証明のしくみ
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 第 2 学年 B 図形 (2) 図形の合同 ア (イ)「証明の必要性と意味及びその方法について理解すること」。
0. 何を押さえるか
「○○ならば△△」という事柄がいつでも正しいことを、すでに正しいと分かっていることを根拠にして、
筋道を立てて示すことを証明といいます。
図をかいて測ったり、いくつかの例で確かめたりしても、それはその例で成り立つことしか示せません。証明はすべての場合をまとめて示します。
| 言葉 | 意味 | 「△ABC ≡ △DEF ならば AB = DE」では |
|---|---|---|
| 仮定 | 「ならば」の前(分かっていること) | △ABC ≡ △DEF |
| 結論 | 「ならば」の後(示したいこと) | AB = DE |
| 定義 | 言葉の意味をはっきり決めたもの | 「合同とは、移動して重なること」 |
| 定理 | 証明された事柄のうち、よく使う大切なもの | 三角形の内角の和は 180° |
| 逆 | 仮定と結論を入れかえたもの | AB = DE ならば △ABC ≡ △DEF |
| 反例 | 事柄が成り立たない例 | 逆に対する反例は、AB = DE でも合同でない三角形 |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- いくつかの例で確かめても証明にはならない(反例は 1 つあれば「正しくない」と言える)
- 根拠に使えるのは、仮定・定義・すでに正しいと認められた性質だけ(図で「見るからに等しい」は根拠にならない)
- 正しい事柄の逆が、正しいとは限らない
1. 仮定と結論
根拠: 学習指導要領 中2-B-(2)-ア-(イ)
「○○ならば△△」の形の事柄で、○○の部分を仮定、△△の部分を結論といいます。
証明は、仮定から出発して結論にたどり着く道筋です。
「○○ならば△△」の仮定と結論は、それぞれどこか?
仮定は○○(「ならば」の前)、結論は△△(「ならば」の後)
証明は仮定から出発し、結論にたどり着く。結論を途中で根拠に使ってはいけない。
「 が 4 の倍数ならば、 は偶数である」の仮定と結論は?
仮定は が 4 の倍数、結論は は偶数
「ならば」で区切る。
2. 証明の必要性と意味
根拠: 学習指導要領 中2-B-(2)-ア-(イ)
図をいくつかかいて分度器や定規で測ると、性質の見当はつきます。しかし測った図以外にも当てはまるかは分かりませんし、測定には誤差もあります。
どんな場合にも成り立つことを示すには証明が必要です。
証明とは何か?
すでに正しいと認められた事柄を根拠にして、ある事柄がいつでも正しいことを筋道を立てて示すこと
例で確かめることとは違い、すべての場合をまとめて示す。
いくつかの図で測って確かめても証明にならないのは、なぜか?
確かめた図でしか成り立つと言えず、すべての場合で成り立つことは示せないから
測定には誤差もある。
証明の根拠として使ってよいものは?
仮定、定義、すでに正しいと認められた性質(対頂角・平行線の性質・合同条件など)
図を見て「等しそうだ」は根拠にならない。
3. 定義と定理
根拠: 学習指導要領 中2-B-(2)-ア-(イ)
「二等辺三角形とは、2 つの辺が等しい三角形である」のように、言葉の意味をはっきり決めたものが定義です。
定義から証明によって導かれた事柄のうち、よく使う大切なものを定理といいます。
定義と定理の違いは?
定義は言葉の意味を決めたもの(証明しない)、定理は証明された大切な事柄
「二等辺三角形は 2 辺が等しい」は定義、「二等辺三角形の底角は等しい」は定理。
証明の中で、図形の定義は何のために使うか?
仮定の言いかえや結論の言いかえに使う
「△ABC は二等辺三角形」という仮定を、定義で「AB = AC」という使える形に直す。
4. 逆と反例
根拠: 学習指導要領 中2-B-(2)-ア-(イ)
「○○ならば△△」の仮定と結論を入れかえた「△△ならば○○」を、もとの事柄の逆といいます。
正しい事柄の逆は、正しいこともあれば、正しくないこともあります。正しくないことを示すには、成り立たない例(反例)を 1 つ挙げれば十分です。
ある事柄の逆とは?
仮定と結論を入れかえたもの
「○○ならば△△」の逆は「△△ならば○○」。
正しい事柄の逆は、いつも正しいか?
正しいとは限らない
「 ならば 」は正しいが、逆の「 ならば 」は のとき成り立たない。
反例とは? また、いくつ挙げれば事柄が正しくないと言えるか?
事柄が成り立たない例。1 つ挙げれば十分
正しいことを言うには証明が要るが、正しくないことを言うには反例 1 つでよい。
「2 つの三角形が合同ならば、面積は等しい」の逆は正しいか?
