ファラデーの法則と工業的利用
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「化学」の内容 (2) ア (ア) ㋒「電気分解」。
解説は「反応に関与した物質の変化量が流れた電気量に比例することを理解させること」を
ねらいとし、ファラデーの法則を扱うとしている。
0. どういう論点か
電気分解の計算は、電気量 → 電子の物質量 → 目的の物質の量という 1 本道です。
途中の「電子の物質量」を必ず経由すれば、どの反応でも同じ手順で解けます。
| 段階 | 使う関係 |
|---|---|
| 電気量を出す | Q = I × t(A × 秒) |
| 電子の物質量にする | Q ÷ 96500 |
| 物質の量にする | 半反応式の係数の比 |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 時間は秒に直す(分のまま掛けない)
- 半反応式の係数で換算する(Cu²⁺ は電子 2 mol で 1 mol、Ag⁺ は 1 mol で 1 mol)
- 直列につないだ電解槽には、同じ電気量が流れる
1. ファラデーの法則
根拠: 学習指導要領 化学-(2)-ア-(ア)-㋒
ファラデーの法則とは?
電極で変化する物質の量は、流れた電気量に比例する
同じ電気量なら、どの電解槽でも電子の物質量は同じになる。
電気量 Q[C]を電流 I[A]と時間 t から求める式は?
Q = I × t(t は秒)
分や時間で与えられたら、必ず秒に直す。
ファラデー定数 9.65 × 10⁴ C/mol は何を表す?
電子 1 mol がもつ電気量
電気量をこの値で割ると、電子の物質量になる。
電子 1 mol が流れたとき、銅は何 mol 析出する?
0.5 mol
Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu なので、電子 2 mol で銅 1 mol。
電子 1 mol が流れたとき、銀は何 mol 析出する?
1 mol
Ag⁺ + e⁻ → Ag で、係数が 1 : 1。
2 つの電解槽を直列につないだとき、流れる電気量の関係は?
どちらも同じ
一方の析出量が分かれば、もう一方も計算できる。
2. 工業的な電気分解
根拠: 学習指導要領 化学-(2)-ア-(ア)-㋒
銅の電解精錬では、陽極と陰極に何を使う?
陽極:粗銅、陰極:純銅
陽極の銅が溶けて、陰極に純度の高い銅が析出する。
電解精錬で、粗銅に含まれる銀や金はどうなる?
溶けずに陽極の下に沈む(陽極泥)
銅よりイオン化傾向が小さく、酸化されないため。
電解精錬で、粗銅に含まれる鉄や亜鉛はどうなる?
溶け出して、溶液中にイオンとして残る
銅よりイオン化傾向が大きく、陰極では析出しない。
イオン交換膜法では何を作る?
水酸化ナトリウム(と塩素・水素)
塩化ナトリウム水溶液の電気分解による。
イオン交換膜法で陽イオン交換膜を使うのはなぜ?
ナトリウムイオンだけを通し、水酸化物イオンや塩化物イオンを通さないため
生成した水酸化ナトリウムに塩素が混じるのを防ぐ。
アルミニウムはどうやって単体にする?
溶融塩電解(融解塩電解)
酸化アルミニウムを氷晶石とともに融かして電気分解する。水溶液では作れない。
アルミニウムの製造に大量の電力が要るのはなぜ?
融解させるためと、イオン化傾向が大きく還元しにくいため
リサイクルのほうがはるかに少ない電力で済む。
電気めっきは、めっきしたい金属を陽極と陰極のどちらにする?
めっきの材料を陽極、めっきされる製品を陰極
陽極が溶け、陰極の表面に析出する。