みならいノート

古典探究 2027年度版

物語の類型

みならいノートで覚える(無料)

このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。

0. どういうまとまりか

古典の物語や説話には、作品が違っても同じ筋の運びが繰り返し表れます。これを物語の類型(話型)といいます。
類型を知っていると、初めて読む話でも「この先どう進むか」の見当がつき、その作品が型のどこを変えているかにも気づけます。

類型 筋の骨組み 当てはまる話の例
貴種流離譚 高貴な生まれの人が、本来の場所を離れてさすらい、苦難にあう 『源氏物語』の須磨・明石、『伊勢物語』の東下り
求婚難題譚(難題婿) 求婚する者に難題が課される 『竹取物語』の 5 人の貴公子
継子いじめ譚 継母にいじめられた子が、やがて幸せになる 『落窪物語』『住吉物語』
異類婚姻譚 人と、人でないものが結婚する 三輪山の伝説、鶴女房
報恩譚 助けられたものが恩を返す 『宇治拾遺物語』の雀の話
変身譚 人が別のものに姿を変える 道成寺の話、「夢応の鯉魚」
仙界訪問譚 この世とは別の世界へ行って帰る 浦島の話、「桃花源記」

分かれ目は次の 3 つ。

1. 類型で読むということ

根拠: 学習指導要領 古典探究-(1)-エ

物語を類型の視点から見ることは、表現の特色をつかむ方法の一つです。型に当てはめて終わりにせず、型と比べて何が違うかを読みます。

物語を類型の視点から読むと、どんなことが分かるか?

話の先の展開の見当がつくことと、その作品が型のどこを変えているかが分かること。
型どおりなら次に何が起こるかを予想でき、型から外れている所には、その作品の独自の工夫が表れている。

『竹取物語』は、どんな話の型を組み合わせてできているか?

竹の中から生まれる話(ふつうでない生まれ方)、竹取の翁が豊かになる話、求婚者に難題を出す話、天に帰る話、地名の由来を語る話など。
1 つの作品がいくつもの型を組み合わせている例で、最後の富士の山の名の由来が地名の起源の話にあたる。

2. 貴種流離譚

根拠: 学習指導要領 古典探究-(1)-エ

貴種流離譚は、民俗学者・国文学者の折口信夫が名づけた類型です。神話から物語、軍記まで広く見られ、日本の物語の骨組みの一つとされます。

「貴種流離譚」とは、どんな筋の話か?

高貴な生まれの人が、本来いるべき場所を離れて遠い土地をさすらい、苦難を経験する話。
苦難のあとに帰って栄える形(光源氏)と、さすらいの先で命を終える形(『古事記』の倭建命)がある。

『源氏物語』で貴種流離譚にあたるのは、どの部分か? どういう筋か?

須磨・明石の巻。帝の子である光源氏が、都での立場が悪くなって自分から須磨へ退き、わび住まいをする。
嵐にあったのち明石へ移って明石の君と結ばれ、やがて都へ呼び戻されて栄える。さすらいが、後の栄華の出発点になっている。

『伊勢物語』で貴種流離譚にあたるのは、どの段か? 主人公はなぜ旅に出るのか?

「東下り」の段。男は「身をえうなきものに思ひなして、京にはあらじ、東の方に住むべき国求めに」と、自分を都に必要のない者と思って東国へ下る。
旅の先々で都と都に残した人を思う歌を詠む。男は在原業平を思わせる人物で、皇族の血を引く。

『竹取物語』のかぐや姫を貴種流離譚の型で読むと、どう当てはまるか?

月の都の人(高貴な生まれ)が、罪を犯したために地上(卑しい所)に下され、期限が来て月へ帰る、という筋になる。
地上での日々が、かぐや姫にとっての「さすらい」にあたる。

3. 結婚をめぐる型

根拠: 学習指導要領 古典探究-(1)-エ

結婚は物語の大きな山場なので、型も多くあります。だれが妨げるか、相手が人であるかどうかで分かれます。

「求婚難題譚(難題婿)」とは、どんな筋の話か? 例を挙げると?

