三角形と四角形の性質
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 第 2 学年 B 図形 (2) 図形の合同 ア (イ)「証明の必要性と意味及びその方法について理解すること」。
内容の取扱い (1) の「正方形,ひし形及び長方形が平行四辺形の特別な形であること」もここで扱います。
0. 何を押さえるか
二等辺三角形や平行四辺形の性質は、小学校では「測ってみるとそうなっている」ものでした。
中 2 では、定義から出発して、三角形の合同条件を使って証明された性質(定理)として整理し直します。
ここで、定義と定理を区別して覚えることが大切になります。
| 図形 | 定義(意味を決めたもの) | 主な性質(証明できること) |
|---|---|---|
| 二等辺三角形 | 2 つの辺が等しい三角形 | 底角は等しい/頂角の二等分線は底辺を垂直に 2 等分する |
| 正三角形 | 3 つの辺が等しい三角形 | 3 つの角は等しい(どれも 60°) |
| 平行四辺形 | 2 組の向かい合う辺がそれぞれ平行な四角形 | 2 組の対辺・2 組の対角がそれぞれ等しい/対角線はそれぞれの中点で交わる |
| 長方形 | 4 つの角が等しい四角形 | 対角線の長さが等しい |
| ひし形 | 4 つの辺が等しい四角形 | 対角線が垂直に交わる |
| 正方形 | 4 つの角が等しく、4 つの辺が等しい四角形 | 対角線の長さが等しく、垂直に交わる |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 定義と性質を取り違えない(平行四辺形の定義は「対辺が平行」。「対辺が等しい」は性質)
- 長方形・ひし形・正方形は、どれも平行四辺形の特別な形(平行四辺形の性質はすべて持つ)
- 対角線: 長方形は長さが等しい、ひし形は垂直に交わる、正方形はその両方
1. 二等辺三角形
根拠: 学習指導要領 中2-B-(2)-ア-(イ)
二等辺三角形 ABC(AB = AC)で、等しい 2 辺の間の角 ∠A を頂角、BC を底辺、底辺の両端の角 ∠B・∠C を底角といいます。
頂角の二等分線を引いてできる 2 つの三角形は、2 組の辺とその間の角が等しいので合同で、そこから底角が等しいことが言えます。
二等辺三角形の定義は?
2 つの辺が等しい三角形
「底角が等しい」は定義ではなく、定義から証明される性質(定理)。
二等辺三角形の性質(定理)を 2 つ答えよ。
底角は等しい/頂角の二等分線は、底辺を垂直に 2 等分する
どちらも、頂角の二等分線で分けた 2 つの三角形が合同であることから導く。
三角形が二等辺三角形になるための条件は?
2 つの角が等しい三角形は二等辺三角形である
「二等辺三角形の底角は等しい」の逆。この逆は正しい。等しい 2 角の向かいの辺が等しくなる。
正三角形の定義と、その角の性質は?
定義は 3 つの辺が等しい三角形。3 つの角は等しく、どれも 60°
正三角形は二等辺三角形の特別な形なので、どの 2 辺を見ても底角が等しくなる。
2. 平行四辺形の定義と性質
根拠: 学習指導要領 中2-B-(2)-ア-(イ)
平行四辺形 ABCD の対角線 AC を引くと、平行線の錯角を使って △ABC ≡ △CDA が言えます。
ここから、向かい合う辺・角が等しいことが分かります。
平行四辺形の定義は?
2 組の向かい合う辺が、それぞれ平行な四角形
「対辺が等しい」は定義ではなく性質。記号では AB ∥ DC、AD ∥ BC。
平行四辺形の性質を 3 つ答えよ。
2 組の対辺はそれぞれ等しい/2 組の対角はそれぞれ等しい/対角線はそれぞれの中点で交わる
対角線は長さが等しいとは限らない(等しいのは長方形)。
3. 平行四辺形になるための条件
根拠: 学習指導要領 中2-B-(2)-ア-(イ)
四角形が次のどれかを満たせば、平行四辺形です。1 つめは定義、2〜4 は性質の逆です。
- 2 組の対辺がそれぞれ平行である(定義)
- 2 組の対辺がそれぞれ等しい
- 2 組の対角がそれぞれ等しい
- 対角線がそれぞれの中点で交わる
- 1 組の対辺が平行で、その長さが等しい
平行四辺形になるための条件を 5 つ答えよ。
2 組の対辺がそれぞれ平行/2 組の対辺がそれぞれ等しい/2 組の対角がそれぞれ等しい/対角線がそれぞれの中点で交わる/1 組の対辺が平行でその長さが等しい
最後の 1 つだけは「2 組」でなく「1 組」で、平行かつ等しいの両方が要る。
「1 組の対辺が等しく、もう 1 組の対辺が平行」な四角形は、必ず平行四辺形か?
