相似と三角形の相似条件
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 第 3 学年 B 図形 (1) 図形の相似 ア (ア)「平面図形の相似の意味及び三角形の相似条件について理解すること」。
0. 何を押さえるか
形を変えずに大きさだけを変えた図形どうしを相似といいます。合同が「形も大きさも同じ」なら、相似は「形が同じ」です。
三角形が相似かどうかは、合同条件と対になる三角形の相似条件で判断します。
| 三角形の合同条件 | 三角形の相似条件 |
|---|---|
| 3 組の辺がそれぞれ等しい | 3 組の辺の比がすべて等しい |
| 2 組の辺とその間の角がそれぞれ等しい | 2 組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しい |
| 1 組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい | 2 組の角がそれぞれ等しい |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 記号 ∽ は、対応する頂点の順に書く(△ABC ∽ △DEF なら A と D、B と E、C と F が対応)
- 「2 組の辺の比と 1 つの角」は、その角が 2 辺の間になければ使えない
- 角だけの条件は 2 組で足りる(3 組目は内角の和 180° から自動的に等しい)
1. 相似の意味と記号
根拠: 学習指導要領 中3-B-(1)-ア-(ア)
一方の図形を拡大または縮小すると、他方と合同になるとき、2 つの図形は相似です。
相似な図形では、対応する部分の長さの比がどこでも同じで、対応する角はそれぞれ等しくなります。
2 つの図形が相似であるとは、どういうことか?
一方を拡大または縮小したものが、他方と合同になること
形が同じで、大きさだけが違ってよい。合同な図形も相似である。
相似な図形の性質を 2 つ答えよ。
対応する線分の長さの比はすべて等しい。対応する角の大きさはそれぞれ等しい
角は等しいが、長さは等しくない(比が等しい)。
△ABC と △DEF が相似であることを、記号でどう表すか? 書くときの注意は?
△ABC ∽ △DEF。対応する頂点の順に書く
この書き方で、A と D、B と E、C と F が対応していることまで表す。
相似比とは何か?
相似な図形で、対応する線分の長さの比
、 なら、相似比は 。合同な図形の相似比は 。
2. 三角形の相似条件
根拠: 学習指導要領 中3-B-(1)-ア-(ア)
2 つの三角形は、次の 3 つのうちどれか 1 つが成り立てば相似です。合同条件の「等しい辺」を「辺の比が等しい」に置きかえると覚えやすくなります。
三角形の相似条件を 3 つ答えよ。
① 3 組の辺の比がすべて等しい ② 2 組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しい ③ 2 組の角がそれぞれ等しい
どれか 1 つが成り立てば相似。
三角形の合同条件「1 組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい」に対応する相似条件は?
2 組の角がそれぞれ等しい
相似では大きさを問わないので、辺の条件が要らなくなる。
「2 組の辺の比が等しく、1 組の角が等しい」だけで、三角形が相似と言えるか?
その角が 2 辺の間の角でなければ言えない
相似条件は「2 組の辺の比とその間の角」。間にない角では、形が 1 つに決まらない。
2 つの三角形で、2 組の角が等しいことしか分かっていない。3 組目の角も等しいと言えるか?
言える
三角形の内角の和は 180° なので、残りの角は自動的に等しくなる。だから相似条件は 2 組の角で足りる。
△ABC で 、△DEF で のとき、相似と言えるか?
言える(3 組の辺の比がすべて )
、、 はどれも 。△ABC ∽ △DEF。
3. 相似の証明の組み立て
根拠: 学習指導要領 中3-B-(1)-ア-(ア)
相似の証明は、合同の証明と同じ組み立てです。仮定から等しい角や辺の比を集め、どの相似条件に当てはまるかを示して結論を書きます。
相似の証明で、いちばんよく使われる相似条件はどれか? 等しい角をどこから探すか?
2 組の角がそれぞれ等しい。共通な角・対頂角・平行線の同位角や錯角・直角から探す
図の中に 2 つの三角形が重なっているときは、共通な角が 1 組目になることが多い。
相似の証明の最後に書くことは?