求婚する者に、果たすことの難しい課題が出される話。
『竹取物語』では、かぐや姫が 5 人の貴公子に、仏の御石の鉢・蓬莱の玉の枝・火鼠の皮衣・竜の首の珠・燕の子安貝を求め、だれも果たせない。『古事記』では、大国主神が須佐之男命から次々に試練を課され、娘の須勢理毘売の助けで切り抜けて結ばれる。このように、課題を果たして婿になる形を特に「難題婿」と呼ぶ。

「継子いじめ譚」とは、どんな筋の話か? 平安時代の代表的な作品は?

母を亡くした子が継母にいじめられるが、助ける人が現れて幸せになる話。代表は『落窪物語』。
床の落ちくぼんだ部屋に住まわされていた姫君が、貴公子に救い出されて幸せになる。『住吉物語』も同じ型。

「異類婚姻譚」とは、どんな筋の話か? 例を挙げると?

人が、人でないもの(神・動物など)と結婚する話。多くは、正体を知られたところで別れが来る。
『古事記』の三輪山の伝説(娘のもとに通う男の正体が三輪山の神と分かる)、昔話の鶴女房、狐が妻となる葛の葉の話など。

4. 報恩・変身・仙界訪問

根拠: 学習指導要領 古典探究-(1)-エ

説話や伝奇に多い型です。学習指導要領の解説は、物語の類型の例として「報恩譚」「変身譚」「貴種流離譚」「仙界遊行」を挙げています。

「報恩譚」とは、どんな筋の話か? 説話の例を挙げると?

助けられたもの(多くは動物)が、助けた人に恩を返す話。
『宇治拾遺物語』の「雀報恩の事」では、腰の折れた雀を助けた老女が、雀から瓢の種をもらって豊かになる。まねをして雀をわざと傷つけた隣の女は、ひどい目にあう。

「変身譚」とは、どんな筋の話か? 例を挙げると?

人が、動物など別のものに姿を変える話。
『今昔物語集』などに伝わる道成寺の話(僧を追う女が蛇になる)、上田秋成『雨月物語』の「夢応の鯉魚」(僧が鯉になって湖を泳ぐ)、唐代の「人虎伝」(人が虎になる。中島敦『山月記』のもとになった話)など。

「仙界訪問譚」とは、どんな筋の話か? 日本と中国の例を 1 つずつ挙げると?

人がこの世とは別の世界(仙人の世界・理想郷)を訪れ、帰ってくる話。解説の言う「仙界遊行」にあたる。
日本では浦島の話(『丹後国風土記』の逸文や『万葉集』に見える)、中国では陶淵明の「桃花源記」(漁師が桃の林の奥に、世を避けて暮らす人々の村を見つける)。

浦島の話と「桃花源記」に共通する、仙界訪問譚の決まった運びは何か?

別の世界は、一度出ると二度と戻れない。
浦島は、開けるなと言われた箱を開けてしまい、女のもとへ戻れなくなる。「桃花源記」の漁師は、帰り道に目印を付けたのに、二度と村を見つけられない。浦島の話では、向こうとこちらで時の流れ方が違うことも語られる。

このノートの 13 問を、暗記カードで復習できます

みならいノートで覚える(無料)

答えを隠して出題し、忘れそうなころにもう一度出します。

前 題材と美意識
典故と引用 次

このノートは無償で公開しています。当方は内容の正確性・完全性・最新性を保証しません。学習にあたっては、法令の原文・公式の出題範囲その他の一次資料を必ずご確認ください。試験への合格その他の効果を保証するものでもありません。

本文の転載・再配布はお断りしています(利用規約)。手元に置いて使いたい方は、ストアから Markdown ファイルとして入手できます。