平和と人類の福祉
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「倫理」B (2) ア の「福祉,文化と宗教,平和などについて倫理的課題を見いだし」。内容の取扱いは、「平和」について、人類全体の福祉の向上に向けて考えることを求めています。
ここでは、暴力によらずに不正と戦った人々と、生命と人間の尊厳のために生涯を捧げた人々の思想を押さえます。
0. 何を押さえるか
平和は、戦争が無い状態だけを指すのではありません。貧困・差別・抑圧のように、人の生命と尊厳を損なう仕組みが無くなって、はじめて本当の平和だとする見方があります。
その実現のために、暴力に頼らない抵抗や、苦しむ人々への奉仕に生きた人々がいます。
| 人物 | 活動の場 | キーワード |
|---|---|---|
| シュヴァイツァー | アフリカ(ガボンのランバレネ)での医療 | 生命への畏敬 |
| ガンディー | インドの独立運動 | 非暴力・不服従、アヒンサー(不殺生)、サティヤーグラハ(真理の把握) |
| キング牧師 | アメリカの公民権運動 | 非暴力による黒人差別の撤廃、「私には夢がある」 |
| マザー・テレサ | インドのコルカタでの奉仕 | 見捨てられた人々への愛、「死を待つ人の家」 |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 「生命への畏敬」はシュヴァイツァー(ガンディーのアヒンサーと混同しない)
- アヒンサーは「不殺生」、サティヤーグラハは「真理の把握」。ガンディーの非暴力の運動の名はサティヤーグラハ
- ガンディーの影響を受けて非暴力で公民権運動を率いたのがキング牧師(インドではなくアメリカ)
1. 生命への畏敬 — シュヴァイツァー
根拠: 学習指導要領 倫理-B-(2)-ア
シュヴァイツァーは、神学者・哲学者・音楽家として名を成したのち、医学を学び直し、アフリカで医療に生涯を捧げました。
すべての生命は生きようとする意志をもつとして、人間だけでなくあらゆる生命を敬い、大切にすることを倫理の根本に置いたシュヴァイツァーの思想を何という?
生命への畏敬
生命を守り育てることを善、生命を損なうことを悪とした。
シュヴァイツァーが病院を開き、医療活動を続けたアフリカの地は?
ランバレネ(現在のガボン)
この活動などにより、1952 年のノーベル平和賞を受けた。
2. 非暴力による抵抗 — ガンディーとキング牧師
根拠: 学習指導要領 倫理-B-(2)-ア
暴力に暴力で応えれば、憎しみの連鎖が続きます。ガンディーは、不正には従わないが、相手を傷つけもしない、という抵抗の道を示しました。
ガンディーが説いた、あらゆる生き物を傷つけないことを意味する、インドの伝統的な考え方を何という?
アヒンサー(不殺生)
ガンディーはこれを、非暴力の抵抗の根本に置いた。
ガンディーが、真理をしっかりとつかみ、それに従って生きることを意味する語を、自らの非暴力・不服従の運動の名とした。その語は?
サティヤーグラハ(真理の把握)
暴力を用いず、不正な法や支配に従わないことで、相手の良心に訴えようとした。
ガンディーが、真理の把握のために求めた、欲望を抑えて自己を清めることを何という?
ブラフマチャリヤ(自己浄化)
アヒンサー・サティヤーグラハと並んで、ガンディーの思想の柱とされる。
ガンディーの非暴力の思想に学び、アメリカで黒人差別の撤廃を求める公民権運動を率いた牧師は?
キング牧師(マーティン・ルーサー・キング)
1963 年のワシントン大行進での演説「私には夢がある(I have a dream)」で知られる。1964 年にノーベル平和賞を受けた。
3. 奉仕と人間の尊厳 — マザー・テレサ
根拠: 学習指導要領 倫理-B-(2)-ア
貧困や病で見捨てられた人に寄り添うことも、平和と人類全体の福祉のための実践です。
インドのコルカタで、路上で死にゆく人々を引き取って看取る「死を待つ人の家」を開き、貧しい人々への奉仕に生涯を捧げたカトリックの修道女は?
マザー・テレサ
「神の愛の宣教者会」を設立した。1979 年にノーベル平和賞を受けた。
マザー・テレサが、現代の最も大きな苦しみとして挙げたとされるものは?
誰からも必要とされず、愛されないこと
物の貧しさだけでなく、心の貧しさ(孤独)こそが問題だとした。
4. 平和を築く思想と国際社会
根拠: 学習指導要領 倫理-B-(2)-ア
戦争の惨禍を経て、平和を人々の心と国際的な仕組みの両方から築こうとする取り組みが重ねられてきました。
「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」という前文で知られる国際機関の憲章は?
ユネスコ憲章(国連教育科学文化機関憲章)
教育・科学・文化の交流を通じて、平和を人々の心の中から築くことを目指した。
戦争のような直接的な暴力が無いだけでなく、貧困・差別・抑圧といった社会の仕組みによる暴力(構造的暴力)も無い状態を「積極的平和」と呼んだノルウェーの平和学者は?
ガルトゥング
直接的な暴力が無いだけの状態を「消極的平和」と呼んで区別した。
国家どうしが常備軍の廃止や国際的な連合によって永遠の平和を目指すべきだと、18 世紀末に著書で論じたドイツの哲学者と、その著書は?
カント、『永遠平和のために』
国際連盟や国際連合の構想の先駆けとされる。