円周角の定理
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 第 3 学年 B 図形 (2) 円周角と中心角の関係 ア (ア)「円周角と中心角の関係の意味を理解し,それが証明できることを知ること」と、
第 3 学年の内容の取扱い (4)「円周角の定理の逆を取り扱う」。
0. 何を押さえるか
円 O で、弧 AB 上にない円周上の点 P をとったとき、∠APB を弧 AB に対する円周角、∠AOB を弧 AB に対する中心角といいます。
円周角は、P を円周上のどこに動かしても(弧 AB 上に入らないかぎり)大きさが変わりません。
| 性質 | 内容 |
|---|---|
| 円周角の定理 ① | 1 つの弧に対する円周角は、その弧に対する中心角の半分 |
| 円周角の定理 ② | 同じ弧に対する円周角は等しい |
| 半円の弧 | 直径に対する円周角は 90° |
| 弧と円周角 | 等しい弧に対する円周角は等しい。等しい円周角に対する弧は等しい |
| 円周角の定理の逆 | 同じ側の 2 点から見た角が等しければ、4 点は 1 つの円周上にある |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 円周角は中心角の半分(2 倍ではない。中心角のほうが大きい)
- 直径を見込む円周角は 90°(中心角が 180° だから)
- 円周角の定理の逆は、2 点が直線 AB について同じ側にあるときだけ使える
1. 円周角と中心角
根拠: 学習指導要領 中3-B-(2)-ア-(ア)
角の頂点が円周上にあるのが円周角、円の中心にあるのが中心角です。どちらも「どの弧に対する角か」とセットで考えます。
円 O の弧 AB に対する円周角とは、どんな角か?
弧 AB 上にない円周上の点 P をとったときの ∠APB
角の頂点が円周上にあり、2 辺が弧の両端 A、B を通る角。
円 O の弧 AB に対する中心角とは、どんな角か?
∠AOB(頂点が円の中心 O にある角)
弧 AB の両端と中心を結んでできる角。
2. 円周角の定理
根拠: 学習指導要領 中3-B-(2)-ア-(ア)
円周角と中心角の間には、次の関係があります。これを円周角の定理といいます。
1 つの弧に対する円周角と中心角には、どんな関係があるか?
円周角は、その弧に対する中心角の半分
∠APB ∠AOB。中心角 100° なら円周角は 50°。
同じ弧に対する円周角どうしには、どんな関係があるか?
すべて等しい
∠APB と ∠AQB は、どちらも中心角 ∠AOB の半分なので等しい。
弧 AB に対する中心角が 130° のとき、弧 AB に対する円周角は?
65°
円周角は中心角の半分。260° と 2 倍にしてしまうのが典型的な誤り。
3. 半円の弧に対する円周角
根拠: 学習指導要領 中3-B-(2)-ア-(ア)
AB が直径のとき、弧 AB は半円で、中心角 ∠AOB は 180° です。
AB が円の直径のとき、弧 AB 上にない円周上の点 P について、∠APB は何度か?
90°
半円の弧に対する中心角は 180° で、円周角はその半分。
AB が直径の円で、円周上の点 C について ∠ABC = 35° のとき、∠BAC は何度か?
55°
直径に対する円周角 ∠ACB = 90° なので、三角形の内角の和から 180° − 90° − 35°。
4. 弧と円周角
根拠: 学習指導要領 中3-B-(2)-ア-(ア)
1 つの円で、弧の長さと円周角の大きさは対応しています。
1 つの円で、等しい弧に対する円周角はどうなるか? 逆は成り立つか?
等しい。逆に、等しい円周角に対する弧も等しい
弧が等しければ中心角が等しく、その半分の円周角も等しい。
1 つの円で、円周角の大きさと、それに対する弧の長さにはどんな関係があるか?
比例する
円周角が 2 倍になれば、弧の長さも 2 倍になる。
5. 円周角の定理の逆
根拠: 学習指導要領 中3-B-(2)-ア-(ア)
円周角の定理を逆向きにすると、4 つの点が 1 つの円周上にあるかどうかを角で判定できます。
円周角の定理の逆とは何か?
2 点 P、Q が直線 AB について同じ側にあり、∠APB = ∠AQB ならば、4 点 A、B、P、Q は 1 つの円周上にある
角が等しいことから、同じ円の周上にあることを導く。
円周角の定理の逆を使うとき、2 点 P、Q について欠かせない条件は?
直線 AB について同じ側にあること
反対側にある 2 点では、∠APB = ∠AQB でも 1 つの円周上にあるとは限らない。
6. 円周角の定理は証明できる
根拠: 学習指導要領 中3-B-(2)-ア-(ア)
円周角の定理は、二等辺三角形の性質と三角形の外角の性質から証明できます。
円の中心 O と ∠APB の位置関係によって、場合を分けて考えます(全文は練習問題の問 5)。
円周角の定理(円周角は中心角の半分)を証明するとき、どんな場合に分けるか?
中心 O が、∠APB の辺の上にある場合・内部にある場合・外部にある場合
どの場合も、P を通る直径を引いて、辺の上にある場合に帰着させる。
円周角の定理の証明で使う、2 つの性質は?
