三平方の定理
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 第 3 学年 B 図形 (3) 三平方の定理 ア (ア)「三平方の定理の意味を理解し,それが証明できることを知ること」。
0. 何を押さえるか
直角三角形の 3 辺の長さの間には、いつでも決まった関係があります。これが三平方の定理です。
直角をはさむ 2 辺を 、斜辺を とすると、
| 使い方 | 式 |
|---|---|
| 斜辺を求める | |
| 直角をはさむ辺を求める | |
| 直角三角形かどうかを調べる(逆) | いちばん長い辺を として か |
| 特別な直角三角形 | 45°・45°・90° は 、30°・60°・90° は |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- は斜辺(直角の向かいの辺・いちばん長い辺)。与えられた 2 辺のどちらかが斜辺なら、ひき算になる
- 30°・60°・90° の比は の順(斜辺が 。 は 60° の向かいの辺)
- 直方体の対角線は 3 辺の 2 乗の和()
1. 三平方の定理
根拠: 学習指導要領 中3-B-(3)-ア-(ア)
どの辺が斜辺かを先に確かめてから式を立てます。斜辺は直角の向かいにあり、3 辺の中でいちばん長い辺です。
三平方の定理とは何か?(直角をはさむ 2 辺を 、斜辺を とする)
直角三角形の、直角をはさむ 2 辺の 2 乗の和は、斜辺の 2 乗に等しい。
直角三角形の斜辺とは、どの辺か?
直角の向かい側にある辺(3 辺の中でいちばん長い)
三平方の定理の はこの辺に決まっている。
直角三角形で、斜辺が 5 cm、他の 1 辺が 3 cm のとき、残りの辺は?
4 cm
より 。 とたして とするのは、5 を斜辺でない辺と取り違えた誤り。
2. 三平方の定理の逆
根拠: 学習指導要領 中3-B-(3)-ア-(ア)
3 辺の長さが分かっていれば、角度を測らなくても直角三角形かどうかが分かります。
三平方の定理の逆とは何か?
3 辺が の三角形で ならば、その三角形は を斜辺とする直角三角形
辺の長さだけから直角を判定できる。
三平方の定理の逆で直角三角形かどうかを調べるとき、どの辺を にするか?
いちばん長い辺
斜辺はいちばん長い辺なので、残りの 2 辺の 2 乗の和と、最も長い辺の 2 乗を比べる。
3. 特別な直角三角形
根拠: 学習指導要領 中3-B-(3)-ア-(ア)
直角二等辺三角形と、正三角形を半分にした直角三角形は、3 辺の比が決まっています。どちらも三平方の定理から出てきます。
角が 45°・45°・90° の直角三角形の、3 辺の比は?
(斜辺が )
直角二等辺三角形。 なので斜辺は 。正方形の対角線は 1 辺の 倍。
角が 30°・60°・90° の直角三角形の、3 辺の比は?
(30° の向かいが 、斜辺が 、60° の向かいが )
正三角形を半分にした形。。
1 辺が の正三角形の高さは?
正三角形を半分にすると、斜辺 、底辺 の 30°・60°・90° の直角三角形になる。
4. 三平方の定理の利用
根拠: 学習指導要領 中3-B-(3)-ア-(ア)
求めたい長さを斜辺か、直角をはさむ辺にもつ直角三角形を見つけることが、いつも最初の一歩です。
座標平面上の 2 点 、 の間の距離は?
横の差と縦の差を直角をはさむ 2 辺とする直角三角形の斜辺。
縦 、横 の長方形の対角線の長さは?
対角線で分けた直角三角形の斜辺。
縦 、横 、高さ の直方体の対角線の長さは?
底面の対角線 と高さ を直角をはさむ 2 辺として、もう一度三平方の定理を使う。
母線の長さ 、底面の半径 の円錐の高さは?
高さと半径が直角をはさみ、母線が斜辺になる。ひき算になることに注意。
5. 三平方の定理は証明できる
根拠: 学習指導要領 中3-B-(3)-ア-(ア)
三平方の定理には多くの証明があります。代表的なのは面積を使う方法で、
1 辺が の正方形の中に、合同な直角三角形 4 つを並べ、まん中にできる正方形の面積を 2 通りに表します(全文は練習問題の問 6)。
面積を使った三平方の定理の証明では、何を 2 通りに表すか?