必ずとは言えない
等しい辺と平行な辺が同じ 1 組でなければならない。平行な 1 組の辺が等しいなら平行四辺形になる。
4. 長方形・ひし形・正方形
根拠: 学習指導要領 中2-B-(2)-ア-(イ)
長方形・ひし形・正方形は、どれも平行四辺形の特別な形です。4 つの角が等しい四角形は、2 組の対角がそれぞれ等しいので平行四辺形になるからです。
そのため、平行四辺形の性質(対辺・対角が等しい、対角線が中点で交わる)をすべて持ち、さらにそれぞれの対角線の性質があります。
長方形・ひし形・正方形の定義は?
長方形は 4 つの角が等しい四角形、ひし形は 4 つの辺が等しい四角形、正方形は 4 つの角が等しく 4 つの辺が等しい四角形
正方形は、長方形でもあり、ひし形でもある。
長方形・ひし形・正方形が、平行四辺形の特別な形と言えるのはなぜか?
どれも平行四辺形になるための条件を満たすから
4 つの角が等しければ 2 組の対角が等しい。4 つの辺が等しければ 2 組の対辺が等しい。
長方形・ひし形・正方形の対角線の性質の違いは?
長方形は長さが等しい、ひし形は垂直に交わる、正方形は長さが等しく垂直に交わる
どれも平行四辺形なので、対角線がそれぞれの中点で交わることは共通。
平行四辺形に、どんな条件を加えるとひし形になるか?(対角線について)
対角線が垂直に交わる
長方形にするなら「対角線の長さが等しい」または「1 つの角が直角」。
5. 平行線と面積
根拠: 学習指導要領 中2-B-(2)-ア-(イ)
底辺が共通な三角形は、高さが等しければ面積が等しくなります。
直線 AB と直線 PQ が平行なら、P と Q から AB までの距離(高さ)は等しいので、△PAB と △QAB の面積は等しいです。
これを使って、面積を変えずに形を変えることを等積変形といいます。
PQ ∥ AB のとき、△PAB と △QAB の面積はどうなるか? また、その理由は?
等しい
底辺 AB が共通で、平行線の間の距離は一定なので高さも等しいから。
等積変形とは?
面積を変えずに図形の形を変えること
平行線を引き、頂点を平行線上で動かすと、底辺と高さが変わらないので面積が保たれる。
練習問題
問 1 AB = AC の二等辺三角形 ABC で、∠A = 40° のとき、∠B を求めよ。
70°
方針 AB = AC なので、等しい 2 辺の間の ∠A が頂角、∠B と ∠C が底角。二等辺三角形の底角は等しいので、内角の和 180° から頂角をひいた残りを 2 等分する。
- 二等辺三角形の底角は等しいので、∠B = ∠C。
- 内角の和は 180° なので、∠B と ∠C の和は
- ∠B と ∠C は等しいので、2 でわる。∠B は
ここで間違えやすい 40° が頂角か底角かを、等しい辺から先に決める。等しい辺 AB、AC の間にあるのが頂角なので、∠A は頂角。
問 2 平行四辺形 ABCD で ∠A = 110° のとき、∠B と ∠C を求めよ。
∠B = 70°、∠C = 110°
方針 ∠C は ∠A の向かいの角(対角)なので、平行四辺形の性質「対角は等しい」を使う。∠B は ∠A のとなりの角なので、平行線の間にできる 2 つの角の和が 180° になることを使う。
- ∠C は ∠A の対角。平行四辺形の対角は等しいので、∠C = ∠A = 110°。
- ∠A と ∠B は、平行な AD と BC に直線 AB が交わってできる、内側で同じ側にある角(同側内角)。だから、2 つの和は 180°。
- 180° から ∠A をひく。∠B は
- 確かめ。∠D は ∠B の対角なので 70°。4 つの角の和は で、四角形の内角の和になっている。
問 3 AB = AC の二等辺三角形 ABC で、∠A の二等分線と辺 BC の交点を D とする。∠B = ∠C であることを証明せよ。
証明の例
方針 二等分線 AD で分けると、∠B は △ABD の角、∠C は △ACD の角になる。そこで、この 2 つの三角形が合同であることを示し、「合同な図形の対応する角は等しい」から ∠B = ∠C を言う。等しい辺が 2 組(AB と AC、共通な AD)と、その間の角(二等分された ∠A)があるので、「2 組の辺とその間の角」を使う。
