実用電池
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「化学」の内容 (2) ア (ア) ㋑「電池」。
内容の取扱いは「日常生活や社会で利用されている代表的な実用電池を扱うこと」を求めており、
解説は乾電池、鉛蓄電池、リチウムイオン電池、燃料電池を例に挙げている。
0. どういう論点か
実用電池は充電できるかどうかでまず 2 つに分かれます。
| 呼び名 | 例 | |
|---|---|---|
| 充電できない | 一次電池 | マンガン乾電池・アルカリマンガン乾電池・リチウム電池 |
| 充電できる | 二次電池(蓄電池) | 鉛蓄電池・リチウムイオン電池 |
| 燃料を供給し続ける | 燃料電池 | リン酸形・固体高分子形 |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 鉛蓄電池は放電すると両極とも PbSO₄ になる(どちらの極も硫酸鉛(Ⅱ)で覆われる)
- 放電で硫酸が消費されるので、電解液の密度は下がる
- 燃料電池の生成物は水だけ
1. 一次電池
根拠: 学習指導要領 化学-(2)-ア-(ア)-㋑
一次電池とは?
充電できない(放電のみの)電池
反応が一方向にしか進まないもの。
マンガン乾電池の負極と正極の材料は?
負極:亜鉛、正極:酸化マンガン(Ⅳ)
電解液は塩化亜鉛などの水溶液。
アルカリマンガン乾電池がマンガン乾電池と違う点は?
電解液に水酸化カリウム(アルカリ)を使うこと
大きな電流を長く取り出せる。
リチウム電池が小型機器に向くのはなぜ?
リチウムは最もイオン化傾向が大きく軽いため、起電力が大きく軽量にできるから
時計や電卓などに使われる。
2. 鉛蓄電池
根拠: 学習指導要領 化学-(2)-ア-(ア)-㋑
放電すると両極とも硫酸鉛(Ⅱ) になる——ここが最頻出です。
負極は酸化されて、正極は還元されて、たまたま同じ物質にたどり着きます。
鉛蓄電池の負極・正極・電解液は?
負極:鉛 Pb、正極:酸化鉛(Ⅳ) PbO₂、電解液:希硫酸
自動車のバッテリーに使われる代表的な二次電池。
鉛蓄電池の放電時、負極で起きる反応は?
Pb + SO₄²⁻ → PbSO₄ + 2e⁻
負極の表面が硫酸鉛(Ⅱ)で覆われる。
鉛蓄電池の放電時、正極で起きる反応は?
PbO₂ + 4H⁺ + SO₄²⁻ + 2e⁻ → PbSO₄ + 2H₂O
正極も硫酸鉛(Ⅱ)になる。
鉛蓄電池を放電すると、電解液の希硫酸の濃度はどうなる?
小さくなる(密度が下がる)
硫酸が消費され、水が生成するため。密度を測れば充電の状態が分かる。
充電するとき、外部電源のどちら側を正極につなぐ?
正極に電源の正極(+)をつなぐ
放電と逆向きに電流を流して、反応を逆に進める。
二次電池を充電できるのはなぜ?
放電で生じた物質が電極に残っていて、逆向きの反応で元に戻せるから
鉛蓄電池では PbSO₄ が両極に残っている。
3. リチウムイオン電池と燃料電池
根拠: 学習指導要領 化学-(2)-ア-(ア)-㋑
リチウムイオン電池では、充放電のときに何が移動している?
リチウムイオン Li⁺
正極の材料と負極の黒鉛の間を行き来する。
リチウムイオン電池が携帯機器や電気自動車に使われるのはなぜ?
軽くて起電力が大きく、繰り返し充電できるから
同じ重さで蓄えられるエネルギーが大きい。
燃料電池とは?
水素などの燃料と酸素を供給し続けて、電気を取り出す電池
燃焼させずに、化学エネルギーを直接電気に変える。
水素と酸素の燃料電池で、負極(燃料極)の反応は?(リン酸形)
H₂ → 2H⁺ + 2e⁻
水素が酸化される。
水素と酸素の燃料電池で、正極(空気極)の反応は?(リン酸形)
O₂ + 4H⁺ + 4e⁻ → 2H₂O
酸素が還元されて水になる。
燃料電池の全体の反応は、結局どんな反応と同じ?
水素の燃焼(2H₂ + O₂ → 2H₂O)
生成物は水だけで、二酸化炭素を出さない。