音便
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
0. どういうまとまりか
発音しやすいように、語の中の音が別の音に変わることを音便といいます。
平安時代から起こり、口語の「書いて」「読んで」「取って」はすべて音便の形です。
| 音便 | 変わる音 | 何になるか | 例 |
|---|---|---|---|
| イ音便 | き・ぎ・し | い | 書きて → 書いて、高き → 高い |
| ウ音便 | ひ・び・み・く | う | 思ひて → 思うて、うつくしく → うつくしう |
| 撥音便 | に・び・み・り | ん | 死にて → 死んで、あるなり → あんなり |
| 促音便 | ち・ひ・り | っ | 立ちて → 立って、取りて → 取って |
分かれ目は次の 3 つ。
- 動詞の音便は、連用形に「て」「たり」が続くところで起こる(書き・て → 書い・て)。
- 形容詞の音便は、連用形「く」がウ音便、連体形「き」がイ音便になる(よく → よう、よき → よい)。
- 撥音便の「ん」は書かれないことがある(あんなり → あなり)。読むときは「ん」を補う。
1. 4 つの音便
根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-ウ
音便は、文語のきまりの中でも古典特有の表現として読み慣れておくものです。
古文の本文では促音の「っ」を小さく書かず「つ」と書くことが多く、「取つて」「言つて」のように見えます。
「音便」とは何か?
発音しやすいように、語の中の音が別の音に変わること
イ音便・ウ音便・撥音便・促音便の 4 種類がある。
「書きて」が「書いて」になる音便は何か?
イ音便
「き」が「い」に変わる。「急ぎて → 急いで」「差して → 差いて」も同じ。
「思ひて」が「思うて」になる音便は何か?
ウ音便
「ひ」が「う」に変わる。ひ・び・み・く が「う」になる。
「死にて」が「死んで」になる音便は何か?
撥音便
「に」が「ん」に変わる。に・び・み・り が「ん」になる(飛びて → 飛んで)。
「立ちて」が「立って」になる音便は何か?
促音便
「ち」が「っ」に変わる。ち・ひ・り が「っ」になる(言ひて → 言って、取りて → 取って)。
動詞の音便は、主にどの活用形で起こるか?
連用形(下に「て」「たり」が続くところ)
読み・て → 読ん・で、思ひ・たり → 思う・たり。
形容詞「よし」の連用形「よく」がウ音便になると、どういう形になるか?
よう
「く」が「う」に変わる。「うつくしく → うつくしう」「高く → 高う」も同じ。
形容詞の連体形「高き」がイ音便になると、どういう形になるか?
高い
「き」が「い」に変わる。口語の形容詞の「〜い」は、このイ音便から来ている。
2. 撥音便の無表記
根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-ウ
ラ変型に活用する語の連体形「〜る」に「なり」「めり」「べし」などが続くと、「る」が撥音便で「ん」になり、
さらにその「ん」が書かれずに消えることがあります。書かれていない「ん」を補って読むのがこのきまりです。
(このあとに続く「なり」「めり」が何の助動詞かは、02 助動詞で見分けます。)
「あなり」は、もとはどういう形か? どう読むか?
「あるなり」が撥音便で「あんなり」になり、「ん」が書かれない形。「あんなり」と読む
ラ変「あり」の連体形「ある」の「る」が「ん」に変わった。
撥音便で「ん」が書かれないことを何というか?
撥音便の無表記
あんなり → あなり、なかんめり → なかめり、あんべし → あべし。
「ななり」は、もとはどういう形か?
「なるなり」(断定「なり」の連体形「なる」+なり)
「なる」が撥音便で「なん」になり、「ん」が書かれずに「ななり」になった。
「あべし」は、もとはどういう形か?
「あるべし」
「ある」の「る」が撥音便で「ん」になり(あんべし)、「ん」が書かれずに「あべし」になった。