太陽放射と地球放射
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「地学」の内容 (3) ア (ア) ㋐「大気の構造」。
内容の取扱いは「『地球全体の熱収支』については、地表や大気圏などに分けて扱うこと」を
求めている。
0. どういう論点か
熱収支は 「全体では釣り合っているが、場所ごとには釣り合っていない」のが要点です。
この不均衡が、大気と海洋の運動を生みます。
| 見る範囲 | 釣り合っているか |
|---|---|
| 地球全体(地表+大気) | 釣り合っている(入る=出る) |
| 地表だけ | 受け取りが多い(余る) |
| 大気だけ | 出すほうが多い(足りない) |
| 低緯度 | 余る |
| 高緯度 | 足りない |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 太陽放射は短波(可視光が主)、地球放射は長波(赤外線)
- 温室効果は「地球放射(赤外線)を吸収して再放射する」働き(太陽光を閉じ込めるのではない)
- 地球全体が受ける太陽放射は太陽定数の 1/4(断面積で受け、表面積で配るため)
1. 太陽放射と地球放射
根拠: 学習指導要領 地学-(3)-ア-(ア)-㋐
太陽定数とは?値はいくら?
太陽光に垂直な 1 m² が 1 秒に受け取るエネルギー。約 1.37 kW/m²
大気圏の外側、地球と太陽の平均距離での値。
地球全体が単位面積あたりに受ける太陽放射は、太陽定数の何分の 1?なぜ?
4 分の 1。断面積(πr²)で受け取り、表面積(4πr²)に配られるから
平均で約 342 W/m²。
太陽放射と地球放射は、波長がどう違う?
太陽放射は短波(可視光を中心)、地球放射は長波(赤外線)
温度が高い物体ほど短い波長で強く放射する。
アルベド(反射能)とは?地球全体ではいくら?
入ってきた太陽放射のうち反射される割合。約 30 %
雲・氷・砂漠で高く、海面で低い。
地球が受け取る太陽放射と、宇宙へ出す地球放射が等しいことを何という?
放射平衡(熱収支の釣り合い)
これが崩れると気温が変化する。
雪や氷が増えると気温はどうなる?その理由は?
下がる(アルベドが上がって太陽放射を反射するから)
寒冷化を加速する正のフィードバックになる。
2. 温室効果
根拠: 学習指導要領 地学-(3)-ア-(ア)-㋐
温室効果とは?
大気が地球放射(赤外線)を吸収し、再び地表へ放射することで地表の温度が高くなる働き
太陽放射(可視光)はほとんど通す。
温室効果ガスを 3 つ挙げると?影響がもっとも大きいのは?
水蒸気・二酸化炭素・メタン。もっとも大きいのは水蒸気
窒素や酸素は赤外線をほとんど吸収しない。
温室効果が無ければ、地表の平均気温はどれくらいになる?
約 −18 ℃(実際は約 15 ℃)
30 ℃ 以上を温室効果が担っている。
大気の窓とは?
大気が赤外線をほとんど吸収せず、地球放射が宇宙へ直接抜ける波長域
人工衛星から地表の温度が測れるのはこの窓を使うため。
金星の表面温度が 460 ℃ に達するのはなぜ?
厚い二酸化炭素の大気による強い温室効果
太陽に近いことだけでは説明できない。
3. 地表・大気圏に分けた熱収支と緯度差
根拠: 学習指導要領 地学-(3)-ア-(ア)-㋐
地表は、放射だけで見ると受け取りが多い。余った熱は何によって大気へ運ばれる?
水の蒸発による潜熱と、空気との間の熱伝導・対流(顕熱)
潜熱のほうが大きい。
潜熱とは?大気の熱収支でなぜ重要?
水が蒸発・凝結するときに出入りする熱。地表から大気へ大量の熱を運ぶから
雲ができるときに大気を暖める。
大気圏だけを見ると、放射では出す量が多い。その不足はどう埋められている?
地表から運ばれる潜熱と顕熱で埋められている
だから地表と大気を分けて見る必要がある。
低緯度と高緯度では、熱収支はどうなっている?
低緯度は受け取りが多くて余り、高緯度は放射で失うほうが多くて足りない
境目は緯度 35〜40° 付近。
低緯度で余った熱は、どうやって高緯度へ運ばれる?
大気の大循環と海洋の循環(海流)によって運ばれる
だから低緯度が熱くなりすぎず、高緯度も冷えきらない。
同じ太陽放射でも高緯度で受け取る量が少ないのはなぜ?
太陽光が斜めに当たり、同じ量のエネルギーが広い面積に広がるから
大気を通る距離も長くなる。
南中高度が高いほど地表が受け取るエネルギーが大きいのは、同じ理由?
同じ理由(垂直に近いほど単位面積あたりの受け取りが大きい)
季節の気温変化もこれで説明される。