国土像を探究する手法
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「地理探究」C (1) ア (ア) の「現代世界におけるこれからの日本の国土像の探究を基に,我が国が抱える地理的な諸課題の解決の方向性や将来の国土の在り方などを構想することの重要性や,探究する手法などについて理解すること」に当たります。
この科目のまとめとして、このノートは、課題の設定から、地図と統計を使った分析、複数の立場を踏まえた構想までの探究する手法を扱います。
0. 何を押さえるか
| 段階 | すること | 使う道具・手法の例 |
|---|---|---|
| 課題の設定 | 問いを立て、仮説を置く | 地形図・統計・新聞記事での下調べ |
| 調査 | 資料を集め、現地を調べる | 文献調査・統計、野外調査(観察・聞き取り) |
| 分析 | 分布や変化を読み取る | 主題図、GIS |
| 構想・発表 | 解決の方向性をまとめ、意見を交わす | 複数の立場からの検討 |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 総数などの絶対値は図形表現図、割合や密度などの相対値は階級区分図。人口の多さを階級区分図で塗り分けると、面積の大きい地域が目立って誤解を生む
- 仮説は答えではない。調査で確かめ、合わなければ立て直す
- 解決の方向性は 1 つに決まらない。地域の住民・企業・行政など、立場によって望ましい姿が違う
1. 課題の設定と調査
根拠: 学習指導要領 地理探究-C-(1)-ア-(ア)
探究は、身近な地域や日本全体で気づいたことから問いを立てることで始まります。
問いに対して予想される答えを仮説として置き、それを確かめるために資料を集めます。
探究の初めに、問いに対して「〜だからではないか」と置く、予想される答えを何という?
仮説
調査の結果と合わなければ、仮説を立て直して調べ直す。
現地に出かけて、景観の観察や住民への聞き取りなどで情報を集める調査を何という?
野外調査(フィールドワーク)
出かける前に、地形図や統計などで地域の概要を調べておく(文献調査・事前調査)。
統計を使うときに、数値そのものとあわせて確かめておくべきことは?
いつの時点の数値か(調査年)と、どこが調べたものか(出典)
時点や調べ方が違う数値を並べて比べると、誤った結論を導くことがある。
2. 地図と統計の活用
根拠: 学習指導要領 地理探究-C-(1)-ア-(ア)
調べた結果は、地図に表すことで分布の偏りや地域どうしの結び付きが見えてきます。
統計の性質に合わせて、地図の表し方を選びます。
市町村ごとの人口(絶対値)を、階級区分図で色の濃淡に塗り分けると、どんな誤解を生みやすいか?
面積の広い市町村ほど人口が多いように見えてしまう
階級区分図は人口密度や高齢者の割合などの相対値に使い、絶対値は図形表現図で表す。
地域の課題を探究するとき、市町村ごとの高齢者の数と高齢者の割合を 1 枚の地図で重ねて示すには、どう組み合わせるのがよいか?
割合を階級区分図で塗り分け、数を円などの図形表現図で重ねる
相対値は色の濃淡、絶対値は図形の大きさ、と表し方を分けると読み違えにくい。
通勤・通学者の移動や物の流れを、向きと量を示す矢印の太さで表した地図を何という?
流線図
大都市圏の広がりや地域間の結び付きを読み取るのに使う。
さまざまな地理情報をコンピュータ上で重ね合わせ、分析・表示する仕組みを何という?
地理情報システム(GIS)
国土地理院の地理院地図などで、地形・土地利用・災害の情報を重ねて見ることができる。
同じ地域の古い地形図と新しい地形図を比べると、何が読み取れる?
土地利用や市街地の広がりなど、地域の変化
かつての水田や沼地が住宅地になった場所では、水害や地震の揺れやすさなど土地の性質も確かめる。
3. 複数の立場からの構想
根拠: 学習指導要領 地理探究-C-(1)-ア-(ア)
地理的な諸課題の解決の方向性については、複数の立場や意見があります。
それぞれの立場の考えを比べ、利点と課題を示したうえで、将来の国土の在り方を構想します。
ある地域の課題の解決に関わり、その結果によって影響を受ける人や組織(住民・企業・行政など)を何という?
利害関係者(ステークホルダー)
立場ごとに望ましい解決の姿が異なるため、それぞれの考えを並べて比べる。
ある目標を追うと別の目標が犠牲になるという関係を何という?
トレードオフ
たとえば大規模な開発は地域の雇用を生む一方、自然環境や景観を損なうことがある。
課題を考えるとき、市町村・都道府県・国・世界といった異なる空間の広がりで捉え直すのはなぜ?
同じ課題でも、見る範囲(スケール)によって原因や望ましい解決策が違って見えるから
たとえば地方の人口減少は、国全体で見ると大都市への人口集中と表裏の関係にある。
構想をまとめた後に発表し、他の人と意見を交わすのはなぜ?
別の立場からの見方を取り入れ、構想を見直して深めるため
探究は一度で終わらず、課題の設定・調査・考察・発表を繰り返して深まる。