同じ図形の面積(大きな正方形 = 直角三角形 4 つ + まん中の正方形)
2 通りの式を等しいとおいて整理すると、 が出る。
練習問題
問 1 直角をはさむ 2 辺が 2 cm と 3 cm の直角三角形の、斜辺の長さを求めよ。
cm
方針 直角三角形で 2 辺が分かっているので、三平方の定理 を使う。分かっている 2 cm と 3 cm は直角をはさむ 2 辺で、求めるのが斜辺。斜辺は式の右側の なので、2 乗どうしのたし算になる。
- 斜辺の長さを cm として、三平方の定理に当てはめる。
- 左辺を計算する。
- だから、
- は長さなので正の数。
ここで間違えやすい 2 乗してからたす。先に とたしてはいけない。また、 はこれ以上かんたんにならないので、そのまま答える。
問 2 直角三角形で、斜辺が 10 cm、他の 1 辺が 6 cm のとき、残りの辺の長さを求めよ。
8 cm
方針 どれが斜辺かを先に決める。問題文から、斜辺は 10 cm。だから 10 は式の右側の に入り、6 cm と求める辺が、直角をはさむ 2 辺になる。求めるのが斜辺でないので、ひき算になる。
- 残りの辺の長さを cm として、三平方の定理に当てはめる。
- を右辺に移項する。
- 右辺を計算する。
- だから、
- は長さなので正の数。
ここで間違えやすい とたして、 としない。これは 10 cm を斜辺でない辺と取りちがえた誤り。答えの 8 cm が斜辺の 10 cm より短いことも確かめる。
問 3 3 辺の長さが 7 cm、24 cm、25 cm の三角形は、直角三角形か。
直角三角形である
方針 3 辺の長さだけから直角三角形かどうかを調べるので、三平方の定理の逆を使う。直角三角形なら、斜辺はいちばん長い辺である。そこで、いちばん長い辺を として、残りの 2 辺の 2 乗の和と、 の 2 乗を別々に計算して比べる。
- いちばん長い辺は 25 cm。これを斜辺の候補 とする。
- 残りの 2 辺の 2 乗の和を計算する。
- いちばん長い辺の 2 乗を計算する。
- 2 つの値が等しいので、 が成り立つ。
- 三平方の定理の逆より、この三角形は 25 cm の辺を斜辺とする直角三角形である。
ここで間違えやすい いちばん長い辺を、必ず 1 つだけの側()におく。 と を比べても、等しくならない。
問 4 座標平面上の 2 点 A、B の間の距離を求めよ。
5
方針 線分 AB はななめなので、そのままでは長さが分からない。そこで、AB を斜辺とする直角三角形を作る。横の線と縦の線を直角をはさむ 2 辺にすれば、その長さは座標の差で出せる。
- 点 C をとる。AC は横の線、BC は縦の線なので、∠C = 90°。△ABC は AB を斜辺とする直角三角形になる。
- 横の辺 AC の長さは、 座標の差。
- 縦の辺 BC の長さは、 座標の差。
- AB が斜辺なので、三平方の定理より
- 右辺を計算する。
- AB は長さなので正の数。
まとめて書くと、。
問 5 縦 3 cm、横 4 cm、高さ 12 cm の直方体の対角線の長さを求めよ。
13 cm
方針 直方体の対角線は、箱の中をななめに通る線である。直角三角形を 2 回使って求める。1 回目は底面の長方形で、底面の対角線を出す。2 回目は、底面の対角線と高さを直角をはさむ 2 辺とする直角三角形で、その斜辺が求める対角線になる。
- 底面(縦 3 cm、横 4 cm の長方形)に注目する。底面の対角線は、縦と横を直角をはさむ 2 辺とする直角三角形の斜辺。その長さを cm とすると、
- 右辺を計算する。
- は正の数なので、
- 次に、底面の対角線(5 cm)と高さ(12 cm)に注目する。高さは底面に垂直なので、この 2 つは直角をはさむ。直方体の対角線が斜辺で、その長さを cm とすると、
- 右辺を計算する。
- は正の数なので、
公式でまとめて計算すると、。
問 6 直角をはさむ 2 辺が 、斜辺が の直角三角形 4 つを、1 辺が の正方形の中に、まん中に 1 辺 の正方形ができるように並べる。これを使って を証明せよ。
証明の例
方針 同じ図形の面積を、2 通りの方法で表す。1 つは、大きな正方形を「1 辺 の正方形」として丸ごと見る方法。もう 1 つは、「直角三角形 4 つ + まん中の正方形」と部品に分けて見る方法。どちらも同じ面積なので、等しいとおいて整理する。
- 丸ごと見る。大きな正方形は 1 辺が なので、面積は 。
- 部品に分けて見る。直角三角形 1 つの面積は、直角をはさむ 2 辺が なので 。4 つ分で 。
- まん中の正方形は 1 辺が なので、面積は 。部品を合わせると、大きな正方形の面積は 。
- 手順 1 と手順 3 は同じ面積なので、
- 左辺を展開する。
- 両辺から をひく。
ここで間違えやすい を としない。展開で出てくる が、直角三角形 4 つ分の面積とちょうど打ち消し合う。