二等辺三角形の底角は等しい(OA = OP)、三角形の外角はそれと隣り合わない 2 つの内角の和に等しい
半径が等しいので △OAP は二等辺三角形になる。
練習問題
問 1 円 O で、弧 AB に対する円周角 ∠APB が 40° のとき、弧 AB に対する中心角 ∠AOB は何度か。
80°
方針 ∠APB と ∠AOB は、どちらも同じ弧 AB に対する角である。頂点が円周上にある ∠APB が円周角、頂点が中心にある ∠AOB が中心角。円周角は中心角の半分なので、逆に、中心角は円周角の 2 倍になる。
- 円周角の定理から、∠APB ∠AOB
- 求めたいのは中心角なので、両辺を 2 倍する。∠AOB は ∠APB の 2 倍。
- ∠APB は 40° なので、。∠AOB = 80°
ここで間違えやすい 半分にして 20° としない。大きいのは中心角のほうである。
問 2 円周上に 4 点 A、B、C、D がこの順にある。∠ACB = 25°、∠BAC = 70° のとき、∠ADB と ∠BDC をそれぞれ求めよ。
∠ADB = 25°、∠BDC = 70°
方針 同じ弧に対する円周角は等しい。そこで、求めたい角が「どの弧に対する円周角か」を先に読み取り、同じ弧に対する円周角で、大きさが分かっているものを探す。角の名前は、まん中の文字が頂点、両はしの文字が弧の両端を表す。
- ∠ADB は、頂点が D で、両はしが A と B。だから、弧 AB に対する円周角である。
- 弧 AB に対する円周角で、大きさが分かっているのは ∠ACB(頂点が C、両はしが A と B)。
- 4 点は A、B、C、D の順にならんでいるので、C と D はどちらも、A から B までの弧(C、D をふくまないほう)の上にない。同じ弧に対する円周角なので、∠ADB = ∠ACB = 25°
- ∠BDC は、頂点が D で、両はしが B と C。だから、弧 BC に対する円周角である。
- 弧 BC に対する円周角で、大きさが分かっているのは ∠BAC(頂点が A、両はしが B と C)。
- A と D はどちらも、B から C までの弧(A、D をふくまないほう)の上にない。同じ弧に対する円周角なので、∠BDC = ∠BAC = 70°
ここで間違えやすい 角の名前に同じ文字が入っているだけで等しいとしない。両はしの 2 文字(弧の両端)が同じ角どうしを比べる。
問 3 AB を直径とする円 O の周上に点 C があり、∠CAB = 28° である。∠ABC を求めよ。
62°
方針 AB が直径で、C が円周上の点なので、△ABC の ∠ACB は直径に対する円周角になり、90° と決まる。これで △ABC の角が 2 つ分かるので、残りの ∠ABC は内角の和 180° から求める。
- △ABC に注目する。∠ACB は直径 AB に対する円周角なので、∠ACB = 90°
- 三角形の内角の和は 180° なので、∠ABC = 180° − ∠ACB − ∠CAB
- 角の大きさを当てはめる。∠ABC = 180° − 90° − 28° = 62°
ここで間違えやすい 90° になるのは、円周上の点 C のところの角(∠ACB)。直径の両端 A、B のところの角ではない。
問 4 四角形 ABCD で、対角線 AC と BD を引いたところ、∠BAC = 40°、∠BDC = 40° だった。点 A、D は直線 BC について同じ側にある。4 点 A、B、C、D は 1 つの円周上にあるか。
ある
方針 4 つの点が 1 つの円周上にあるかどうかは、円周角の定理の逆で調べる。確かめることは 2 つある。2 つの点が、ある直線について同じ側にあるか。その 2 つの点から同じ線分を見た角が等しいか。
- ∠BAC と ∠BDC は、どちらも両はしが B と C。つまり、点 A と点 D から、同じ線分 BC を見た角である。
- 1 つ目の条件を確かめる。問題文から、2 点 A、D は直線 BC について同じ側にある。
- 2 つ目の条件を確かめる。∠BAC = 40°、∠BDC = 40° なので、∠BAC = ∠BDC
- 2 つの条件がそろったので、円周角の定理の逆より、4 点 A、B、C、D は 1 つの円周上にある。
ここで間違えやすい 「同じ側にある」の確かめを省かない。A と D が直線 BC の反対側にあるときは、角が等しくても 1 つの円周上にあるとは限らない。
問 5 円 O の周上に点 A、B、P があり、中心 O が ∠APB の内部にある。∠APB ∠AOB であることを証明せよ。
証明の例
方針 円周角と中心角をつなぐ手がかりは、半径である。OA、OB、OP はどれも半径で等しいので、△OAP と △OBP は二等辺三角形になる。P を通る直径 PC を引くと、∠APB も ∠AOB も、直径の左右 2 つに分かれる。片側ずつ「中心の角は、円周上の角の 2 倍」を示して、最後にたす。
- P を通る直径 PC を引く。
- 直径の A の側にある △OAP に注目する。OA = OP(半径)なので二等辺三角形で、底角は等しい。∠OAP = ∠OPA
- ∠AOC は、△OAP の頂点 O のところの外角である。三角形の外角は、それと隣り合わない 2 つの内角の和に等しいので、∠AOC = ∠OAP + ∠OPA
- 手順 2 より ∠OAP を ∠OPA におきかえると、∠AOC = ∠OPA + ∠OPA = 2∠OPA …①
- 直径の B の側にある △OBP でも、OB = OP から同じように考えて、∠BOC = 2∠OPB …②
- ①、②をたすと、∠AOC + ∠BOC = 2(∠OPA + ∠OPB)
- O が ∠APB の内部にあるので、直径 PC は ∠APB と ∠AOB の中を通る。だから ∠AOB = ∠AOC + ∠BOC、∠APB = ∠OPA + ∠OPB。
- 手順 6 の式に当てはめて、∠AOB = 2∠APB、すなわち ∠APB ∠AOB。
ここで間違えやすい 手順 7 は、O が ∠APB の内部にあるから言える。O が外部にあるときは、たし算ではなくひき算になる。