基本的な作図
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 第 1 学年 B 図形 (1) 平面図形 ア (ア)「角の二等分線,線分の垂直二等分線,垂線などの基本的な作図の方法」と、
内容の取扱い (5)「円の接線はその接点を通る半径に垂直である」。
0. 何を押さえるか
作図とは、定規とコンパスだけを使って図をかくことです。定規は直線を引くためだけに使い、目盛りで長さを測りません。
分度器も使いません。長さを写したいときはコンパスで写します。
基本の作図は 3 つで、どれも「2 点から等しい距離にある点」をコンパスで見つけることが土台です。
| 作図 | 何をかくか | 土台になる性質 |
|---|---|---|
| 線分の垂直二等分線 | 線分の中点を通り、線分に垂直な直線 | 垂直二等分線上の点は、線分の両端から等しい距離にある |
| 角の二等分線 | 角を 2 つの等しい角に分ける半直線 | 角の二等分線上の点は、角の 2 辺から等しい距離にある |
| 垂線 | ある点を通り、直線に垂直な直線 | 直線上の 2 点をとれば、その 2 点の垂直二等分線になる |
使う記号は次の 3 つです。
| 記号 | 読み方 | 使い方 |
|---|---|---|
| ⊥ | 垂直 | AB ⊥ CD(直線 AB と直線 CD は垂直) |
| ∠ | 角 | ∠AOB(頂点が O の角。頂点の文字を真ん中に書く) |
| △ | 三角形 | △ABC(頂点が A、B、C の三角形) |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 定規で長さを測らない(中点を「目盛りで半分」で求めるのは作図ではない)
- 垂直二等分線を引くときの円の半径は、線分の長さの半分より大きくとる(小さいと 2 つの円が交わらない)
- 円の接線は、接点を通る半径に垂直(接線の作図は「半径の端での垂線」になる)
1. 線・直線・半直線・線分と記号
根拠: 学習指導要領 中1-B-(1)-ア-(ア)
まっすぐな線のうち、両方向に限りなくのびているものを直線、1 点から片方向にだけのびているものを半直線、
2 点で区切られた部分を線分といいます。2 直線が垂直に交わるとき、一方を他方の垂線といい、記号 ⊥ で表します。
直線 AB・半直線 AB・線分 AB の違いは?
直線 AB は両方向に限りなくのびる。半直線 AB は A から B の方向へ限りなくのびる。線分 AB は A から B までの部分。
長さを測れるのは線分だけ。半直線 AB と半直線 BA は、のびる向きが逆なので別のもの。
記号 ⊥ は何を表すか? 「AB ⊥ CD」はどう読むか。
垂直。「AB と CD は垂直」
2 直線が垂直に交わるとき、一方をもう一方の垂線という。
記号 ∠AOB はどの角を表すか?
頂点が O で、辺が OA と OB の角
角の記号では頂点の文字を真ん中に書く。∠AOB と ∠BOA は同じ角。
点と直線との距離とは、何の長さか?
その点から直線にひいた垂線の長さ
点から直線上の点までの線分のうち、垂線がいちばん短い。
2. 線分の垂直二等分線
根拠: 学習指導要領 中1-B-(1)-ア-(ア)
線分 AB の中点を通り、AB に垂直な直線を、線分 AB の垂直二等分線といいます。
- 点 A を中心に、AB の半分より大きい半径の円をかく。
- 点 B を中心に、同じ半径の円をかく。
- 2 つの円の交点を P、Q とし、直線 PQ を引く。
P も Q も、A からの距離と B からの距離が等しい(同じ半径の円の上にある)ので、垂直二等分線の上にあります。
線分の垂直二等分線上の点には、どんな性質があるか?
線分の両端から等しい距離にある
逆に、両端から等しい距離にある点は、すべて垂直二等分線上にある。作図はこの性質を使う。
線分 AB の垂直二等分線を作図するとき、A と B を中心にかく円の半径はどう決めるか?
2 つとも同じ半径で、AB の半分より大きくとる
半径が等しいから、交点が A と B から等しい距離になる。半分以下だと円が交わらない。
円の一部(弧)だけが残っているとき、円の中心はどう作図するか?
弧の上に 3 点をとって弦を 2 本引き、それぞれの垂直二等分線の交点を求める
中心は円周上のどの点からも等しい距離にあるので、どの弦の垂直二等分線の上にもある。
3. 角の二等分線と垂線
根拠: 学習指導要領 中1-B-(1)-ア-(ア)
∠XOY の角の二等分線は次のようにかきます。
- 頂点 O を中心に円をかき、辺 OX、OY との交点を P、Q とする。
- P、Q を中心に、同じ半径の円をかき、その交点を R とする。
- 半直線 OR を引く。
四角形 OPRQ は OP = OQ、PR = QR なので、直線 OR を軸とする線対称な図形になり、∠POR = ∠QOR です。
点 P を通る直線 ℓ の垂線は、P を中心に円をかいて ℓ との交点を A、B とし、線分 AB の垂直二等分線を引けば得られます
(P が ℓ の上にあっても、ℓ の外にあっても同じ手順です)。
角の二等分線上の点には、どんな性質があるか?
角の 2 辺から等しい距離にある
2 辺までの距離(垂線の長さ)が等しい点を集めると、角の二等分線になる。
点 P を通る直線 ℓ の垂線を作図する手順の要は?
P を中心とする円で ℓ 上に 2 点 A、B をとり、線分 AB の垂直二等分線を引く
PA = PB なので、P は AB の垂直二等分線上にある。
作図だけで 30° の角をつくるには、どうするか?
