みならいノート

数学B 2027年度版

漸化式の活用

みならいノートで覚える(無料)

このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。

学習指導要領 数学B (1) 数列 ア (ウ)「漸化式について理解し,事象の変化を漸化式で表したり,簡単な漸化式で表された数列の一般項を求めたりすること。」。

0. どういうまとまりか

一般項をいきなり求めにくい事象でも、「 回目の状態から 回目の状態がどう決まるか」なら式にしやすいことがあります。
それを漸化式に書き、一般項を求める型(等差型・等比型・階差型・)に当てはめて解きます。
数学Bで一般項まで求めるのは、一次の形の隣接二項間の漸化式です。

事象 漸化式の立て方 型
ローンの残高 利息がついて 倍、返済額 を引く
複利の積立 積み立ててから、利息がついて 倍
図形の個数・領域の分割数 1 つ増やしたときに何個増えるか 階差型
確率 回後の状態で場合分けし、余事象 を使う

分かれ目は次の 3 つ。

1. 事象を漸化式で表す

根拠: 学習指導要領 数学B-(1)-ア-(ウ)

事象の変化を漸化式で表すには、隣り合う回どうしの関係に注目します。

事象を漸化式で表すときの手順は?

①何を とおくかを決める ② から がどう決まるかを式にする ③初項( や )を求める

あとは一般項を求める型に当てはめる。初めの数項を実際に数えて、漸化式と合っているかを確かめるとよい。

円盤 枚のハノイの塔を移すのに必要な最少の移動回数を とする。漸化式と一般項は?

、。一般項

上の 枚を別の棒へ移し( 回)、一番下の 1 枚を移し(1 回)、 枚を上に戻す( 回)。 から 。

2. 図形の個数・領域の分割

根拠: 学習指導要領 数学B-(1)-ア-(ウ)

1 つ増やしたときに増える個数が によって変わるので、階差型の漸化式になります。

どの 2 本も平行でなく、どの 3 本も 1 点で交わらない 本の直線が、平面を 個の部分に分ける。漸化式と一般項は?

、。一般項

本目の直線は、それまでの 本と 個の点で交わり、 個の部分に分けられる。その 1 つ 1 つが領域を 2 つに分けるので、 個増える。

どの 2 つも 2 点で交わり、どの 3 つも 1 点で交わらない 個の円が、平面を 個の部分に分ける。漸化式と一般項は?

、。一般項

個目の円は、それまでの 個の円と 個の点で交わり、 本の弧に分けられる。弧 1 本ごとに領域が 1 つ増える。

3. ローンの残高と複利の積立

根拠: 学習指導要領 数学B-(1)-ア-(ウ)

お金の問題は、利息がつく( 倍)のと、払う・積み立てる( を引く・ を足す)のと、どちらが先かで式が変わります。

円を月利 で借り、1 か月ごとに利息がついた後で 円ずつ返す。 か月後の残高を ()とするときの漸化式は?

利息がついて になり、そこから返済額 を引く。一次の形の隣接二項間の漸化式なので、 から を引いて解く。

上のローンの残高 ()の一般項は?

は初項 、公比 の等比数列。 を初項にしたので、指数は ではなく になる。

毎年初めに 円を積み立て、年利 の複利で増やす。 年末の元利合計を ()とするときの漸化式は?

年の初めに 円を加えてから、1 年分の利息がついて 倍になる。展開すると で、 の形。

4. 確率の漸化式

根拠: 学習指導要領 数学B-(1)-ア-(ウ)

回後の確率から 回後の確率を求める式を作ります。 回後の状態で場合分けし、余事象を使うと の形になります。

確率 の漸化式を立てるときの考え方は?

回後に「その状態にある(確率 )」「ない(確率 )」で場合分けし、それぞれから 回目にその状態になる確率を掛けて足す

余事象を と書くことで文字が だけになり、 の形の漸化式になる。

部屋 A、B があり、1 回ごとに確率 で他方の部屋へ移り、確率 でとどまる。最初 A にいるとき、 回後に A にいる確率 の漸化式と一般項は?

。一般項

。 を引くと、 は から始まる公比 の等比数列。

数学Bで一般項を求める「簡単な漸化式」とはどこまでか?

一次の形の隣接二項間の漸化式( と、等差型・等比型・階差型)

の形、隣接三項間、分数の形などは、これらの型に直す工夫が要る。

【発展】 の形

例えば 、 は、両辺を で割って とおくと になり、 の形に帰着する。
、 から 。よって 。

【発展】隣接三項間の漸化式

例えば 、、 は、 の解 2、3 を使って
、 と 2 通りに変形する。
、 となり、辺々引いて 。

【発展】分数の形の漸化式

例えば 、 は、すべての項が正なので逆数をとれて となる。
は初項 1、公差 2 の等差数列で 。よって 。

練習問題

根拠: 学習指導要領 数学B-(1)-ア-(ウ)

問 1 どの 2 本も平行でなく、どの 3 本も 1 点で交わらない 本の直線がある。交点の個数を とするとき、 を で表し、 を求めよ。

、

方針 交点の個数をいきなり の式で書くのは難しいので、「直線を 1 本増やすと交点が何個増えるか」を考えて漸化式にする。増える個数が によって変わるので、階差型になる。

