四分位範囲と箱ひげ図
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 第 2 学年 D データの活用 (1) データの分布 ア (ア)「四分位範囲や箱ひげ図の必要性と意味を理解すること」と
(イ)「コンピュータなどの情報手段を用いるなどしてデータを整理し箱ひげ図で表すこと」。
0. 何を押さえるか
データを小さい順に並べて 4 等分する位置の値を四分位数といいます。
中 1 で学んだ範囲(最大値 − 最小値)は、飛び離れた値が 1 つあるだけで大きく変わってしまいます。
真ん中の約半分のデータの散らばりを見る四分位範囲と、それを図にした箱ひげ図は、その弱点を補います。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 第 1 四分位数 | 前半(小さいほうの半分)の中央値 |
| 第 2 四分位数 | データ全体の中央値 |
| 第 3 四分位数 | 後半(大きいほうの半分)の中央値 |
| 四分位範囲 | 第 3 四分位数 − 第 1 四分位数 |
| 箱ひげ図 | 最小値・第 1 四分位数・中央値・第 3 四分位数・最大値の 5 つを 1 つの図にしたもの |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 第 2 四分位数は中央値そのもの
- データの個数が奇数のとき、中央値は前半にも後半にも入れない
- ひげが長い=データが多い、ではない。左右のひげにはそれぞれおよそ 4 分の 1 ずつ、箱にはおよそ半分のデータがある
1. 四分位数の求め方
根拠: 学習指導要領 中2-D-(1)-ア-(ア)
データを小さい順に並べ、まず全体の中央値(第 2 四分位数)で前半と後半に分けます。
前半の中央値が第 1 四分位数、後半の中央値が第 3 四分位数です。
四分位数とは何か?
データを小さい順に並べて4 等分する位置にある 3 つの値
小さいほうから第 1 四分位数・第 2 四分位数・第 3 四分位数。
第 2 四分位数は、何と同じ値か?
中央値
データ全体をちょうど半分に分ける値。
第 1 四分位数・第 3 四分位数はどう求めるか?
中央値で前半と後半に分け、前半の中央値が第 1 四分位数、後半の中央値が第 3 四分位数
それぞれの半分の中で、また真ん中をとる。
データの個数が奇数のとき、前半・後半に分けるときの中央値の扱いは?
中央値は前半にも後半にも入れない
9 個なら、5 番目が中央値、前半は 1〜4 番目、後半は 6〜9 番目。
データの個数が偶数のとき、中央値はどう求めるか?
真ん中の 2 つの値の平均
10 個なら 5 番目と 6 番目の平均。前半は 1〜5 番目、後半は 6〜10 番目。
2. 四分位範囲
根拠: 学習指導要領 中2-D-(1)-ア-(ア)
四分位範囲は、真ん中の約半分のデータがどれくらいの幅に収まっているかを表します。
四分位範囲を求める式は?
第 3 四分位数 − 第 1 四分位数
範囲(最大値 − 最小値)と取り違えない。
散らばりを比べるとき、四分位範囲が範囲より優れている点は?
極端に離れた値(外れ値)の影響を受けにくい
範囲は最大値・最小値だけで決まるので、1 つの外れ値で大きく変わる。
3. 箱ひげ図の描き方と読み方
根拠: 学習指導要領 中2-D-(1)-ア-(イ)
数直線の上に、第 1 四分位数から第 3 四分位数までを箱で表し、箱の中に中央値の線を引きます。
箱の両端から最小値・最大値まで線(ひげ)をのばします。コンピュータを使えば、多くのデータでもすぐに描けます。
箱ひげ図に表す 5 つの値は?
最小値・第 1 四分位数・中央値・第 3 四分位数・最大値
平均値はこの 5 つに入らない(+ の印で書き添えることはある)。
箱ひげ図の箱の長さは、何を表すか?
四分位範囲
箱の中に、全体のおよそ半分のデータが入っている。
箱ひげ図で、右のひげが左のひげより長いとき、右のひげの部分にデータが多いと言えるか?
言えない
左右のひげには、それぞれおよそ 4 分の 1 ずつのデータがある。長いのは、その 4 分の 1 が広く散らばっているということ。
ヒストグラムでは分かるが、箱ひげ図では分からないことの例は?
分布の山の形(山がいくつあるか、どの階級にいちばん多いか)
箱ひげ図は 5 つの値だけで表すので、細かい形は消える。その代わり、複数の集団を並べて比べやすい。
4. 複数の集団を比べる
根拠: 学習指導要領 中2-D-(1)-ア-(イ)
箱ひげ図を縦や横に並べると、いくつもの集団の分布を一度に比べられます。
比べるときは、中央値の位置と箱の長さ(四分位範囲)に注目します。
箱ひげ図を並べて 2 つの集団を比べるとき、まず見るとよい 2 つは?