正しくない(逆は「面積が等しければ合同」)
反例: 底辺 4 cm・高さ 3 cm の三角形と、底辺 6 cm・高さ 2 cm の三角形。面積はどちらも 6 cm² だが合同ではない。
練習問題
問 1 「△ABC で AB = AC ならば、∠B = ∠C である」の仮定と結論を答えよ。
仮定 AB = AC、結論 ∠B = ∠C
方針 「○○ならば△△」の形の文は、「ならば」で 2 つに区切る。前が仮定(分かっていること)、後が結論(示したいこと)。
- 文を「ならば」で区切る。前は「△ABC で AB = AC」、後は「∠B = ∠C である」。
- 「ならば」の前で、分かっていることは AB = AC。これが仮定。
- 「ならば」の後の ∠B = ∠C が、示したいこと。これが結論。
- 「△ABC で」は、どの図形の話かを決めている部分で、仮定と結論のどちらにも共通する前提。
問 2 次の事柄の逆を答え、それが正しいかどうか答えよ。正しくない場合は反例を 1 つ挙げよ。
「 も も偶数ならば、 は偶数である」
「 も も偶数ならば、 は偶数である」
逆は「 が偶数ならば、 も も偶数である」。正しくない
方針 逆は、仮定と結論を入れかえてつくる。正しいかどうかは、反例を探して確かめる。ここでは「 は偶数なのに、 も も偶数、にはなっていない」例を探す。
- もとの事柄の仮定は「 も も偶数」、結論は「 は偶数」。
- 仮定と結論を入れかえる。逆は「 が偶数ならば、 も も偶数である」。
- 和が偶数になるのは、偶数どうしのときだけではない。奇数どうしをたしても偶数になる。
- そこで奇数どうしの例をつくる。、 のとき、 で偶数だが、 も も奇数。
- 成り立たない例(反例)が 1 つあるので、逆は正しくない。
ここで間違えやすい もとの事柄は正しい。正しい事柄でも、その逆が正しいとは限らない。
問 3 次の事柄の逆を答え、正しいかどうか答えよ。
「2 直線が平行ならば、同位角は等しい」
「2 直線が平行ならば、同位角は等しい」
逆は「同位角が等しいならば、2 直線は平行である」。正しい
方針 逆は、仮定と結論を入れかえてつくる。できた文が、すでに正しいと認められた性質と同じかどうかを見る。
- もとの事柄の仮定は「2 直線が平行」、結論は「同位角は等しい」。
- 仮定と結論を入れかえる。逆は「同位角が等しいならば、2 直線は平行である」。
- これは「平行線になる条件」そのもので、正しいと認められている。
- だから、逆は正しい。正しい事柄の逆が正しいこともある。
ここで間違えやすい もとの事柄は「平行線の性質」、逆は「平行線になる条件」。向きが逆の、別の事柄である。
問 4 線分 AB と CD が点 O で交わり、AO = BO、CO = DO である。このとき AC = BD であることを証明せよ。
証明の例
方針 AC は △AOC の辺、BD は △BOD の辺。そこで、この 2 つの三角形が合同であることを示し、「合同な図形の対応する辺は等しい」から AC = BD を言う。辺が 2 組等しいことは仮定にあるので、その間の角が等しいことを示して、「2 組の辺とその間の角」を使う。
- 比べる 2 つの三角形を書く。「△AOC と △BOD において、」
- 仮定から AO = BO …①
- 仮定から CO = DO …②
- 対頂角は等しいから ∠AOC = ∠BOD …③
- ①、②、③より、2 組の辺とその間の角がそれぞれ等しいので △AOC ≡ △BOD
- 合同な図形の対応する辺は等しいので AC = BD(これが結論)
ここで間違えやすい どの行にも根拠(仮定から、対頂角は等しいから、など)を書く。「図で等しく見える」は根拠にならない。また、示したい AC = BD を途中で使わない。
問 5 「4 つの辺が等しい四角形は正方形である」は正しいか。正しくないなら反例を挙げよ。
正しくない
方針 「正しくない」と言うには、成り立たない例(反例)を 1 つ挙げればよい。正方形は、辺のほかに角にも決まりがあるので、「4 つの辺は等しいが、角が合わない四角形」を探す。
- 正方形は、4 つの辺が等しく、4 つの角も等しい(どれも 90°)四角形。
- 4 つの辺が等しいだけの四角形は、ひし形。角は 90° でなくてもよい。
- たとえば、角が 60° と 120° のひし形は、4 つの辺が等しいが、角が 90° でないので正方形ではない。
- これが反例になる。反例が 1 つあるので、この事柄は正しくない。
反例: 4 つの辺が等しく、角が 90° でない四角形(ひし形で正方形でないもの)。