遷移元素と錯イオン
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「化学」の内容 (3) ア (ア) ㋑「遷移元素」。
告示は「遷移元素の単体と化合物の性質を理解すること」を求めており、内容の取扱いは
クロム、マンガン、鉄、銅、亜鉛及び銀を扱うことを指定している。
0. どういう論点か
遷移元素は、典型元素と違って族で並べても性質が変わりません(隣どうしが似ています)。
代わりに、次の 4 つが全体に共通します。
| 共通する性質 | 例 |
|---|---|
| 複数の酸化数をとる | 鉄は +2 と +3、マンガンは +2・+4・+7 |
| 化合物やイオンに色がある | Cu²⁺ 青、Fe³⁺ 黄褐、MnO₄⁻ 赤紫 |
| 錯イオンをつくる | [Cu(NH₃)₄]²⁺、[Ag(NH₃)₂]⁺ |
| 触媒としてよく働く | 鉄触媒・酸化バナジウム(Ⅴ)・白金 |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- すべて金属元素(典型元素には非金属も含まれる)
- 配位数は金属イオンで決まる(Ag⁺ は 2、Cu²⁺ は 4、Fe は 6 など)
- 錯イオンになると沈殿が溶ける——分離の実験はこれを使う
1. 遷移元素の共通する性質
根拠: 学習指導要領 化学-(3)-ア-(ア)-㋑
遷移元素は周期表のどこにある?すべて何元素か?
3〜11 族。すべて金属元素
12 族を含める場合もある(告示は遷移元素の例に亜鉛を挙げている)。
遷移元素の単体に共通する性質は?
融点が高く、密度が大きいものが多い
金属結合に使える電子が多いため。
遷移元素が複数の酸化数をとるのはなぜ?
最外殻の電子だけでなく、内側の電子も結合に使われるから
同じ元素でも酸化数によって色や性質が変わる。
隣り合う遷移元素どうしの性質が似ているのはなぜ?
最外殻の電子の数が同じで、内側の電子の数だけが違うから
典型元素のように族で大きく変わらない。
2. 錯イオン
根拠: 学習指導要領 化学-(3)-ア-(ア)-㋑
錯イオンとは?
金属イオンに、非共有電子対をもつ分子やイオンが配位結合してできたイオン
配位するものを配位子という。
代表的な配位子を 3 つ挙げると?
アンモニア NH₃・シアン化物イオン CN⁻・水 H₂O
いずれも非共有電子対をもつ。
Ag⁺・Cu²⁺・Zn²⁺ の配位数はそれぞれいくつ?
Ag⁺:2、Cu²⁺:4、Zn²⁺:4
Fe²⁺・Fe³⁺ は 6。
[Cu(NH₃)₄]²⁺ の名称は?
テトラアンミン銅(Ⅱ)イオン
配位数を表す数詞(テトラ=4)+配位子名+金属名+酸化数。
[Ag(NH₃)₂]⁺ の名称と色は?
ジアンミン銀(Ⅰ)イオン。無色
塩化銀の沈殿にアンモニア水を加えると、これになって溶ける。
錯イオンの形は配位数でどう決まる?
配位数 2 は直線形、4 は正方形または正四面体形、6 は正八面体形
[Cu(NH₃)₄]²⁺ は正方形、[Zn(NH₃)₄]²⁺ は正四面体形。
沈殿している水酸化物に過剰のアンモニア水を加えると溶けるのは、どの金属イオン?
Ag⁺・Cu²⁺・Zn²⁺
錯イオンになって溶ける。Al³⁺ や Fe³⁺ は溶けない。
3. 色とその使いどころ
根拠: 学習指導要領 化学-(3)-ア-(ア)-㋑
Cu²⁺ の水溶液の色は?
青色
アンモニアを過剰に加えると、深青色の錯イオンになる。
Fe²⁺ と Fe³⁺ の水溶液の色は?
Fe²⁺ は淡緑色、Fe³⁺ は黄褐色
酸化されると色が変わるので、変化が目で追える。
過マンガン酸カリウム水溶液の色と、還元されたあとの色は?
赤紫色 → ほぼ無色(Mn²⁺ の淡桃色)
滴定で終点が分かるのはこのため。
二クロム酸カリウム水溶液の色と、還元されたあとの色は?
赤橙色 → 緑色(Cr³⁺)
酸化剤として働いた後の色。