文字式による説明
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 第 2 学年 A 数と式 (1) 文字を用いた式 ア (イ)「具体的な事象の中の数量の関係を文字を用いた式で表したり,式の意味を読み取ったりすること」と
(ウ)「文字を用いた式で数量及び数量の関係を捉え説明できることを理解すること」。
0. 何を押さえるか
「偶数と偶数の和は偶数になる」は、、 と例をいくら並べても、すべての偶数で成り立つことの説明にはなりません。
例は無数にあって、全部は確かめられないからです。文字を使うと、どんな数でもを 1 つの式で表せるので、すべての場合をまとめて説明できます。
| 表したいもの | 文字式(、 は整数) |
|---|---|
| 偶数 | |
| 奇数 | ( でもよい) |
| 連続する 3 つの整数 | |
| 3 の倍数 | |
| 2 けたの自然数(十の位 、一の位 ) | |
| 異なる 2 つの偶数 | (別の文字を使う) |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- いくつかの例で確かめても説明にはならない(文字で一般の場合を表す)
- 異なる 2 つの数には別の文字を使う(両方 にすると、同じ偶数を 2 つ選んだことになる)
- 結論の形に変形して終える(和が になった、で止めず「 は整数だから偶数」まで言う)
1. 数を文字で表す
根拠: 学習指導要領 中2-A-(1)-ア-(イ)
整数の性質を説明するには、まず数を文字式で表します。「 は整数」と断るのは、 に小数や分数が入ると が偶数とは限らなくなるからです( なら )。
を整数とするとき、偶数と奇数はどう表すか?
偶数は 、奇数は
奇数は でもよい。偶数に 1 を足した(引いた)数が奇数。
連続する 3 つの整数は、どう表すか?
( は整数)
真ん中を にして とすると、和が になって計算が楽。
十の位が 、一の位が の 2 けたの自然数は、どう表すか?
と書くと の意味になる。十の位の数は 10 倍する。
2 けたの自然数 の、十の位と一の位を入れかえた数は?
和は で 11 の倍数、差は で 9 の倍数になる。
説明で「 は整数」と断るのはなぜか?
が整数でないと、 が偶数とは限らないから
なら で奇数。文字の範囲を決めて初めて式が偶数を表す。
「異なる 2 つの偶数」を表すのに、両方を としてはいけないのはなぜか?
同じ偶数を 2 つ選んだ場合しか表せないから
別々の数には別の文字を使い、、 とする。
2. 説明の流れ
根拠: 学習指導要領 中2-A-(1)-ア-(ウ)
説明は次の 3 段で書きます。
- 数を文字で表す(「、 を整数とすると」)
- 式を計算する
- 結論の形に変形して言い切る(「 だから偶数である」)
「〜は偶数である」を説明するとき、式を最後にどんな形に変形するか?
の形
まで変形し、「 は整数だから」と言い添えて結論にする。
「〜は 3 の倍数である」を説明するときの、式の最後の形は?
の形
連続する 3 つの整数の和 は、 が整数なので 3 の倍数。
偶数と奇数の和が奇数になることを確かめたい。、 と例を並べるのでは、なぜ説明にならないか?
例は無数にあり、すべての場合で成り立つことは示せないから
文字 と で表すと、和 ですべての場合をまとめて示せる。
3. 式の意味を読み取る
根拠: 学習指導要領 中2-A-(1)-ア-(イ)
式を変形した結果から、もとの数量について分かることを読み取ります。
の形なら「3 の倍数」、 を真ん中の数とするなら「真ん中の数の 3 倍」と、同じ式を 2 通りに読めることがあります。
連続する 3 つの整数 の和 からは、何が読み取れるか?
和は 3 の倍数で、しかも真ん中の数の 3 倍
が真ん中の数を表しているので、 は「真ん中の数 × 3」とも読める。
( は整数)を でわると、余りはいくつか?
