東南アジア
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「地理探究」B (2) ア (ア) の「諸地域に見られる地域的特色や地球的課題などについて理解すること」を、東南アジアを例に扱います。
モンスーン(季節風)がもたらす雨が稲作を支え、植民地時代のプランテーションが輸出作物の産地をつくり、ASEAN の下で工業化が進んだ、という流れが地域的特色の柱です。
プランテーションやえびの養殖池の拡大による熱帯林・マングローブの減少は、この地域の地球的課題です。
0. 何を押さえるか
| 観点 | 大陸部(インドシナ半島) | 島しょ部 |
|---|---|---|
| 気候 | サバナ気候(Aw)が広く、雨季と乾季がはっきり | 熱帯雨林気候(Af)が広い |
| 農業 | 大河のデルタでの稲作 | 稲作に加え、天然ゴム・油やしなどのプランテーション |
| 主な宗教 | 上座仏教(ベトナムは大乗仏教) | イスラーム(フィリピン・東ティモールはカトリック、バリ島はヒンドゥー教) |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 雨季をもたらすのは夏の南西季節風。大陸部では冬は北東の季節風で乾季になる
- マレーシア・インドネシアでは天然ゴムから油やしへの転換が進んだ。合成ゴムとの競争や、パーム油の需要の伸びによる
- フィリピンはカトリック中心。スペインの植民地だった歴史による(ポルトガル領だった東ティモールもカトリックが多い)。宗教の分布は植民地支配や交易の歴史を映す
1. モンスーンと稲作
根拠: 学習指導要領 地理探究-B-(2)-ア-(ア)
東南アジアの大陸部では、夏に海から吹く季節風が雨季を、冬に大陸から吹く季節風が乾季をもたらします。
チャオプラヤ川・エーヤワディー川・メコン川などの大河の下流には広いデルタが広がり、稲作地帯になっています。
東南アジアの大陸部で、雨季と乾季がはっきり分かれる原因となる風は?
モンスーン(季節風)
夏は海から湿った南西の風が吹いて雨季、冬は大陸から乾いた北東の風が吹いて乾季になる。
雨季の増水に合わせて茎を伸ばし、水深の深い低地でも育つ稲を何という?
浮稲
チャオプラヤ川などのデルタの低地で栽培されてきた。灌漑の整備とともに減ってきている。
東南アジアで緑の革命の高収量品種が広まったとき、農村で生じた問題は何か?
灌漑設備や肥料を買える農家と、そうでない農家の格差が広がった
緑の革命は、1960 年代以降、高収量品種の導入と灌漑・化学肥料の普及で米の生産を大きく増やした農業の変革。フィリピンの国際稲研究所で改良された品種が広まった。
フィリピンのルソン島やインドネシアのバリ島などで見られる、山の斜面を階段状に切り開いた水田を何という?
棚田
平地の少ない山地でも、斜面を段々にして水を張ることで稲作を行っている。
2. プランテーション
根拠: 学習指導要領 地理探究-B-(2)-ア-(ア)
東南アジアの多くの地域は、19 世紀から 20 世紀前半にかけてヨーロッパやアメリカ合衆国の植民地となり、輸出向けの作物を大規模に栽培するプランテーションが開かれました。
独立後もプランテーション作物は重要な輸出品です。
東南アジアのプランテーションで、植民地時代に現地の人々とともに働き手となったのは、どこからの移民か?
中国とインド
プランテーションは、輸出向けの 1 種類の作物を大きな資本で大規模に栽培する農園で、植民地時代に欧米の資本が開いたものが多い。マレーシアのゴム園ではインド系の労働者が多く働いた。
マレーシアやインドネシアで、天然ゴムから油やしへの転換が進んだのはなぜか?
合成ゴムの普及で天然ゴムの価格が伸び悩み、パーム油の需要が伸びたから
パーム油は油やしの実からとる油で、食用油・マーガリン・洗剤などに使われる。
油やし農園の拡大にともなって、マレーシアやインドネシアで問題になっている環境問題は?
熱帯林の減少
熱帯林を伐採して農園を開くため、野生生物のすみかが失われる。
東南アジアの海岸で、日本などへ輸出するえびの養殖池をつくるために伐採が進んだ林は?
マングローブ(林)
熱帯・亜熱帯の河口などの潮間帯に育つ林。高潮や津波を弱めたり、魚のすみかになったりする役割がある。
3. ASEAN と工業化
根拠: 学習指導要領 地理探究-B-(2)-ア-(ア)
東南アジアの国々は、1960 年代後半から 1980 年代にかけて、国によって時期は異なるものの輸入代替型から輸出指向型の工業化へと転換し、外国企業を誘致しました。
地域の協力の枠組みとして ASEAN(東南アジア諸国連合)があります。
1967 年に 5 か国で結成された ASEAN(東南アジア諸国連合)は、その後、加盟国がどのように広がったか?
ブルネイに続き、1990 年代にベトナム・ラオス・ミャンマー・カンボジアが加わり、東南アジアのほぼ全域に広がった
結成時の 5 か国はインドネシア・マレーシア・フィリピン・シンガポール・タイ。冷戦の終結後、政治体制の異なる国々も加わった。
東南アジアの輸出加工区で成長したのは、どのような形の工業か?
外国から部品や原料を輸入し、安い労働力で組み立てて製品を輸出する工業
輸出加工区は、関税を下げたり免除したりして外国企業を呼び込むために設けた地区。電気機械などの組立工業が集まった。
1980 年代にマレーシアが、日本や韓国の勤労倫理や経営を手本に工業化を進めようとした政策を何という?
ルックイースト政策
日本企業の進出も増え、電気機械や自動車の工業が育った。
ASEAN の域内で関税を引き下げ、貿易の自由化を進めるために 1990 年代に合意された枠組みは?
AFTA(ASEAN 自由貿易地域)
2015 年には、ヒト・モノ・カネの動きをより自由にする ASEAN 経済共同体(AEC)が発足した。
4. 多様な宗教と民族
根拠: 学習指導要領 地理探究-B-(2)-ア-(ア)
東南アジアはインドと中国の間に位置し、交易や植民地支配を通じてさまざまな宗教が伝わりました。
多くの国が複数の民族からなり、華人の経済での役割も大きな特色です。
東南アジアのなかで、フィリピンにカトリックの信者が多いのはなぜ?
スペインの植民地だったから
インドネシアやマレーシアには、アラブやインドの商人との交易を通じてイスラームが広まった。ポルトガル領だった東ティモールもカトリックが多い。
イスラームの信者が多いインドネシアのなかで、ヒンドゥー教が信仰されている島は?
バリ島
ヒンドゥー教の寺院や祭礼が、観光の資源にもなっている。
中国から東南アジアへ移り住み、現地の国籍を取った人々とその子孫を何という?
華人
中国の国籍のままの人は華僑と呼んで区別する。商業や金融などで大きな役割を果たしている。
マレーシアで、マレー系の住民を教育や雇用などで優遇してきた政策を何という?
ブミプトラ政策
経済の力をもつ中国系住民との格差を縮めるために始められた。