陸上交通
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「地理探究」A (3) ア (ア) の「交通・通信網と物流や人の移動に関する運輸,観光などに関わる諸事象」。
このノートは、そのうち道路と線路の上を走る交通、つまり鉄道と自動車を扱います。どちらが何に向き、何が問題になっているかを比べて押さえます。
0. 何を押さえるか
交通機関は「速さ」「運べる量」「費用」「どこへでも行けるか」で得意・不得意が分かれます。
| 交通機関 | 長所 | 短所 |
|---|---|---|
| 鉄道 | 大量に運べる、時刻が正確、エネルギー効率がよく二酸化炭素の排出が少ない | 線路のある所しか行けない、急な坂に弱い、建設に費用がかかる |
| 自動車 | 戸口から戸口へ運べる、小回りがきく | 一度に運べる量が少ない、渋滞・大気汚染・事故 |
| 船舶 | 重くかさばる物を安く大量に運べる | 遅い、港が要る |
| 航空機 | 速い、海や山に左右されない | 運賃が高い、運べる量が少ない |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 自動車の強みは「戸口から戸口へ」。大量・定時は鉄道の強みで、自動車の強みではない
- アメリカ合衆国の鉄道は主に貨物を運ぶ。旅客の長距離移動は航空機と自動車が中心で、日本やヨーロッパとは違う
- モータリゼーションは便利さと引きかえに公共交通を弱らせた。地方では鉄道・バスの廃止が進み、車を使えない人が困る
1. 交通の発達と距離の縮まり
根拠: 学習指導要領 地理探究-A-(3)-ア-(ア)
交通が発達すると、同じ距離でもかかる時間や費用が小さくなります。地理ではこれを距離の種類として区別します。
2 地点の間を、キロメートルではなく移動にかかる時間で表した距離を何というか?
時間距離
高速鉄道や航空路が開けると、実際の距離(絶対距離)は変わらなくても時間距離は縮まる。費用で表せば経費距離という。
自動車が鉄道より優れているのは、どんな輸送ができる点か?
戸口から戸口へ(ドア・ツー・ドア)の輸送
積みかえなしで出発地から目的地まで運べる。宅配や近距離の貨物で強い。
鉄道が自動車より優れているのは、どんな点か?
大量の人や物を、時刻どおりに、少ないエネルギーで運べる点
1 人・1 トンを運ぶのに出す二酸化炭素が自動車より少ない。この点が見直され、環境対策として鉄道が再評価されている。
2. 鉄道と高速鉄道
根拠: 学習指導要領 地理探究-A-(3)-ア-(ア)
鉄道は 19 世紀に大陸の内部を開き、20 世紀後半からは高速鉄道が中距離の移動で航空機と競うようになりました。
1964 年に開業した、世界で最初の本格的な高速鉄道は?
東海道新幹線(東京〜新大阪)
東京オリンピックの直前に開業した。その後、フランスの TGV、ドイツの ICE など各国で高速鉄道が整備された。
フランスで 1981 年に営業を始めた高速鉄道を何というか?
TGV
パリを中心に国内外へ路線が広がっている。ヨーロッパでは国境を越えて高速鉄道が走る。
英仏海峡トンネルを通って、ロンドンとパリ・ブリュッセルを結ぶ高速列車を何というか?
ユーロスター
1994 年に英仏海峡トンネルが開通して走り始めた。それまでイギリスと大陸の間は船と航空機に頼っていた。
モスクワと日本海に面したウラジオストクを結ぶ、ロシアを東西に横断する鉄道は?
シベリア鉄道
ロシアの東西を結ぶ大動脈で、沿線に都市が並ぶ。極東と西部を結ぶ貨物輸送にも使われる。
アメリカ合衆国の鉄道が主に担っているのは、旅客と貨物のどちらか?
貨物
国土が広いため、旅客の長距離移動は航空機、中近距離は自動車が中心。穀物や石炭などの重い物を鉄道で運ぶ。
3. 自動車とモータリゼーション
根拠: 学習指導要領 地理探究-A-(3)-ア-(ア)
自動車の普及は暮らしを便利にした一方で、渋滞・大気汚染や、公共交通の衰えという問題を生みました。
自動車が人々の生活に広く行きわたり、移動の中心になることを何というか?
モータリゼーション
アメリカ合衆国では 20 世紀前半に、日本では 1960 年代の高度経済成長期に進んだ。郊外の大型店や住宅地の広がりを後押しした。
モータリゼーションが進んだ地方で、鉄道やバスの路線が廃止されると、とくに困るのはどんな人か?
自動車を運転できない高齢者や子どもなど(交通弱者)
利用者が減る → 本数が減る → さらに不便になって利用者が減る、という悪循環で公共交通が細る。
ドイツで 1930 年代から建設が進められた、都市間を結ぶ高速道路網を何というか?
アウトバーン
国土全体に網の目のように広がり、乗用車は通行料が要らない。自動車産業の発達とも結びついている。
4. 都市の交通問題への取り組み
根拠: 学習指導要領 地理探究-A-(3)-ア-(ア)
都心の渋滞や排出ガスを減らすため、自動車から公共交通へ人や物を移す工夫が各地で進んでいます。
郊外の駅の近くに自動車を止め、そこから鉄道やバスに乗りかえて都心へ向かう方式を何というか?
パークアンドライド
都心に入る車の台数を減らして渋滞を和らげる。ヨーロッパの都市で広く取り入れられている。
都心部に乗り入れる自動車から料金を取り、交通量を抑える制度を何というか?
ロードプライシング
シンガポールで早くから導入され、ロンドンでも混雑税として実施されている。
床が低く乗り降りしやすい、新しい型の路面電車を何というか?
LRT(ライトレール・トランジット)
ヨーロッパの都市で広がり、日本でも富山市などで導入された。車に頼らず暮らせるまちづくりの手段になる。
貨物の輸送をトラックから鉄道や船に切りかえることを何というか?
モーダルシフト
二酸化炭素の排出を減らせるほか、トラック運転手の不足への対策にもなる。