多数回の試行と確率
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 第 1 学年 D データの活用 (2) 不確定な事象の起こりやすさ ア (ア)「多数の観察や多数回の試行によって得られる確率の必要性と意味を理解すること」。
0. 何を押さえるか
ペットボトルのふたを投げて表向きになるかどうかは、1 回ごとには予想できません。
それでも、投げる回数を増やしていくと、表向きになった相対度数は、ある一定の値に近づいていきます。
この値を、そのことがらの起こりやすさの程度を表す数とみて、確率といいます。
次の表は、ペットボトルのふたを投げる実験の結果の例です。
| 投げた回数 | 100 | 200 | 500 | 1000 | 2000 |
|---|---|---|---|---|---|
| 表向きの回数 | 42 | 87 | 221 | 446 | 889 |
| 表向きの相対度数 | 0.420 | 0.435 | 0.442 | 0.446 | 0.4445 |
回数が少ないうちは相対度数がばらつきますが、回数が増えると 0.44 くらいで落ち着いていきます。
このふたが表向きになる確率は、およそ 0.44 と考えられます。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 確率 0.44 は「100 回投げれば必ず 44 回表」という意味ではない(多数回くり返したときの割合の目安)
- 少ない回数の結果で確率を決めない(回数が少ないと相対度数は大きくぶれる)
- 確率は 0 以上 1 以下の数(決して起こらないことは 0、必ず起こることは 1)
1. 相対度数と確率
根拠: 学習指導要領 中1-D-(2)-ア-(ア)
実験や観察の回数を増やしていったときに相対度数が近づく値を、そのことがらの起こる確率とみます。
あることがらの起こる相対度数は、どう求めるか?
そのことがらが起こった回数 ÷ 実験(観察)の回数
データの分布で学んだ相対度数と同じ考え方。
実験の回数を増やしていくと、あることがらの起こる相対度数はどうなっていくか?
ある一定の値に近づいていく
回数が少ないうちは大きくばらつくが、回数が多くなるほどばらつきが小さくなる。
確率とは何か?
あることがらの起こりやすさの程度を表す数
多数回の実験で相対度数が近づいていく値を、その確率とみる。
確率のとりうる値の範囲は? 決して起こらないこと・必ず起こることの確率はそれぞれいくつか。
0 以上 1 以下。決して起こらないことは 0、必ず起こることは 1
確率が 1 に近いほど起こりやすく、0 に近いほど起こりにくい。
2. 確率の意味を読みちがえない
根拠: 学習指導要領 中1-D-(2)-ア-(ア)
確率は、多数回くり返したときの割合の目安です。1 回 1 回の結果を言い当てる数ではありません。
あるふたが表向きになる確率が 0.4 のとき、「10 回投げれば必ず 4 回表向きになる」といえるか?
いえない
確率 0.4 は、多数回投げると表向きの割合が 0.4 に近づく、という意味。10 回なら 2 回のことも 6 回のこともある。
ふたを 10 回投げて表向きが 7 回だったとき、「表向きの確率は 0.7」と決めてよいか?
決めてはいけない
回数が少ないと相対度数は大きくぶれる。多数回投げて、相対度数が落ち着く値を見る。
表向きになる確率が 0.44 のふたで、裏向き(表向きでない)になる確率はおよそいくつか?
およそ 0.56
表向きと裏向きの相対度数の和は、いつも 1 になる。。
3. 実験でしか確率が分からないもの
根拠: 学習指導要領 中1-D-(2)-ア-(ア)
ペットボトルのふたや画びょうのように、形がかたよっていて、どの向きになるのも同じ程度に起こりやすいとはいえないものは、
実際に多数回投げてみないと起こりやすさが分かりません。
ペットボトルのふたが表向きになる確率を知るには、どうすればよいか?
多数回投げて、表向きになる相対度数を調べる
ふたは形がかたよっているので、表と裏が同じ程度に起こりやすいとはいえない。
あるメーカーのふたで調べた表向きの確率を、形のちがう別のふたにもそのまま使ってよいか?
