平行線と線分の比
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 第 3 学年 B 図形 (1) 図形の相似 ア (ア)「平面図形の相似の意味及び三角形の相似条件について理解すること」を使って導く性質。
告示ではイ (イ)「平行線と線分の比についての性質を見いだし,それらを確かめること」にあたります。
0. 何を押さえるか
三角形の 1 辺に平行な直線を引くと、小さな相似な三角形ができます。そこから、線分の長さの比についての性質がいくつも出てきます。
△ABC の辺 AB、AC 上にそれぞれ点 D、E をとり、DE // BC とします。
| 比べるもの | 成り立つ比 |
|---|---|
| 全体に対する比 | |
| 辺を分けた比 | |
| 中点を結んだとき | // 、(中点連結定理) |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- に等しいのは であって、 ではない
- なら、逆に DE // BC と言える
- 中点連結定理は「平行」と「長さが半分」の 2 つを同時に言う
1. 三角形と比の定理
根拠: 学習指導要領 中3-B-(1)-ア-(ア)
DE // BC のとき、同位角が等しいので △ADE ∽ △ABC(2 組の角がそれぞれ等しい)です。対応する辺の比から、次の関係が出てきます。
DE // BC(D、E は辺 AB、AC 上)のとき、なぜ △ADE ∽ △ABC と言えるか?
平行線の同位角が等しく(∠ADE = ∠ABC)、∠A が共通だから
2 組の角がそれぞれ等しい。三角形と比の定理は、この相似から出てくる。
D、E が辺 AB、AC 上でなく、辺 BA、CA を A の側へ延ばした直線上にあるときも、DE // BC なら は成り立つか?
成り立つ
錯角が等しく、∠A の対頂角どうしが等しいので、やはり △ADE ∽ △ABC になる。
△ABC の辺 AB、AC 上の点 D、E で DE // BC のとき、 と等しい比を 2 つ答えよ。
と
△ADE ∽ △ABC の対応する辺の比。
△ABC の辺 AB、AC 上の点 D、E で DE // BC のとき、 と等しい比は?
辺を D、E で分けた部分どうしの比も等しい。
DE // BC のとき、 は正しいか?
正しくない。
と は相似な △ADE と △ABC の辺なので、比べる相手は全体の 。部分の ではない。
DE // BC を示すのに使える、三角形と比の定理の逆は?
(または )ならば、DE // BC
比が等しいことから平行を導く。
2. 平行線と線分の比
根拠: 学習指導要領 中3-B-(1)-ア-(ア)
3 本以上の平行線に 2 本の直線が交わると、平行線によって切り取られる線分の比が等しくなります。
3 本の平行な直線 、、 に、2 本の直線が交わっている。一方の直線との交点を A、B、C、他方との交点を A'、B'、C' とすると、どんな比が等しいか?
平行線にはさまれた部分の比は、どの直線で測っても同じ。
3. 中点連結定理
根拠: 学習指導要領 中3-B-(1)-ア-(ア)
三角形と比の定理で、D と E がちょうど中点になる場合です。比が になるので、平行と長さの両方がすぐ分かります。
中点連結定理とは何か?(△ABC の辺 AB、AC の中点を M、N とする)
MN // BC、
「平行」と「長さが半分」の 2 つを言う。
中点連結定理は、三角形と比の定理のどんな場合か?
の場合
比が等しいので MN // BC(定理の逆)、 なので長さは半分。
4. 角の二等分線と比
根拠: 学習指導要領 中3-B-(1)-ア-(ア)
三角形の角の二等分線も、平行線を 1 本補って三角形と比の定理を使うと、辺の比を分けることが分かります。
△ABC で ∠A の二等分線が辺 BC と交わる点を D とする。 はどんな比に等しいか?
