図形の移動
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 第 1 学年 B 図形 (1) 平面図形 ア (イ)「平行移動,対称移動及び回転移動について理解すること」。
0. 何を押さえるか
図形を、形と大きさを変えずにほかの位置へ移すことを移動といいます。移動は 3 種類です。
どの移動でも、対応する線分の長さ・対応する角の大きさは変わりません。
| 移動 | どう動かすか | 対応する点について言えること |
|---|---|---|
| 平行移動 | 一定の方向に、一定の距離だけずらす | 対応する点を結ぶ線分は、どれも平行で長さが等しい |
| 対称移動 | ある直線(対称の軸)を折り目として折り返す | 対称の軸は、対応する点を結ぶ線分の垂直二等分線 |
| 回転移動 | ある点(回転の中心)を中心に、一定の角度だけ回す | 回転の中心から対応する点までの距離が等しく、回した角はどれも等しい |
平行を表す記号は // です。AB // CD は「AB と CD は平行」と読みます。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 180° の回転移動を点対称移動という(対称移動の一種ではなく、回転移動の一種)
- 対称移動では、対応する点を結ぶ線分と対称の軸は垂直で、軸はその線分を二等分する(平行ではない)
- 平行移動では、対応する点を結ぶ線分が平行になるだけでなく、長さも等しい
1. 平行移動
根拠: 学習指導要領 中1-B-(1)-ア-(イ)
△ABC を平行移動して △A′B′C′ に重ねたとき、AA′ // BB′ // CC′ で、AA′ = BB′ = CC′ です。
また、対応する辺どうしも平行になります(AB // A′B′)。
平行移動とは、どんな移動か?
図形を、一定の方向に一定の距離だけずらす移動
回したり裏返したりはしない。
平行移動で、対応する点を結ぶ線分 AA′、BB′ について言えることは?
平行で(AA′ // BB′)、長さが等しい(AA′ = BB′)
どの点も同じ方向に同じ距離だけ動くから。
記号 // は何を表すか? 「AB // CD」はどう読むか。
平行。「AB と CD は平行」
垂直を表す ⊥ と取り違えない。
2. 対称移動
根拠: 学習指導要領 中1-B-(1)-ア-(イ)
直線 ℓ を折り目として図形を折り返す移動を対称移動、ℓ を対称の軸といいます。
点 A が A′ に移るとき、ℓ は線分 AA′ の垂直二等分線です。
対称移動とは、どんな移動か?
ある直線を折り目として折り返す移動
折り目の直線を対称の軸という。移した図形は裏返しになる。
対称移動で点 A が A′ に移るとき、対称の軸は線分 AA′ とどんな関係にあるか?
対称の軸は、線分 AA′ の垂直二等分線
軸と AA′ は垂直に交わり、軸は AA′ を二等分する。
対称移動で、対称の軸の上にある点はどこへ移るか?
動かない(その点自身に移る)
軸は折り目なので、軸の上の点は折っても同じ位置にある。
3. 回転移動
根拠: 学習指導要領 中1-B-(1)-ア-(イ)
点 O を中心として図形を一定の角度だけ回す移動を回転移動、O を回転の中心といいます。
点 A が A′ に移るとき OA = OA′ で、∠AOA′ が回転した角です。
回転移動とは、どんな移動か?
ある点を中心として、一定の角度だけ回す移動
中心にした点を回転の中心という。
回転移動で点 A が A′、B が B′ に移るとき、回転の中心 O について言えることは?
OA = OA′、OB = OB′(中心から対応する点までの距離が等しい)で、∠AOA′ = ∠BOB′
どの点も、同じ中心のまわりを同じ角度だけ回る。
点対称移動とは、どんな移動か?
180° の回転移動
対応する点を結ぶ線分 AA′ の中点が回転の中心になる。
回転の中心は、どう作図すれば見つかるか?(A が A′ に、B が B′ に移るとき)
線分 AA′ の垂直二等分線と、線分 BB′ の垂直二等分線の交点
中心 O は OA = OA′、OB = OB′ を満たすので、両方の垂直二等分線上にある。
4. 移動を組み合わせる
根拠: 学習指導要領 中1-B-(1)-ア-(イ)
移動を何回くり返しても、形と大きさは変わりません。ある図形を別の図形に重ねる移動は 1 通りとは限らず、
移動を組み合わせても重ねられます。
平行移動・対称移動・回転移動で、変わらないものは何か?