使ってはいけない
確率はそのふたの形や重さのかたよりで決まる。形がちがえば、そのふたで改めて多数回投げて調べる。
多数回の実験から確率が分かっているとき、それをどう役立てられるか?
これから多数回行ったときの、およその回数を予想できる(回数 × 確率)
確率 0.44 のふたを 500 回投げれば、表向きはおよそ (回)と見込める。
練習問題
問 1 上のペットボトルのふたの実験で、投げた回数が 500 回のときの表向きの相対度数を、小数第 3 位まで求めよ。
0.442
方針 相対度数は「表向きになった回数 ÷ 投げた回数」で求める。表の「500 回」の列から、表向きの回数を読み取る。
- 表から、500 回投げたときの表向きの回数は 221 回。
- 表向きの回数を、投げた回数でわる。
- ちょうど小数第 3 位までの数になったので、答えは 0.442。
ここで間違えやすい わる数とわられる数を逆にしない。投げた回数(全体)でわる。相対度数は 1 より大きくならない。
問 2 ある画びょうを 1000 回投げたところ、針が上向きになったのは 620 回だった。この画びょうの針が上向きになる確率と、上向きにならない確率は、それぞれおよそいくつと考えられるか。
上向き およそ 0.62、上向きにならない およそ 0.38
方針 1000 回は多数回なので、そのときの相対度数を確率とみる。画びょうは「上向きになる」か「ならない」かのどちらかなので、2 つの相対度数を合わせると 1 になる。
- 上向きの相対度数を求める。
- 多数回の結果なので、上向きになる確率はおよそ 0.62。
- 上向きにならない相対度数は、1 からひいて求める。
- だから、上向きにならない確率はおよそ 0.38。
上向きにならなかった回数から求めても同じになる。(回)で、。
問 3 上のペットボトルのふたを 5000 回投げるとき、表向きになるのはおよそ何回と考えられるか。確率はおよそ 0.44 とする。
およそ 2200 回
方針 確率 0.44 は、多数回投げたときに表向きになる割合の目安。5000 回は多数回なので、「投げる回数 × 確率」でおよその回数が見込める。
- 式をつくる。投げる回数は 5000、確率は 0.44 なので、
- 計算する。(回)
- 割合の目安から出した数なので、「およそ 2200 回」と答える。
ここで間違えやすい 必ず 2200 回になるわけではない。実際に投げると、2200 回の前後にばらつく。
問 4 A さんはボタンを 20 回投げて表が 12 回出たので、「このボタンが表になる確率は 0.6 だ」と言った。この言い方の問題点を答えよ。
投げた回数が少なく、相対度数がぶれやすいので、確率とみるには不十分である。
方針 確率は、多数回くり返したときに相対度数が近づいていく値。A さんの計算そのものではなく、「20 回」が多数回といえるかどうかを考える。
- A さんの計算を確かめる。 で、相対度数の計算は正しい。
- しかし、20 回は回数が少ない。回数が少ないうちは、相対度数は大きくぶれる。もう一度 20 回投げたら、表が 8 回になるかもしれない。
- だから、20 回の結果だけで「確率は 0.6」と決めることはできない。
- 回数を増やして相対度数が一定の値に近づくのを確かめてから、その値を確率とみる。
ここで間違えやすい 「計算がまちがっている」と答えない。問題なのは計算ではなく、投げた回数の少なさ。
問 5 次のうち、確率として正しくない値をすべて選べ。 (ア)0 (イ)0.95 (ウ)1.2 (エ)
(ウ)と(エ)
方針 確率は、起こった回数の割合が近づく値なので、0 以上 1 以下の数になる。4 つの値がこの範囲に入っているかを 1 つずつ確かめる。
- (ア)0 は範囲に入る。決して起こらないことの確率が 0。正しい。
- (イ)0.95 は 0 と 1 の間にある。正しい。
- (ウ)1.2 は 1 より大きい。起こった回数が投げた回数より多くなることはないので、正しくない。
- (エ) は 0 より小さい。起こった回数が負の数になることはないので、正しくない。
- よって、正しくないのは(ウ)と(エ)。
ここで間違えやすい 0 と 1 ちょうども確率になる。(ア)を「正しくない」に入れない。