。奇数とは「2 でわると 1 余る整数」のこと。
練習問題
問 1 連続する 2 つの奇数の和は 4 の倍数になることを、文字を使って説明せよ。
説明の例
方針 「4 の倍数である」を言うには、式を の形にすればよい。連続する 2 つの奇数は、小さいほうを とすると、大きいほうはそれより 2 大きい になる。
- 数を文字で表す。 を整数とすると、連続する 2 つの奇数は 、 と表せる。
- 和を式にして、かっこをはずす。
- 同類項をまとめる。
- 4 でくくる。
- は整数だから、 は 4 の倍数である。
- したがって、連続する 2 つの奇数の和は 4 の倍数になる。
ここで間違えやすい 2 つの奇数を 、 と別の文字で表すと、「連続する」ことが表せない。となり合う奇数の差は 2 なので、同じ文字 を使って 、 とする。
問 2 2 けたの自然数と、その十の位と一の位を入れかえた数の差は、9 の倍数になることを説明せよ。
説明の例
方針 2 けたの数は「 十の位 一の位」で表す。「9 の倍数である」を言うには、差を の形にすればよい。
- 数を文字で表す。もとの数の十の位を 、一の位を とすると、もとの数は と表せる。
- 入れかえた数は、十の位が 、一の位が なので、 と表せる。
- 差を式にして、かっこをはずす。ひく式は符号を全部変える。
- 同類項をまとめる。
- 9 でくくる。
- は整数だから、 は 9 の倍数である。
ここで間違えやすい もとの数を と書かない。 は の意味になる。
問 3 連続する 3 つの整数の和は、真ん中の数の何倍か。文字を使って求めよ。
3 倍
方針 「真ん中の数の何倍か」を聞かれているので、真ん中の数を とおく。すると前後の数は と になり、たすと と が消える。
- 真ん中の数を ( は整数)とすると、3 つの整数は 、、 と表せる。
- 和を式にして、かっこをはずす。
- 同類項をまとめる。
- は真ん中の数なので、 は「真ん中の数 」。和は真ん中の数の 3 倍。
いちばん小さい数を として 、、 とおいても解ける。和は で、 が真ん中の数なので、やはり 3 倍になる。
問 4 偶数と奇数の積は偶数になることを説明せよ。
説明の例
方針 「偶数である」を言うには、積を の形にすればよい。偶数と奇数は別々の数なので、別の文字 、 を使って表す。
- 数を文字で表す。、 を整数とすると、偶数は 、奇数は と表せる。
- 積を式にする。
- 先頭の 2 を外に出して、 の形にする。
- も も整数なので、そのかけ算 も整数。
- だから、積は の形で、偶数である。
ここで間違えやすい かっこを展開して で止めない。「偶数」と言うには、 のように 2 でくくった形まで書く。
問 5 を整数とする。式 が表す数について、正しいものをすべて選べ。
ア 偶数 イ 奇数 ウ 3 の倍数 エ 6 の倍数
ア 偶数 イ 奇数 ウ 3 の倍数 エ 6 の倍数
イ、ウ
方針 ア〜エを 1 つずつ確かめる。偶数なら 、奇数なら 、3 の倍数なら 、6 の倍数なら の形にできるかを見る。
- 偶数か奇数かを見る。3 を に分けて、
- は整数なので、 の形。だから奇数(イは正しく、アは正しくない)。
- 3 の倍数かを見る。3 でくくると、
- は整数なので、 の形。だから 3 の倍数(ウは正しい)。
- 6 の倍数かを見る。 なので、6 でわると 3 余る。だから 6 の倍数ではない(エは正しくない)。
- 数を入れて確かめる。 なら 3、 なら 。どちらも奇数で 3 の倍数だが、6 の倍数ではない。
ここで間違えやすい 式に があるからといって、6 の倍数とは言えない。うしろの までふくめて 6 でくくれるかを見る。