リスクマネジメント
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
シラバス案 Ver.0.1 の小分類 6-24-3「リスクマネジメント」(大分類 6:セキュリティ/中分類 24:情報セキュリティマネジメント)。
2026-09-26 にシラバス本文と突合済み。
0. 何を押さえるか
流れは 3 段です。何を守るか → どれだけ危ないか → どうするか。
| 段階 | シラバスの項目 | やること |
|---|---|---|
| ① 守るものを知る | 情報資産とリスク | 情報資産を洗い出し、分類し、情報資産台帳に載せる |
| ② 危なさを測る | リスクアセスメント | リスク特定 → リスク分析 → リスク評価 |
| ③ 手を打つ | リスク対応 | 回避・共有・保有(シラバスの用語例)に、低減を加えて選ぶ |
取り違えやすいのは 2 か所です。
- リスクアセスメントに「対応」は含まれない。 評価(対応が要るかの判断)までで終わり、対応は次の段階。
- リスク対応の選び方。 「やめる」が回避、「他者と分け合う」が共有、「受け入れる」が保有。
1. 情報資産とリスク
根拠: シラバス 6-24-3
情報資産には、どんなものが含まれるか?
組織にとって価値のある情報と、それを扱うもの
| 例 | |
|---|---|
| データ | 顧客情報、設計図、売上データ |
| 文書 | 契約書、紙の顧客名簿、議事録 |
| 情報システム | サーバ、PC、ソフトウェア、記録媒体 |
紙の文書や、それを扱う機器も情報資産。
「電子データだけ守ればよい」わけではない。
情報資産の分類とは? なぜ分類するか?
情報資産を、重要度(機密性・完全性・可用性の要求の高さ)に応じて区分すること
例: 「極秘」「社外秘」「公開」
分類する理由は、すべてを同じ強さで守ることはできないから。
重要なものほど強く守り、公開情報には手間をかけすぎない。
分類ごとに、持ち出し・複製・廃棄の扱い方を決めておく。
情報資産台帳とは?
組織が持つ情報資産を一覧にまとめた台帳
資産ごとに、次のようなことを記録する。
- 名称、保管場所、形態(電子・紙)
- 管理責任者
- 重要度(分類)
把握していないものは守れない——
リスクアセスメントの出発点になる。
2. 情報セキュリティリスクアセスメント
根拠: シラバス 6-24-3
リスクアセスメントのプロセスの 3 段階は?
リスク特定 → リスク分析 → リスク評価
| 段階 | 何をするか |
|---|---|
| リスク特定 | どんなリスクがあるかを洗い出す |
| リスク分析 | 起こりやすさと、起きたときの影響の大きさを見積もる |
| リスク評価 | 見積もった結果をリスク基準と比べ、対応が必要かを判断する |
対応そのものはアセスメントに含まれない。
リスク基準とは? どの段階で使うか?
リスクの大きさを「受け入れられるか、対応が要るか」判断するための物差し
例: 「影響が大きく、起こりやすさが中以上なら対応する」
リスク評価の段階で、分析した結果をこの基準と比べる。
基準を先に決めておかないと、
担当者ごとに判断がばらつき、対策の優先順位がつけられない。
リスク特定とリスク分析の違いは?
| 問い | 結果 | |
|---|---|---|
| リスク特定 | 何が起こりうるか? | リスクの一覧 |
| リスク分析 | それはどれくらい危ないか? | 起こりやすさ × 影響の大きさ(リスクの大きさ) |
リスクの大きさは、情報資産の価値・脅威・脆弱性の組合せで決まる。
脅威があっても、突かれる脆弱性がなければリスクは小さい。
3. 情報セキュリティリスク対応
根拠: シラバス 6-24-3
シラバスの用語例は「リスク回避,リスク共有(リスク移転,リスク分散),リスク保有」の 3 つで、リスク低減は挙がっていません
(なぜ挙げていないかは、シラバスには書かれていません)。
一方、IPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」第 4.0 版(2026 年 3 月)は、
リスク値の大きいものから対策を決めるときの区分を「リスクを低減する・保有する・回避する・移転する」の 4 つで示しています。
低減は、自社で対策を導入・強化して脆弱性を改善し、事故が起きる可能性を下げること。
このあとのノート(技術的セキュリティ対策、諸規程など)で学ぶ対策の多くが、ここに当たります。
このノートでは、シラバスの 3 つを軸にし、低減を並べて整理します。
分類の数や名前(「移転」を独立させるか「共有」にまとめるか)は出典によって違うので、何をするかで見分けられるようにしておきます。
リスク対応で、回避・低減・共有・保有は、それぞれ何をするか?
| 何をするか | 例 | |
|---|---|---|
| リスク回避 | リスクの原因となる活動そのものをやめる | 個人情報を扱うサービスをやめる |
| リスク低減(シラバスの用語例には無い) | 対策で、起こりやすさや影響を小さくする | 暗号化、アクセス制限 |
| リスク共有 | 保険や外部委託で、他者と分け合う | サイバー保険への加入 |
| リスク保有 | 対策せず、受け入れる | 影響の小さいリスクをそのままにする |
やめる・減らす・分ける・受け入れる。
リスク共有の「リスク移転」と「リスク分散」の違いは?
| 何をするか | |
|---|---|
| リスク移転 | 損失を他者に肩代わりしてもらう(保険、契約による外部委託) |
| リスク分散 | リスクのもとを複数に分けて、一度に全部を失わないようにする(拠点やデータの保管先を分ける) |
どちらもリスク共有に含まれる。
保険で移転できるのはお金の損失であって、
情報が漏れたという事実や信用の低下までは移せない。
リスク保有とリスク回避は、どう使い分けるか?
| 向くとき | |
|---|---|
| リスク回避 | 影響が大きすぎ、その活動をやめても困らないとき |
| リスク保有 | 影響が小さい、または対策の費用のほうが高くつくとき |
リスク保有は「何もしない」ではなく、
リスクを知ったうえで、受け入れると判断すること。
判断した記録を残し、定期的に見直す。