- 比べる 2 つの三角形を書く。「△ABD と △ACD において、」
- 仮定から AB = AC …①
- AD は ∠A の二等分線だから ∠BAD = ∠CAD …②
- 共通な辺だから AD = AD …③
- ①、②、③より、2 組の辺とその間の角がそれぞれ等しいので △ABD ≡ △ACD
- 合同な図形の対応する角は等しいので ∠B = ∠C(これが結論)
ここで間違えやすい 「二等辺三角形の底角は等しいから」と書いてはいけない。それは、いま示したいことそのものである。
問 4 平行四辺形 ABCD の対角線の交点を O とする。AO = CO であることを証明せよ。
証明の例
方針 AO は △AOB の辺、CO は △COD の辺。そこで、この 2 つの三角形が合同であることを示し、「合同な図形の対応する辺は等しい」から AO = CO を言う。等しいと言える辺は AB と CD の 1 組だけなので、その両端の角を平行線の錯角で示して、「1 組の辺とその両端の角」を使う。
- 比べる 2 つの三角形を書く。「△AOB と △COD において、」
- 平行四辺形の対辺は等しいから AB = CD …①
- AB ∥ DC で、直線 AC が交わってできる錯角は等しいから ∠OAB = ∠OCD …②
- AB ∥ DC で、直線 BD が交わってできる錯角は等しいから ∠OBA = ∠ODC …③
- ①、②、③より、1 組の辺とその両端の角がそれぞれ等しいので △AOB ≡ △COD
- 合同な図形の対応する辺は等しいので AO = CO(これが結論)
ここで間違えやすい 「平行四辺形の対角線はそれぞれの中点で交わるから」と書いてはいけない。それは、いま示したいことそのものである。また、対頂角の ∠AOB = ∠COD も等しいが、辺 AB の両端の角ではないので、この合同条件では使わない。
問 5 次の四角形 ABCD のうち、必ず平行四辺形になるものをすべて選べ。
ア AB = DC、AD = BC イ AB ∥ DC、AB = DC ウ AB ∥ DC、AD = BC エ ∠A = ∠C、∠B = ∠D
ア AB = DC、AD = BC イ AB ∥ DC、AB = DC ウ AB ∥ DC、AD = BC エ ∠A = ∠C、∠B = ∠D
ア、イ、エ
方針 平行四辺形になるための 5 つの条件と、1 つずつ照らし合わせる。四角形 ABCD では、AB と DC、AD と BC が向かい合う辺(対辺)、∠A と ∠C、∠B と ∠D が向かい合う角(対角)であることを先に押さえる。
- アを見る。AB = DC、AD = BC は、2 組の対辺がそれぞれ等しい。条件に当てはまるので、平行四辺形になる。
- イを見る。AB ∥ DC、AB = DC は、同じ 1 組の対辺が平行で、その長さが等しい。条件に当てはまるので、平行四辺形になる。
- ウを見る。平行なのは AB と DC、等しいのは AD と BC で、別の組になっている。どの条件にも当てはまらない。
- ウの条件では、平行四辺形でない台形(等脚台形)もありうる。だから、必ず平行四辺形になるとは言えない。
- エを見る。∠A = ∠C、∠B = ∠D は、2 組の対角がそれぞれ等しい。条件に当てはまるので、平行四辺形になる。
- 必ず平行四辺形になるのは、ア、イ、エ。
ここで間違えやすい 「1 組の対辺が平行でその長さが等しい」は、平行な辺と等しい辺が同じ組のときだけ使える。イとウの違いはここにある。
問 6 AD ∥ BC の台形 ABCD で、対角線 AC と BD を引く。△ABC と面積が等しい三角形を 1 つ答えよ。
△DBC
方針 底辺が共通で、高さが等しい三角形は、面積が等しい。△ABC の辺のうち、平行線の上にある BC を底辺と見る。すると、頂点 A をもう一方の平行線 AD の上で動かしても、高さは変わらない。
- △ABC の底辺を BC と見る。高さは、頂点 A から直線 BC までの距離。
- AD ∥ BC なので、平行線の間の距離は一定。D から直線 BC までの距離は、A からの距離と等しい。
- 底辺を BC のままにして、頂点を A から D にかえた三角形は △DBC。
- △ABC と △DBC は、底辺 BC が共通で高さも等しいので、面積が等しい。