酵素の働き
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「生物」の内容 (2) ア (ア) ㋑「生命現象とタンパク質」。
内容の取扱いは「酵素については、その働きとタンパク質の立体構造との関係を扱うこと」を求めている。
0. どういう論点か
酵素は触媒です。反応の活性化エネルギーを下げるだけで、
反応の向きも、最後にできる量も変えません。
そして酵素の性質はすべて、タンパク質の立体構造から説明できます。
| 性質 | 立体構造からの説明 |
|---|---|
| 基質特異性 | 活性部位の形に合う基質としか結合できない |
| 最適温度がある | 高温では変性して形が崩れる |
| 最適 pH がある | pH が変われば側鎖の電荷が変わり、形が崩れる |
| 競争的阻害 | 基質に似た分子が活性部位を占める |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 酵素は反応の前後で変化しない(繰り返し使える)
- 最適温度を超えると活性は急に落ちる(温度が上がるほど速くなるのは、変性が始まるまで)
- 競争的阻害は基質濃度を上げれば打ち消せる、非競争的阻害は打ち消せない
1. 触媒としての酵素
根拠: 学習指導要領 生物-(2)-ア-(ア)-㋑
酵素が反応を速める仕組みを 1 行で言うと?
活性化エネルギーを下げるから
反応そのものの向きや、平衡の位置は変えない。
酵素は反応に使われて減る?
減らない。反応の前後で変化せず、繰り返し働く
だから少量で大量の基質を処理できる。
酵素が作用する相手の物質を何という? できたものは?
基質。できたものは生成物
酵素 + 基質 → 酵素‑基質複合体 → 酵素 + 生成物、と進む。
酵素が特定の基質にしか働かない性質を何という?
基質特異性
活性部位の立体構造が、その基質にだけ合うため。
酵素が基質と結合する部分を何という?
活性部位(活性中心)
ここの形が崩れると、基質と結合できなくなる。
無機触媒(酸化マンガン(Ⅳ) など)と酵素の違いを 2 つ挙げると?
①酵素は基質特異性をもつ ②酵素は高温で失活する
どちらも活性化エネルギーを下げる点は同じ。
2. 温度と pH
根拠: 学習指導要領 生物-(2)-ア-(ア)-㋑
酵素の反応速度が最大になる温度を何という? 多くの酵素では何 ℃ 前後?
最適温度。ヒトの酵素ではおよそ 35〜40 ℃
体温付近でもっともよく働く。
最適温度を超えると反応速度が急に下がるのはなぜ?
熱でタンパク質が変性し、活性部位の形が崩れるから
温度を下げても元には戻らない(失活)。
低温にした酵素は失活する?
失活しない。活性が下がるだけで、温度を戻せば働く
高温との非対称がここ。
酵素の反応速度が最大になる pH を何という? ペプシンとトリプシンではそれぞれどのあたり?
最適 pH。ペプシンは pH 2 付近、トリプシンは pH 8 付近
はたらく場所(胃・小腸)の pH に合っている。
pH が変わると酵素が働かなくなるのはなぜ?
側鎖の電荷が変わり、立体構造が崩れるから
活性部位の形が保てなくなる。
3. 酵素反応の調節
根拠: 学習指導要領 生物-(2)-ア-(ア)-㋑
基質と構造が似た物質が活性部位に結合して反応を妨げることを何という?
競争的阻害
基質濃度を高くすれば、阻害の影響は小さくなる。
活性部位以外の場所に結合して立体構造を変え、働きを妨げることを何という?
非競争的阻害
基質濃度を上げても阻害は解消しない。
活性部位とは別の場所(アロステリック部位)に物質が結合して活性が変わる酵素を何という?
アロステリック酵素
代謝の速さを調節する仕組みとして働く。
反応の最終産物が、経路の最初の酵素を阻害することを何という?
フィードバック調節(負のフィードバック)
作りすぎを防ぎ、必要な量で止められる。
酵素の働きを助ける低分子の物質を何という?
補酵素
熱に強く、透析で酵素本体と分けられる。NAD⁺ などが代表。
1 つの細胞の中で、多数の酵素反応が混ざらずに進むのはなぜ?
細胞小器官や膜によって反応の場が分けられているから
酵素の基質特異性と合わせて、経路が整理されている。