中央値の位置(全体として大きいか小さいか)と箱の長さ(真ん中の半分の散らばり)
最大値・最小値だけで比べると、外れ値に引きずられる。
練習問題
問 1 次のデータの第 1 四分位数、第 2 四分位数、第 3 四分位数と、四分位範囲を求めよ。
3, 5, 6, 8, 9, 11, 12, 14, 17
3, 5, 6, 8, 9, 11, 12, 14, 17
第 1 四分位数 5.5、第 2 四分位数 9、第 3 四分位数 13、四分位範囲 7.5
方針 小さい順に並んだデータを、まず中央値(第 2 四分位数)で前半と後半に分ける。前半の中央値が第 1 四分位数、後半の中央値が第 3 四分位数。四分位範囲は「第 3 四分位数 − 第 1 四分位数」。
- データは 9 個(奇数)なので、中央値は真ん中の 5 番目の値。第 2 四分位数は 9。
- 個数が奇数のときは、中央値の 9 を除いて分ける。前半は 3, 5, 6, 8、後半は 11, 12, 14, 17。
- 前半は 4 個(偶数)なので、中央値は 2 番目と 3 番目の平均。。これが第 1 四分位数。
- 後半も 4 個なので、中央値は 2 番目と 3 番目の平均。。これが第 3 四分位数。
- 四分位範囲は、第 3 四分位数から第 1 四分位数を引く。
ここで間違えやすい 個数が奇数のとき、真ん中の 9 を前半にも後半にも入れない。
問 2 次のデータの四分位数と四分位範囲、範囲を求めよ。
2, 4, 4, 7, 8, 10, 11, 13, 15, 20
2, 4, 4, 7, 8, 10, 11, 13, 15, 20
第 1 四分位数 4、第 2 四分位数 9、第 3 四分位数 13、四分位範囲 9、範囲 18
方針 まず中央値で前半と後半に分け、それぞれの中央値を求める。個数が偶数のときは、ちょうど半分ずつに分ければよい。四分位範囲は「第 3 四分位数 − 第 1 四分位数」、範囲は「最大値 − 最小値」。
- データは 10 個(偶数)なので、中央値は 5 番目と 6 番目の平均。。これが第 2 四分位数。
- 5 個ずつに分ける。前半は 2, 4, 4, 7, 8、後半は 10, 11, 13, 15, 20。
- 前半は 5 個(奇数)なので、中央値は 3 番目の 4。これが第 1 四分位数。
- 後半も 5 個なので、中央値は 3 番目の 13。これが第 3 四分位数。
- 四分位範囲は、第 3 四分位数から第 1 四分位数を引く。
- 範囲は、最大値から最小値を引く。
ここで間違えやすい 四分位範囲と範囲を取り違えない。四分位範囲は箱の長さ、範囲はひげの端から端までの長さ。
問 3 問 2 のデータで、最大値 20 が 50 だったとする。範囲と四分位範囲はそれぞれどう変わるか。
範囲は 18 から 48 に変わるが、四分位範囲は 9 のまま
方針 範囲は最大値と最小値で決まり、四分位範囲は第 1・第 3 四分位数で決まる。最大値を変えたとき、それぞれの計算に使う値が変わるかどうかを見る。
- 範囲を求め直す。最大値が 50、最小値は 2 のままなので、。もとの範囲は だった。
- 後半のデータは 10, 11, 13, 15, 50 になる。中央値は 3 番目の値なので、13 のまま。第 3 四分位数は変わらない。
- 前半のデータは変わっていないので、第 1 四分位数も 4 のまま。
- 四分位範囲は で、もとと同じ。
最大値は第 3 四分位数の計算に入っていない(後半の中央値は 13 のまま)。四分位範囲が、極端に離れた値(外れ値)に左右されにくい例である。
問 4 30 人のテストの結果を箱ひげ図に表すと、最小値 20 点、第 1 四分位数 45 点、中央値 60 点、第 3 四分位数 70 点、最大値 95 点だった。60 点以上の生徒は 15 人以上いると言えるか。
言える
方針 箱ひげ図からは 1 人 1 人の点数は分からない。そこで、中央値が「小さいほうから何番目の人の値か」を考える。30 人(偶数)なので、中央値は 15 番目と 16 番目の平均である。
- 点数を小さい順に並べる。30 人の中央値は、15 番目と 16 番目の平均。これが 60 点。
- 16 番目の点数は、15 番目の点数以上。2 人の平均が 60 点なので、大きいほうの 16 番目は 60 点以上になる。
- もし 16 番目が 60 点より低いなら、15 番目も 60 点より低く、平均が 60 点に届かない。だから 16 番目は 60 点以上と言える。
- 17 番目から 30 番目は、16 番目以上の点数なので、みな 60 点以上。
- 16 番目から 30 番目までの人数は、 人。だから、60 点以上の生徒は 15 人以上いると言える。
ここで間違えやすい 「中央値が 60 点だから、60 点の人がいる」とは言えない。15 番目が 58 点、16 番目が 62 点でも、中央値は 60 点になる。
問 5 A 組と B 組の通学時間の箱ひげ図を比べると、中央値はどちらも 15 分だが、箱の長さは A 組が 6 分、B 組が 14 分だった。どんなことが言えるか。
真ん中の約半分の生徒の通学時間は、B 組のほうが散らばっている
方針 箱ひげ図を比べるときは、中央値の位置と箱の長さの 2 つを見る。箱の長さは四分位範囲で、真ん中の約半分のデータが入っている幅を表す。
- 中央値を比べる。どちらも 15 分なので、全体の真ん中の位置は同じ。
- 箱の長さ(四分位範囲)を比べる。A 組は 6 分、B 組は 14 分で、B 組のほうが大きい。
- 箱の中には、どちらの組も約半分の生徒が入っている。その半分が、A 組は 6 分の幅に、B 組は 14 分の幅に広がっている。
- だから、真ん中の約半分の生徒の通学時間は、B 組のほうが散らばっている(ばらつきが大きい)。
ここで間違えやすい 「箱が長い B 組のほうが、箱に入る人数が多い」とは言えない。どちらの箱にも、全体の約半分が入っている。