接届ける国連世界食糧計画(WFP)と区別する。
国が豊かになり肉を多く食べるようになると、穀物の需要が肉以上に増えるのはなぜか?
家畜のえさとして大量の穀物が使われるから
肉 1 kg を作るのに、それよりずっと多くの飼料穀物が要る。新興国の肉食の増加は世界の穀物の需給に影響する。
まだ食べられるのに、売れ残りや食べ残しなどで捨てられてしまう食品を何というか?
食品ロス
先進国では家庭や小売りの段階で、途上国では保存や輸送の設備が足りず収穫後の段階で多く生じる、という違いがある。
2. 緑の革命
根拠: 学習指導要領 地理探究-A-(2)-ア-(ア)
1960 年代から、多くの収量が見込める稲や小麦の品種がアジアなどに広められました。
品種という技術革新が食料の増産をもたらした一方で、新たな課題も生みました。
1960 年代から、稲や小麦の高収量品種を導入して、アジアなどの発展途上国で穀物を増産した取組を何というか?
緑の革命
フィリピンの国際稲研究所で開発された稲の品種などが広まり、インドなどで穀物の生産が大きく伸びた。
緑の革命で使われた高収量品種が力を発揮するには、何が必要だったか?
化学肥料・農薬・灌漑の水
これらを買える資金を持つ農家ほど収量を伸ばせた。
緑の革命が残した社会的な課題は何か?
豊かな農家と貧しい農家の格差が広がったこと
灌漑の整わない地域や資金のない小農には広がりにくかった。アフリカでは普及が遅れた。化学肥料の使いすぎや地下水の減少といった環境の問題もある。
3. 食料自給率
根拠: 学習指導要領 地理探究-A-(2)-ア-(ア)
国内で消費する食料のうち、国内で生産された割合を食料自給率といいます。
日本のカロリーベースの食料自給率は、2020 年代には 40% を下回る水準で推移しています。
食料自給率を、供給される熱量(カロリー)で計算したものと、金額で計算したものを、それぞれ何というか?
カロリーベースと生産額ベース
日本では、熱量の大きい穀物や油脂を輸入に頼るのでカロリーベースが低く、単価の高い野菜・畜産物の国産が多いので生産額ベースは高めに出る。
日本の食料自給率が長い目で見て下がってきた主な理由は何か?
食生活が洋風化し、米の消費が減って、輸入に頼る畜産物や油脂の消費が増えたから
畜産物は国産でも、えさの飼料穀物の多くを輸入しているため、カロリーベースの自給率には十分に数えられない。
日本の品目別の自給率で、長く高い水準を保ってきた主食の穀物は何か?
米
小麦・大豆・とうもろこしの多くは輸入に頼っている。
4. 食料の輸送と環境
根拠: 学習指導要領 地理探究-A-(2)-ア-(ア)
食料は遠くから運ぶほど、輸送のためのエネルギーを多く使います。
食料の輸入は、その生産に使われた水を間接的に輸入していることにもなります。
輸入した食料の重さに、運んだ距離を掛けて求め、輸送による環境への負荷の目安とする指標を何というか?
フードマイレージ
単位はトン・キロメートル。食料の多くを遠い国から輸入する日本は、この値が大きいとされる。
その地域で作られた農産物を、その地域で消費することを何というか?
地産地消
輸送のエネルギーを減らせるうえ、地域の農業を支え、生産者の顔が見える安心にもつながる。
輸入した食料を仮に自国で作ったとしたら必要になる水の量を何というか?
バーチャルウォーター(仮想水)
穀物や肉の生産には大量の水が要る。食料を輸入する国は、生産国の水資源に頼っていることになる。