  1. 本の直線があるところに 本目を引く。どの 2 本も平行でないので、新しい直線はそれまでの 本すべてと 1 点ずつ交わる。
  2. どの 3 本も 1 点で交わらないので、その 個の交点はどれも新しい点。よって
  3. 直線が 1 本のとき交点は無いので、
  4. 階差数列の第 項が なので、 のとき
  5. を代入すると になり、 と一致する。よって でも成り立つ。
  6. 確かめ: 3 本の直線は三角形を作るので、交点は 3 個。式でも で合っている。

ここで間違えやすい 増える個数を としてしまうこと。 本目が交わる相手は、それまでの 本。

問 2 ある薬を毎日 1 回 100 mg 飲む。体内の薬の量は 1 日たつと半分になる。 回目を飲んだ直後の体内の量を mg とするとき、 を で表し、 を求めよ。

、

方針 「 回目を飲んだ直後」から「 回目を飲んだ直後」までに何が起こるかを、順に式にする。できた漸化式は の形なので、 を引いて等比数列に直す。

  1. 回目を飲んだ直後の量は 。1 日たつと半分の になり、そこへ 100 mg を飲むので、
  2. 1 回目を飲んだ直後は、飲んだ 100 mg だけなので、
  3. を解く。 なので、
  4. 漸化式の両辺から 200 を引くと、。右辺を でくくると、
  5. 数列 は公比 の等比数列。初項は で、
  6. よって 。200 を移項して、
  7. 確かめ: 2 回目を飲んだ直後は、残っていた 50 mg と飲んだ 100 mg で 。式に を入れても で合っている。
  8. 引いている はいつも正なので、飲み続けても、体内の量は 200 mg を超えない。

ここで間違えやすい  を 0 や 50 としてしまうこと。 は「飲んだ直後」の量と決めたので、。

問 3 表を上にして置いた硬貨がある。さいころを投げて 1 の目が出たら硬貨を裏返し、それ以外なら何もしない。さいころを 回投げた後に表が上である確率 を求めよ。

方針  回後の確率を直接数えるのは難しいので、「 回後に表か裏か」で場合分けして、 を で表す。裏である確率は余事象で と書けるので、文字は だけになる。

  1. 回後に表になるのは 2 通り。1 つは、 回後に表(確率 )で、1 以外の目が出て表のまま(確率 )。もう 1 つは、 回後に裏(確率 )で、1 の目が出て表になる(確率 )。
  2. 式にすると、
  3. 右辺を整理する。 の係数は なので、
  4. を解く。 なので、
  5. 漸化式の両辺から を引くと、。右辺を でくくると、
  6. 数列 は公比 の等比数列。最初は表なので で、 は
  7. から始めて を 回掛けるので、
  8. を移項して、
  9. 確かめ: で、式に を代入しても 。

ここで間違えやすい 指数を にしてしまうこと。 から数えはじめたので、公比を掛ける回数は 回。

問 4  円を月利 ()で借り、1 か月ごとに利息がついた後で 円ずつ返す。 か月後の残高 ()を求めよ。また、残高が増え続けないための の条件を求めよ。

。条件は

方針 1 か月の間に「利息がつく」「返す」がこの順に起こることを式にすると、 の形の漸化式になる。一般項を出せば、残高が増えるかどうかは の係数の符号で決まる。

  1. か月後の残高 に利息がついて になり、そこから 円を返すので、
  2. を解く。右辺を展開すると で、 なので、
  3. 漸化式から を辺々引くと、 が消えて 。つまり
  4. 数列 は公比 の等比数列。 から始めるので、初項は
  5. 初項に を 回掛けるので、
  6. を移項して、
  7. から なので、 は とともに大きくなる。だから、その係数 が正のとき、残高は増え続ける。
  8. 増え続けないのは のとき。移項して 、両辺に正の数 を掛けて、
  9. は最初の 1 か月分の利息。 なら利息の分だけを返すことになり残高は のまま、 なら減っていく(返し終えられるのはこのとき)。

ここで間違えやすい 指数を にしてしまうこと。 を初項にしたので、指数は 。

問 5 毎年初めに 円を積み立て、年利 ()の複利で増やす。 年末の元利合計 ()を求めよ。

方針 1 年の間に「積み立てる」「利息がつく」がこの順に起こることを漸化式にする。展開すると の形になるので、 を引いて等比数列に直す。

  1. 年末の元利合計 に、次の年の初めに 円を加えて 。これに 1 年分の利息がつくので、
  2. 展開すると、
  3. を解く。右辺を展開すると で、 なので、
  4. 漸化式から を辺々引くと、
  5. 数列 は公比 の等比数列。 から始めるので、初項は
  6. 初項に を 回掛けるので、
  7. を移項すると、
  8. でくくって、
  9. 確かめ: のとき、式の中かっこは なので 。1 年目の初めに積み立てた 円に利息が 1 回ついた額で、合っている。

ここで間違えやすい 漸化式を としてしまうこと。積み立ててから利息がつくので、その年に入れた 円にも が掛かる。

このノートの 10 問を、暗記カードで復習できます

みならいノートで覚える(無料)

答えを隠して出題し、忘れそうなころにもう一度出します。

前 漸化式
数学的帰納法 次

このノートは無償で公開しています。当方は内容の正確性・完全性・最新性を保証しません。学習にあたっては、法令の原文・公式の出題範囲その他の一次資料を必ずご確認ください。試験への合格その他の効果を保証するものでもありません。

本文の転載・再配布はお断りしています(利用規約)。手元に置いて使いたい方は、ストアから Markdown ファイルとして入手できます。