人工知能と情報通信技術
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「世界史探究」E (3) ア (ア) の「人工知能と労働の在り方の変容,情報通信技術の発達と知識の普及」と、それらを基に理解する「知識基盤社会の展開と課題」。
コンピュータとインターネットの歩み、人工知能が労働に与える変化、そして知識が社会の土台になる時代の課題を押さえます。
0. 何を押さえるか
コンピュータも、のちのインターネットも、出発点は軍事や研究のための技術でした。それが 1990 年代以降に一般の人々へ広がり、知識の手に入れ方と働き方を大きく変えています。
| 年 | できごと |
|---|---|
| 1946 | アメリカで電子計算機 ENIAC が完成 |
| 1956 | ダートマス会議で「人工知能」という語が使われる |
| 1969 | アメリカ国防総省の資金で ARPANET が始まる(インターネットの原型) |
| 1989 | バーナーズ=リーが WWW(ワールド=ワイド=ウェブ)を提案 |
| 1990 年代 | インターネットが一般に広がる |
| 1997 | コンピュータ「ディープ=ブルー」がチェスの世界王者に勝つ |
| 2000 | 九州・沖縄サミットで IT 憲章を採択 |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- インターネットの原型 ARPANET は軍事・研究の目的で始まり、一般の人が使えるようになったのは 1990 年代
- WWW はインターネットそのものではない。インターネットの上で文書を結び付けて見る仕組みで、スイスの CERN(欧州原子核研究機構)で生まれた
- 機械が人の仕事を奪うという不安は、人工知能で初めて生まれたものではない。産業革命期のイギリスでは機械を打ち壊すラダイト運動が起きた
1. コンピュータとインターネット
根拠: 学習指導要領 世界史探究-E-(3)-ア-(ア)
情報通信技術の発達は、計算する機械の誕生と、それらを結ぶ通信網の二つの流れから始まりました。
1946 年にアメリカで完成した、初期の電子計算機(コンピュータ)として知られるものは?
ENIAC
真空管を大量に使った巨大な機械だった。その後トランジスタや集積回路(IC)の開発で、コンピュータは小さく安くなっていった。
インターネットの原型とされる、1969 年にアメリカで始まったコンピュータのネットワークは?
ARPANET
アメリカ国防総省の研究機関の資金で、大学や研究所のコンピュータを結んだ。
1989 年、スイスの CERN でバーナーズ=リーが提案し、インターネットを誰でも使いやすくした仕組みは?
WWW(ワールド=ワイド=ウェブ)
文書どうしをリンクでつなぎ、ブラウザで閲覧できるようにした。1990 年代のインターネットの急速な普及を支えた。
2. 情報通信技術と格差
根拠: 学習指導要領 世界史探究-E-(3)-ア-(ア)
情報通信技術(ICT)は知識の普及を速めましたが、使える人と使えない人との間に新しい格差も生みました。
情報通信技術を使える人・地域と使えない人・地域との間に生じる格差を何という?
デジタル=デバイド(情報格差)
国と国の間だけでなく、年齢や所得による国内の差としても問題になる。
2000 年の九州・沖縄サミットで採択された「グローバルな情報社会に関する沖縄憲章」(IT 憲章)が取り上げた課題は?
情報通信技術の恩恵をすべての人に広げ、デジタル=デバイドを解消すること
IT 革命と呼ばれた変化を、先進国だけのものにしないことがめざされた。
情報通信技術の発達が、政治や社会の動きに与えた影響の例は?
人々が国境を越えて直接情報を発信・共有でき、市民の運動が短い時間で広がるようになった
その一方で、誤った情報も同じ速さで広がるという課題が生まれている。
3. 人工知能と労働
根拠: 学習指導要領 世界史探究-E-(3)-ア-(ア)
人工知能(AI)の研究は 1950 年代に始まり、2010 年代に入って大量のデータを学習する手法で大きく進歩しました。
1956 年、アメリカで開かれ、「人工知能」という言葉が初めて使われた研究会議は?
ダートマス会議
人間の知的な働きを機械で実現することを研究の目標として掲げた。
1997 年、IBM のコンピュータ「ディープ=ブルー」がチェスの世界王者に勝ったことは、何を示したか?
限られたルールの中では、機械が人間の最高の専門家に勝てること
2010 年代には、大量のデータから学ぶ深層学習(ディープラーニング)によって、囲碁でもコンピュータが一流の棋士に勝った。
人工知能の発達が労働の在り方をどう変えると論じられているか?
定型的な仕事が機械に置き換えられる一方、新しい仕事や人と機械の協働が生まれる
産業革命期に機械化で手工業の職人の仕事が失われたことと比べて考えられることが多い。
19 世紀初めのイギリスで、機械の導入で仕事を失うことを恐れた職人たちが起こした機械打ちこわしの運動は?
ラダイト運動
技術の進歩が働く人の暮らしをおびやかすという問題は、人工知能をめぐる議論でも繰り返し引き合いに出される。
4. 知識基盤社会
根拠: 学習指導要領 世界史探究-E-(3)-ア-(ア)
情報通信技術によって知識が速く広く行き渡るようになると、新しい知識を生み出し活用する力が、社会や経済を動かす中心になっていきます。
新しい知識・情報・技術が、政治・経済・文化など社会のあらゆる領域で活動の基盤として重要性を増す社会を何という?
知識基盤社会
日本では 2005 年の中央教育審議会の答申などで使われ、学び続けることの大切さが強調されるようになった。
知識基盤社会で、著作物や発明などの権利を守る仕組みが国際的に重視されるようになったのはなぜか?
知識そのものが経済的な価値を生む中心の資源になったから
WTO も知的財産権を扱うようになった。一方で、医薬品の特許が途上国の人々の治療を妨げるといった課題も指摘されている。