正三角形をかいて 60° をつくり、その角の二等分線を引く
60° は正三角形の 1 つの角。同じように、垂線(90°)を二等分すれば 45° ができる。
4. 円の接線
根拠: 学習指導要領 中1-B-(1)-ア-(ア)
円と直線が 1 点だけで交わるとき、その直線を円の接線、交わる点を接点といいます。
円の接線と、その接点を通る半径とは、どんな関係にあるか?
垂直に交わる
円 O の接線 ℓ と接点 A について OA ⊥ ℓ。
円 O の周上の点 A を接点とする接線は、どう作図するか?
半直線 OA を引き、点 A を通る OA の垂線を引く
接線は接点を通る半径に垂直だから。垂線は 3 の手順(A を中心に円をかいて直線 OA 上に A をはさむ 2 点をとる)でかく。
練習問題
問 1 直線 ℓ と、ℓ の上にない 2 点 A、B がある(直線 AB は ℓ に垂直ではない)。ℓ 上にあって、A からの距離と B からの距離が等しい点 P を作図するには、どうすればよいか。
線分 AB の垂直二等分線を引き、ℓ との交点を P とする。
方針 点 P の条件は 2 つある。「A と B から等しい距離にある」と「ℓ の上にある」。2 点から等しい距離にある点は、その 2 点を結ぶ線分の垂直二等分線の上に集まるので、まずそれを引く。
- 点 A を中心に、AB の半分より大きい半径の円をかく。
- 点 B を中心に、同じ半径の円をかく。
- 2 つの円の交点を結ぶ直線を引く。これが線分 AB の垂直二等分線。
- この直線と ℓ との交点を P とする。
P は垂直二等分線の上にあるので PA = PB。ℓ の上にもあるので、2 つの条件を両方満たす。
問 2 △ABC の 3 つの頂点を通る円の中心 O を作図するには、どうすればよいか。
2 辺(たとえば AB と BC)の垂直二等分線を引き、その交点を O とする。
方針 円の中心から円周上の点までの距離は、どれも半径で等しい。だから中心 O は、A、B、C の 3 点から等しい距離にある点。「2 点から等しい距離」は垂直二等分線で作れるので、これを 2 回使う。
- 辺 AB の垂直二等分線を引く。この直線上の点は、A と B から等しい距離にある。
- 辺 BC の垂直二等分線を引く。この直線上の点は、B と C から等しい距離にある。
- 2 本の交点を O とする。O は両方の直線の上にあるので、OA = OB と OB = OC が成り立つ。
- だから OA = OB = OC。O を中心に半径 OA の円をかくと、3 つの頂点を通る。
OA = OC でもあるので、残りの辺 CA の垂直二等分線も O を通る。作図は 2 本で足りる。
問 3 △ABC の辺 BC 上にあって、辺 AB と辺 AC から等しい距離にある点 P を作図するには、どうすればよいか。
∠BAC の二等分線を引き、辺 BC との交点を P とする。
方針 「2 つの辺から等しい距離にある点」は、その 2 辺がつくる角の二等分線の上に集まる。辺 AB と辺 AC がつくる角は ∠BAC なので、その二等分線を引く。
- 頂点 A を中心に円をかき、辺 AB、辺 AC との交点をとる。
- その 2 つの交点を中心に、同じ半径の円をかく。その交点と A を結ぶ半直線を引く。これが ∠BAC の二等分線。
- この半直線と辺 BC との交点を P とする。
P は二等分線の上にあるので、辺 AB と辺 AC から等しい距離にある。辺 BC の上にもある。
ここで間違えやすい 「2 つの辺から等しい距離」は角の二等分線、「2 つの点から等しい距離」は垂直二等分線。辺 BC の中点をとるのではない。
問 4 作図だけで 45° の角をつくる手順を答えよ。
直線上の点で垂線を引いて 90° の角をつくり、その角の二等分線を引く。
方針 45° は 90° のちょうど半分。90° の角は垂線の作図で作れる。半分にするのは角の二等分線の作図でできる。この 2 つを順に使う。
- 直線を引き、その上に点 O をとる。
- O を中心に円をかき、直線との交点を 2 つとる。その 2 点を結ぶ線分の垂直二等分線を引く。これが O を通る垂線で、90° の角ができる。
- その 90° の角の二等分線を引く。
- 90° の半分なので、(°)の角ができる。
ここで間違えやすい 作図では分度器を使わない。使うのは定規(直線を引くだけ)とコンパスだけ。
問 5 円 O の周上に点 A があり、∠AOB = 90° となる点 B も周上にある。A を接点とする接線と、B を接点とする接線の交点を P とするとき、∠APB は何度か。
90°
方針 接線は、接点を通る半径に垂直。O、A、P、B を順に結んだ四角形 OAPB に注目する。4 つの角のうち 3 つが分かるので、残りの ∠APB は、四角形の角の和 360° からひいて求める。
- 直線 PA は A を接点とする接線。半径 OA に垂直なので、∠OAP = 90°。
- 直線 PB は B を接点とする接線。半径 OB に垂直なので、∠OBP = 90°。
- 問題文から、∠AOB = 90°。
- 四角形 OAPB の 4 つの角の和は 360°。分かっている 3 つの角をひく。
- ∠APB は、(°)
4 つの角がすべて 90° で、OA = OB(半径)なので、四角形 OAPB は正方形になっている。