使った相似条件と、結論(△○○○ ∽ △○○○)
「2 組の角がそれぞれ等しいから、△ABC ∽ △HBA」のように、条件の名前を書いてから結論を書く。
練習問題
問 1 △ABC ∽ △DEF で、 cm、 cm、 cm である。相似比と の長さを求めよ。
相似比 、 cm
方針 △ABC ∽ △DEF と書いてあるので、A と D、B と E、C と F が対応する。対応する辺 AB と DE は、長さが両方とも分かっている。まずここから相似比を出し、同じ比を BC と EF にも当てはめる。
- 対応する辺を確かめる。AB に対応するのは DE、BC に対応するのは EF。
- 長さが両方分かっている AB と DE で、相似比を作る。
- 両方を 3 でわって、かんたんな比にする。
- BC と EF の比も、同じ になる。
- 比例式では、外側どうしの積と内側どうしの積が等しいので、
- なので、
ここで間違えやすい BC の相手は EF。記号 ∽ の頂点の順(B と E、C と F)で相手の辺を決める。
問 2 △ABC で ∠A = 50°、∠B = 70°、△DEF で ∠D = 50°、∠F = 60° である。この 2 つの三角形は相似か。相似なら記号で表し、使った相似条件を答えよ。
相似。△ABC ∽ △DEF(2 組の角がそれぞれ等しい)
方針 分かっているのは角だけなので、相似条件「2 組の角がそれぞれ等しい」が使えるかを調べる。ただし、分かっている角の場所がそろっていない(△ABC は A と B、△DEF は D と F)。そこで、残りの角を内角の和 180° から求め、3 つの角を全部ならべて比べる。
- △ABC の残りの角を求める。∠C = 180° − 50° − 70° = 60°
- △DEF の残りの角を求める。∠E = 180° − 50° − 60° = 70°
- 3 つの角をならべる。△ABC は ∠A = 50°、∠B = 70°、∠C = 60°。△DEF は ∠D = 50°、∠E = 70°、∠F = 60°。
- ∠A = ∠D(どちらも 50°)、∠B = ∠E(どちらも 70°)なので、2 組の角がそれぞれ等しい。だから相似である。
- 等しい角の頂点どうしが対応するので、A と D、B と E、C と F。この順に書いて、△ABC ∽ △DEF。
ここで間違えやすい 問題文に出てくる ∠B = 70° と ∠F = 60° をそのまま比べて、「等しくないから相似でない」としない。70° の角の相手は ∠E である。
問 3 △ABC で cm、 cm、△DEF で cm、 cm で、∠A = ∠D である。この 2 つの三角形は相似か。
相似(2 組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しい)
方針 辺が 2 組と、角が 1 組分かっている。だから、相似条件「2 組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しい」に当てはまるかを調べる。確かめることは 2 つある。2 組の辺の比が等しいか。等しい角が、その 2 辺の間にあるか。
- ∠A = ∠D なので、A と D が対応する。∠A をはさむ辺は AB と AC、∠D をはさむ辺は DE と DF。
- 1 組目の辺の比を求める。
- 2 組目の辺の比を求める。
- どちらも なので、2 組の辺の比は等しい。
- ∠A は AB と AC の間の角、∠D は DE と DF の間の角。等しい角は、比べた 2 辺の間にある。
- 2 組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しいから、△ABC ∽ △DEF。
ここで間違えやすい 等しい角が 2 辺の間にないとき(たとえば ∠B = ∠E のとき)は、この条件は使えない。角の場所を必ず確かめる。
問 4 ∠A = 90° の直角三角形 ABC で、頂点 A から辺 BC に垂線 AH を引く。△ABC ∽ △HBA であることを証明せよ。
証明の例
方針 辺の長さは 1 つも分かっていないので、角だけで言える「2 組の角がそれぞれ等しい」をねらう。大きい △ABC と、その中にある小さい △HBA は、どちらも直角を 1 つもち、∠B を共有している。この 2 つを、等しい角の組として書く。
- まず、比べる 2 つの三角形を書く。△ABC と △HBA で、
- 直角どうしを比べる。仮定より ∠BAC = 90°、AH ⊥ BC より ∠BHA = 90° なので、∠BAC = ∠BHA …①
- 重なっている角を見る。∠B は 2 つの三角形に共通なので、∠ABC = ∠HBA …②
- 相似条件の名前を書いてから、結論を書く。①、②より、2 組の角がそれぞれ等しいから、△ABC ∽ △HBA
ここで間違えやすい 頂点の順。直角の頂点は △ABC では A、△HBA では H なので、A と H が対応する。B は B に、C は A に対応する。△ABH のように順を変えて書くと、対応がずれる。
問 5 問 4 の図で、 cm、 cm のとき、 の長さを求めよ。
3.6 cm
方針 問 4 で示した △ABC ∽ △HBA を使う。求めたい BH は、小さい △HBA の辺である。相似な三角形では対応する辺の比が等しいので、BH をふくむ比の式を作る。先に、どの辺とどの辺が対応するかを頂点の順から決める。
- △ABC ∽ △HBA の頂点の順から、A と H、B と B、C と A が対応する。
- 辺の対応を書く。AB に対応するのは HB、BC に対応するのは BA。
- 対応する辺の比は等しいので、
- 長さを当てはめる。BA は AB と同じ辺なので 6 cm。
- 外側どうしの積と内側どうしの積が等しいので、
- なので、
ここで間違えやすい 辺 AB は、△ABC では直角をはさむ辺だが、△HBA では直角の向かいのいちばん長い辺(BA)になる。同じ辺が、2 つの三角形で別の役目をしている。