角をはさむ 2 辺の比に、向かいの辺が分けられる。
練習問題
問 1 △ABC の辺 AB、AC 上に点 D、E があり、DE // BC である。 cm、 cm、 cm のとき、 の長さを求めよ。
3 cm
方針 求めたい EC は、辺 AC を点 E で分けた下の部分である。分かっている AD、DB、AE も、辺を分けた部分の長さ。部分どうしを比べるので、DE // BC のときに成り立つ を使う。
- DE // BC なので、辺 AB と辺 AC は同じ比に分けられる。
- 長さを当てはめる。
- 左の比をかんたんにする。
- だから、
- 外側どうしの積と内側どうしの積が等しいので、
- 両辺を 2 でわって、
確かめ: で、 と同じ比になっている。
問 2 △ABC の辺 AB、AC 上に点 D、E があり、DE // BC である。 cm、 cm、 cm のとき、 の長さを求めよ。
4 cm
方針 DE と BC は、小さい △ADE と大きい △ABC の対応する辺である。DE // BC なので同位角が等しく(∠ADE = ∠ABC)、∠A は共通。2 組の角がそれぞれ等しいから、△ADE ∽ △ABC。だから、DE と BC の比は、AD と辺全体の AB の比に等しい。
- △ADE ∽ △ABC で、対応する辺は AD と AB、DE と BC。
- 対応する辺の比は等しいので、
- 右の比を求める。
- BC の長さを当てはめる。
- 外側どうしの積と内側どうしの積が等しいので、
- 両辺を 3 でわって、
ここで間違えやすい を使わない。 なので となり、これを使うと と誤る。DB は △ADE の辺でも △ABC の辺でもない。
問 3 3 本の平行な直線に 2 本の直線が交わり、一方の直線で cm、 cm、他方の直線で cm である。 の長さを求めよ。
9 cm
方針 3 本の平行な直線が、2 本の直線を切り取っている。平行線にはさまれた部分の比は、どちらの直線で測っても同じになる。一方の直線の が分かっているので、それを他方の直線に当てはめる。
- 平行線と線分の比の性質から、
- 長さを当てはめる。
- 左の比をかんたんにする。
- だから、
- 外側どうしの積と内側どうしの積が等しいので、
- なので、
ここで間違えやすい AB と A'B' は、同じ 2 本の平行線にはさまれた部分。BC と B'C' も同じ。上どうし・下どうしを対応させる。
問 4 △ABC で cm、 cm、 cm とする。∠A の二等分線と辺 BC の交点を D とするとき、 の長さを求めよ。
3 cm
方針 ∠A の二等分線は、向かいの辺 BC を、∠A をはさむ 2 辺の比 に分ける。BD と DC を合わせると BC(5 cm)になるので、5 cm をその比に分ければ BD が出る。
- 角の二等分線と比の性質から、
- 長さを当てはめる。
- かんたんな比にする。
- だから 。BC を 個に等しく分けたうちの、3 個分が BD である。
- 式にすると、
確かめ: なので、 になっている。
ここで間違えやすい B の側の BD に対応するのは、B を端にもつ辺 AB。 と逆にしない。
問 5 四角形 ABCD の辺 AB、BC、CD、DA の中点をそれぞれ P、Q、R、S とする。四角形 PQRS が平行四辺形であることを証明せよ。
証明の例
方針 中点が出てきたら、中点連結定理を考える。ただし、中点連結定理は三角形の定理である。四角形のままでは使えないので、対角線 AC を引いて 2 つの三角形に分ける。PQ と SR がどちらも AC に平行で、どちらも AC の半分だと分かれば、平行四辺形になる条件「1 組の対辺が平行でその長さが等しい」が言える。
- 三角形を作るために、対角線 AC を引く。
- 対角線の B の側にある △BAC に注目する。P、Q はそれぞれ AB、BC の中点なので、中点連結定理より PQ // AC、 …①
- 対角線の D の側にある △DAC に注目する。S、R はそれぞれ AD、DC の中点なので、同じく SR // AC、 …②
- PQ と SR は、どちらも AC に平行で、どちらも AC の半分。①、②より PQ // SR、。
- 1 組の対辺が平行でその長さが等しいので、四角形 PQRS は平行四辺形である。
ここで間違えやすい 「平行」だけ、または「長さが等しい」だけでは、平行四辺形とは言えない。中点連結定理から出る 2 つのことを、両方とも書く。