重力とジオイド
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「地学」の内容 (1) ア (ア) ㋐「地球の形と重力」。
内容の取扱いは「ジオイドと重力異常にも触れること」を求めている。
0. どういう論点か
地球の「形」には、基準にする面が 2 つあります。混ぜると必ず取り違えます。
| 何で決まるか | 何の基準か | |
|---|---|---|
| 地球楕円体 | 数学的に決めた回転楕円体 | 緯度・経度、地図(→ 地球の形と大きさ) |
| ジオイド | 重力(平均海面がつくる等ポテンシャル面) | 標高 |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 重力 = 万有引力 + 遠心力(万有引力そのものではない)
- 標高の基準はジオイド、緯度・経度の基準は地球楕円体
- 重力異常は「実測 − その場所の標準重力」(重力が大きいか小さいかではなく、ずれ)
1. 重力の正体
根拠: 学習指導要領 地学-(1)-ア-(ア)-㋐
地学でいう「重力」は、何と何の合力?
万有引力と、自転による遠心力
だから重力の大きさと向きは緯度によって変わる。
重力の大きさは、赤道と極でどちらが大きい?
極のほうが大きい
赤道は ①遠心力が最大 ②地球の中心から遠い の両方で小さくなる。
赤道と極の重力加速度の値は、およそどれくらい?
赤道 約 9.780 m/s²、極 約 9.832 m/s²
差は 0.5 % ほど。標準重力加速度は 9.80665 m/s²。
赤道で重力が小さい理由を 2 つに分けると?
①遠心力が最大 ②赤道半径が大きく万有引力が小さい
どちらも扁平な回転楕円体であることの結果。
「鉛直方向」とは、厳密にはどの向き?
その場所の重力の向き
地球の中心を向くとは限らない(遠心力の分だけずれる)。
2. ジオイド
根拠: 学習指導要領 地学-(1)-ア-(ア)-㋐
ジオイドは、平均海面を陸地の下まで延長した面です。重力が決める面なので、
数学的に決めた地球楕円体とは一致しません。
ジオイドとは何?
平均海面を陸地の内部まで延長した、重力の等ポテンシャル面
「水が静止したときにできる面」と考えるとよい。
ジオイド面と重力の向きの関係は?
ジオイド面はどこでも重力の向きに垂直
等ポテンシャル面だから、面に沿って動かしても仕事がいらない。
標高(海面からの高さ)の基準になっているのは、地球楕円体とジオイドのどちら?
ジオイド
日本の標高は東京湾平均海面をもとにしたジオイドを基準にしている。
ジオイドと地球楕円体のずれ(ジオイド高)はどれくらい?
大きいところで ±100 m 程度
地球の半径 6400 km に比べればごく小さいが、測量では無視できない。
ジオイドが地球楕円体より盛り上がるのは、地下がどんな場所?
まわりより密度が大きい(質量が多い)場所
引力が強いぶん、等ポテンシャル面が外側にふくらむ。
GNSS(GPS)が直接求める高さは、標高とどう違う?
楕円体からの高さ(楕円体高)なので、ジオイド高を引かないと標高にならない
標高 = 楕円体高 − ジオイド高。
3. 重力異常
根拠: 学習指導要領 地学-(1)-ア-(ア)-㋐
重力異常は「測った重力と、その緯度・高度で期待される重力との差」です。
差が出るのは地下の密度がまわりと違うときなので、地下を推定する道具になります。
重力異常の定義は?
実測した重力から、その場所の標準重力(理論値)を引いた差
「重力の絶対値が大きい/小さい」ではなく、予想とのずれ。
測定値をそのまま比べられないので、まず何を補正する?
緯度による違いと、測定点の高さ(と周囲の地形・地殻の質量)
高さの補正が自由空気補正、その場の岩石の質量まで考えるのがブーゲー補正。
正の重力異常(プラス)は、地下に何があることを示す?
まわりより密度の大きい物質
例: 地下の岩塩ドームではなく、逆に重い岩体や鉱床、海洋プレートの沈み込み。
負の重力異常(マイナス)が出る場所の例は?
厚い堆積物がたまった盆地、地下の空洞、高い山脈の地下
山脈の下は軽い地殻が深くまで張り出している(→ アイソスタシー)。
重力異常を測ることは、探査でどう使われる?
地下の構造や資源(石油をためる地質構造・鉱床)の推定
掘らずに地下の密度分布を知る手がかりになる。
重力異常がほとんど 0 の地域は、地下について何を示す?
地殻の質量がつり合っている(アイソスタシーが成り立っている)こと
大陸の広い部分ではおおむね成り立っている。