ラテンアメリカ諸国の独立
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「世界史探究」D (2) ア (ア) の「環大西洋革命」のうち、大西洋の南西側で起きた独立です。同じ (2) のイ (ア) が考察を求める「南北アメリカ大陸の変容」を考える手がかりにもなります。
0. 何を押さえるか
フランス革命とナポレオン戦争で本国(スペイン・ポルトガル・フランス)が揺らいだすきに、中南米の植民地が次々に独立しました。ただし独立を主導した人々と、その後の社会のあり方は地域によって違います。
| 地域 | 独立の年 | 主導した人々・指導者 | 旧宗主国 |
|---|---|---|---|
| ハイチ | 1804 | 黒人奴隷(トゥサン=ルヴェルチュール) | フランス |
| アルゼンチン・チリ・ペルー | 1810 年代〜1820 年代 | クリオーリョ(サン=マルティン) | スペイン |
| ベネズエラ・コロンビア・ボリビア | 1810 年代〜1820 年代 | クリオーリョ(シモン=ボリバル) | スペイン |
| メキシコ | 1821 | 神父イダルゴの蜂起に始まる | スペイン |
| ブラジル | 1822 | ポルトガルの王子が皇帝となる | ポルトガル |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- ハイチは黒人奴隷が起こした革命、その他の多くはクリオーリョ(植民地生まれの白人)が主導した独立
- ブラジルは共和国でなく帝国として独立した。ポルトガル王家の王子が皇帝になった
- モンロー宣言(1823 年)は南北アメリカとヨーロッパの相互不干渉。ラテンアメリカの独立への、ヨーロッパの干渉を拒んだ
1. ハイチの独立
根拠: 学習指導要領 世界史探究-D-(2)-ア-(ア)
カリブ海のフランス領サン=ドマングは、黒人奴隷を使った砂糖のプランテーションで栄えていました。フランス革命の影響のもと、奴隷たちが立ち上がります。
フランス領サン=ドマングで、黒人奴隷の反乱を指導した人物は?
トゥサン=ルヴェルチュール
ナポレオンの派遣した軍に捕らえられ、フランスで獄死したが、反乱は続いた。
1804 年に独立したハイチは、どのような国として歴史的な意味をもつか?
黒人が建てた初めての共和国
奴隷制を廃止した。黒人奴隷の反乱から生まれた国家として、奴隷制をとる周辺の国々に衝撃を与えた。
2. クリオーリョの独立運動
根拠: 学習指導要領 世界史探究-D-(2)-ア-(ア)
中南米の植民地では、本国生まれの白人が官職や商業の特権を独占していました。ナポレオンがスペインを支配して本国の権威が揺らぐと、植民地生まれの白人が独立に動きます。
ラテンアメリカで独立運動の中心となった、植民地生まれの白人を何という?
クリオーリョ
本国生まれの白人(ペニンスラール)が優遇されることに不満をもち、本国の商業統制にも反発していた。
スペインからの独立運動が一斉に広がる直接のきっかけとなったできごとは?
ナポレオンのスペイン占領(1808 年、兄ジョゼフを国王に立てた)
本国の王が退位させられて植民地を統治する正統な権力が揺らぎ、各地で自治・独立の動きが起きた。
ベネズエラやコロンビアなど南アメリカ北部の独立を指導した人物は?
シモン=ボリバル
ボリビアの国名はボリバルの名にちなむ。
アルゼンチンの独立に関わり、アンデス山脈を越えてチリ・ペルーの独立を進めた人物は?
サン=マルティン
南から北へ、ボリバルは北から南へ進み、南アメリカのスペイン支配は崩れた。
メキシコの独立運動のきっかけとなる 1810 年の蜂起を指導した人物は?
イダルゴ(神父)
先住民やメスティーソを率いた蜂起は鎮圧されたが、メキシコは 1821 年に独立した。
ブラジルがポルトガルから独立したとき、どのような政体をとったか?
帝政(ポルトガルの王子が皇帝となった、1822 年)
ナポレオンの侵攻でポルトガル王室がブラジルに移っていたことが背景にある。
3. 独立を支えた国際関係
根拠: 学習指導要領 世界史探究-D-(2)-ア-(ア)
ヨーロッパのウィーン体制の側は独立に干渉しようとしましたが、アメリカ合衆国とイギリスがこれに反対しました。
1823 年、アメリカ大統領が、ヨーロッパと南北アメリカ大陸の相互不干渉を表明した宣言は?
モンロー宣言(モンロー教書)
ラテンアメリカの独立に対するヨーロッパ諸国の干渉に反対した。のちのアメリカ外交の基本方針となる。
イギリス外相カニングがラテンアメリカ諸国の独立を支持したのはなぜか?
独立した国々を、イギリス製品の市場にしたかったから
スペインの貿易独占がなくなれば、イギリスは自由に取り引きできる。ウィーン体制の干渉政策とは逆の立場をとった。
4. 独立後の社会
根拠: 学習指導要領 世界史探究-D-(2)-ア-(ア)
独立しても、植民地時代の社会のしくみは多くが残りました。政治の独立と、社会・経済の自立とは別の問題でした。
独立後のラテンアメリカ諸国で、社会のしくみはどう変わったか?
クリオーリョの地主が支配する大土地所有制が残り、先住民・黒人・混血の人々の地位はあまり変わらなかった
政治では軍事力をもつ地方の有力者(カウディーリョ)が争い、政情の不安定な国が多かった。
独立後のラテンアメリカ諸国は、世界経済の中でどのような役割を担ったか?
コーヒー・砂糖・小麦・牛肉など一次産品を輸出し、工業製品を輸入する役割
イギリスの資本と市場に経済的に依存した。政治の独立が、経済の自立にはつながらなかった。