図形の形と大きさ(対応する辺の長さ・対応する角の大きさ)
変わるのは位置と向きだけ。
練習問題
問 1 正方形 ABCD の対角線の交点を O とする。△OAB を、点 O を中心として時計の針と反対の向きに回転移動して △OBC に重ねるとき、何度回転させればよいか。ただし A、B、C、D は時計の針と反対の向きに並んでいる。
90°
方針 回転移動では、中心 O から出ている線分がどれだけ回ったかを見る。辺 OA が辺 OB に重なるまでに回る角、つまり ∠AOB を求めればよい。
- △OAB が △OBC に重なるので、頂点 O は動かず、A は B に、B は C に移る。
- A が B に移るので、回転した角は ∠AOB。
- 正方形の 2 本の対角線は垂直に交わる。だから ∠AOB = 90°。
- B についても確かめる。∠BOC も 90° なので、B は同じ 90° の回転で C に移る。
正方形の対角線は長さが等しく、交点 O で二等分されるので、OA = OB = OC。回したあとの三角形は △OBC にぴったり重なる。
問 2 問 1 の正方形で、△OAB を 1 回の移動で △OCD に重ねるには、どの移動を使えばよいか。
点 O を中心とする 180° の回転移動(点対称移動)
方針 2 つの三角形は、どちらも頂点 O をもつ。O が動かない移動として、O を中心とする回転移動を考える。A が C に、B が D に移る角度を調べる。
- △OAB と △OCD は、点 O をはさんで向かい合っている。
- A、O、C は対角線 AC の上に一直線に並ぶ。だから ∠AOC = 180°。
- O は AC の中点なので、OA = OC。A は O を中心に 180° 回ると C に移る。
- 同じように、B、O、D は対角線 BD の上に並び、OB = OD。B は 180° 回ると D に移る。
- よって、点 O を中心とする 180° の回転移動で重なる。180° の回転移動を点対称移動という。
ここで間違えやすい 平行移動では点 O も動いてしまうので、O を共有する △OCD には重ならない。
別の答え 辺 AD の中点と辺 BC の中点を通る直線(点 O を通り、辺 AB に平行な直線)を対称の軸とする対称移動でも重なる。このときは O は動かず、A は D に、B は C に移る。
問 3 問 1 の正方形で、△OAB を対角線 AC を対称の軸として対称移動すると、どの三角形に重なるか。
△OAD
方針 対称移動は、軸を折り目にして折り返す移動。軸の上の点は動かない。軸の上にない点は、軸に垂直な方向へ、反対側の同じ距離のところに移る。3 つの頂点 O、A、B がそれぞれどこへ移るかを調べる。
- 対称の軸は対角線 AC。点 A と点 O は AC の上にあるので、動かない。
- 点 B は軸の上にない。B から軸 AC に垂直に進む線を考える。正方形の対角線は垂直に交わるので(BD ⊥ AC)、その線は対角線 BD。
- BD と AC は O で交わり、OB = OD。だから B は、軸の反対側で同じ距離にある D に移る。
- O は O に、A は A に、B は D に移るので、重なるのは △OAD。
ここで間違えやすい 3 つの頂点が全部動くとは限らない。軸の上にある点は、折り返しても同じ位置にある。
問 4 △ABC を平行移動したら、点 A が点 A′ に移った。AA′ = 5 cm のとき、BB′ と CC′ の長さはそれぞれ何 cm か。また、AA′ と BB′ の位置関係を記号で書け。
BB′ = 5 cm、CC′ = 5 cm。AA′ // BB′
方針 平行移動では、どの点も同じ方向に同じ距離だけ動く。だから、点 A の動き方が分かれば、点 B と点 C の動き方も同じだと分かる。
- 点 A は A′ まで 5 cm 動いた。
- 点 B も点 C も同じ距離だけ動くので、BB′ = 5 cm、CC′ = 5 cm。
- 動く方向も同じなので、線分 AA′ と線分 BB′ は平行になる。
- 平行は記号 // で表すので、AA′ // BB′。
ここで間違えやすい ⊥ は垂直の記号。平行の記号 // と取り違えない。
問 5 点 O を回転の中心として、△ABC を 60° だけ回転移動したら △A′B′C′ になった。OA = 4 cm のとき、OA′ は何 cm か。また ∠BOB′ は何度か。
OA′ = 4 cm、∠BOB′ = 60°
方針 回転移動で変わらないことは 2 つある。回転の中心から対応する点までの距離と、どの点も同じ角度だけ回ること。OA′ の長さには 1 つ目を、∠BOB′ には 2 つ目を使う。
- 点 A は A′ に移る。回転の中心 O からの距離は変わらないので、OA′ = OA。
- OA = 4 cm なので、OA′ = 4 cm。
- ∠BOB′ は、点 B が O のまわりを回った角。
- どの点も同じ 60° だけ回るので、∠BOB′ = 60°。
ここで間違えやすい 回る角度は、中心からの距離に関係しない。OB の長さが分からなくても、∠BOB′ は 60° と決まる。