その他セキュリティ関連法規
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
シラバス案 Ver.0.1 の小分類 2「その他セキュリティ関連法規」(大分類 7:倫理・コンプライアンス/中分類 30:セキュリティ関連法規)。
2026-09-26 にシラバス本文と突合済み。
0. 何を押さえるか
法律ごとに誰を縛り、何のためにあるかが違います。
| 法律 | 誰を縛るか | 何のためか |
|---|---|---|
| 刑法の不正指令電磁的記録に関する罪 | 誰でも | コンピュータウイルスを作る・広める・持つことを罰する |
| サイバーセキュリティ基本法 | 国・自治体(事業者・国民には努力を求める) | 国のサイバーセキュリティ施策の基本方針を定める |
| 特定電子メール法 | 広告メールの送信者 | 迷惑メールを防ぐ(オプトイン) |
| サイバー対処能力強化法 | 国と、重要インフラの事業者 | 重大なサイバー攻撃を未然に防ぐ(能動的サイバー防御) |
取り違えやすい分かれ目は次の 2 つです。
- ウイルス作成罪は、使わなくても作った時点・持っていた時点で成立する
- サイバーセキュリティ基本法は「方針」の法律、サイバー対処能力強化法は国に具体的な権限を与える法律
1. 刑法
根拠: シラバス 7-30-2
不正指令電磁的記録に関する罪(ウイルス作成罪)とは?
正当な理由なく、コンピュータウイルス(人の意図に反する動作をさせるプログラム)を作成・提供・供用・取得・保管する行為を罰する罪(刑法 168 条の 2・168 条の 3)
| 行為 | 罰則 |
|---|---|
| 作成・提供、他人のコンピュータで実行させる(供用) | 3 年以下の拘禁刑または 50 万円以下の罰金 |
| 取得・保管 | 2 年以下の拘禁刑または 30 万円以下の罰金 |
実際に被害を出さなくても、作った時点・持っていた時点で成立する。
ウイルス対策ソフトの開発者が、検証のためにウイルスを保管するのは罪になるか?
ならない。「正当な理由」があるため。
この罪は「正当な理由がないのに」「人のコンピュータで実行させる目的で」行う場合に限られる。
対策ソフトの開発・研究のための作成や保管は処罰の対象外。
目的で罪になるかが分かれる。
2. サイバーセキュリティ基本法
根拠: シラバス 7-30-2
サイバーセキュリティ基本法とは?
日本のサイバーセキュリティに関する施策の基本理念と、国・自治体などの責務、施策の基本となる事項を定めた法律(2014 年成立)
政府はサイバーセキュリティ戦略を定め、
内閣に置くサイバーセキュリティ戦略本部(本部長は内閣総理大臣)が施策を推進する。
個人を直接罰する法律ではない点に注意。
サイバーセキュリティ基本法は、国以外の誰に、どんな責務・努力を求めているか?
| 対象 | 求めること |
|---|---|
| 地方公共団体 | 国と役割を分担し、地域の施策を行う |
| 重要社会基盤事業者(電力・通信・金融などの重要インフラ) | 自ら主体的にサイバーセキュリティを確保し、国の施策に協力する |
| サイバー関連事業者その他の事業者 | 自主的に確保に努め、国の施策に協力する |
| 国民 | サイバーセキュリティの重要性に関心と理解を深め、必要な注意を払うよう努める |
3. 特定電子メール法
根拠: シラバス 7-30-2
正式名称は「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」。
特定電子メール法とは? 広告メールは誰に送れるか?
広告・宣伝を目的とする電子メール(特定電子メール)の送信を規制し、迷惑メールを防ぐ法律
原則として、あらかじめ送信に同意した相手にしか送れない(オプトイン方式)。
同意を得たことを示す記録の保存も義務づけられている。
特定電子メール法で、広告メールの送信者に義務づけられている表示や、禁止されている行為は?
| 区分 | 中身 |
|---|---|
| 表示義務 | 送信者の氏名・名称、受信拒否の連絡先(配信停止の方法)などを表示する |
| 禁止 | 送信者情報を偽って送ること |
| 禁止 | プログラムで作った架空のアドレス宛てに大量送信すること |
受信者が拒否を申し出たら、以後は送ってはならない。
4. サイバー対処能力強化法
根拠: シラバス 7-30-2
正式名称は「重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律」(2025 年 5 月成立、公布は同月)。
関連する法律の改正(整備法)と合わせて、能動的サイバー防御を導入する法律で、段階的に施行されます。
サイバー対処能力強化法とは? 何を導入する法律か?
国や重要インフラなどに対する重大なサイバー攻撃を未然に防ぎ、被害の拡大を防止するための法律
能動的サイバー防御(アクティブ・サイバー・ディフェンス)を導入する。
攻撃を受けてから対応するだけでなく、攻撃の兆候を早くつかみ、必要なら攻撃元のサーバーを無害化するところまで踏み込む。
武力攻撃に至らない段階の、安全保障上の懸念があるサイバー攻撃を想定している。
サイバー対処能力強化法(と整備法)が定める主な仕組みは?
| 柱 | 中身 |
|---|---|
| 官民連携の強化 | 重要インフラの事業者(法律上は特別社会基盤事業者。いわゆる基幹インフラ事業者)に、重要なコンピュータの届出と、インシデントの報告を義務づける。国は事業者と協議会をつくり、攻撃の情報を共有する |
| 通信情報の利用 | 攻撃の兆候を見つけるため、国が一定の通信情報を取得・分析する |
| アクセス・無害化措置 | 警察・自衛隊が、攻撃に使われるサーバーなどにアクセスして無害化する(整備法による) |
| 監督 | 独立したサイバー通信情報監理委員会が、通信情報の扱いを監督する |
通信の秘密に関わるので、独立機関のチェックが組み込まれている。