衣食住と生活文化
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「地理探究」A (5) ア (ア) の「生活文化,民族・宗教などに関わる諸事象を基に,それらの事象の空間的な規則性,傾向性」を理解する事項に当たります。
このノートは、衣食住の生活文化が気候・植生・宗教とどう結び付いて分布しているかと、それがグローバル化でどう変わってきたかを扱います。
0. 何を押さえるか
| 地域の環境 | 住 | 衣 | 食 |
|---|---|---|---|
| 熱帯(湿潤) | 高床式の住居 | 風通しのよい薄い衣服 | 米、いも類(キャッサバ・タロいも・ヤムいも) |
| 乾燥帯 | 日干しれんがの住居、遊牧民の移動式住居 | 全身を覆う長い衣服 | 小麦、なつめやし、家畜の乳・肉 |
| 地中海沿岸 | 白い壁の石造りの家 | — | 小麦、オリーブ、ぶどう |
| 寒帯・亜寒帯 | 雪や木材の住居 | 毛皮の衣服 | 狩猟・漁労による肉・魚 |
| 高山(アンデス) | 石造りの家 | 家畜の毛の衣服 | じゃがいも、とうもろこし |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 住居の材料は、その土地で手に入るもので決まりやすい。森林の多い地域は木、樹木の乏しい乾燥地域は土(日干しれんが)
- 主食の分布は、その作物が育つ気候の分布とほぼ重なる。モンスーンアジアの米、乾燥した地域や冷涼な地域の小麦
- グローバル化は生活文化を画一化するだけではない。広まる側が現地の宗教や好みに合わせて変わる(現地化)ことも多い
1. 気候と住居・衣服
根拠: 学習指導要領 地理探究-A-(5)-ア-(ア)
衣服と住居は、暑さ・寒さ・湿気・日差しといった気候の条件から身を守るためのくふうとして地域ごとに形を変えてきました。
熱帯の湿潤な地域で、床を地面から離して高く上げた住居が多いのはなぜ?
湿気や熱を逃がし、風通しをよくするため
浸水や害虫・動物を避ける役割もある。
西アジアや北アフリカの乾燥地域で、伝統的な住居の材料に使われてきたものは?
日干しれんが
土を型に入れて日光で乾かしたもので、樹木の乏しい乾燥地域でも手に入る。壁を厚くして窓を小さくし、昼の暑さを室内に入れにくくする。
乾燥地域の伝統的な衣服が、暑いのに全身をゆったり覆う形をしているのはなぜ?
強い日差しと砂ぼこり、昼夜の大きな寒暖差から身を守るため
薄着にすると直射日光で体温が上がり、汗も急に蒸発してしまう。
モンゴルの遊牧民が使う、組み立てて運べる移動式の住居を何という?
ゲル
家畜の群れとともに草地を移動する遊牧の暮らしに合わせたもの。
地中海沿岸の家々で、壁が白く塗られていることが多いのはなぜ?
夏の強い日差しを反射し、室内を涼しく保つため
地中海性気候の夏は高温で乾燥し、日差しが強い。
アンデス高地の人々が衣服の材料にしてきた毛は、どの家畜のもの?
アルパカ(リャマ)
寒冷な高地で、毛織物のポンチョを着る。リャマは荷物の運搬にも使われてきた。
2. 主食と食文化の分布
根拠: 学習指導要領 地理探究-A-(5)-ア-(ア)
主食は、その土地で育てやすい作物から生まれました。
主食の分布を見ると、気候区分の分布とよく重なります。
米を主食とする地域が、東アジアから南アジアにかけて広がっているのはなぜ?
夏の季節風(モンスーン)がもたらす高温多雨が、稲作に適しているから
この地域はモンスーンアジアと呼ばれる。
熱帯の地域で主食とされてきた、キャッサバ・タロいも・ヤムいもなどをまとめて何という?
いも類
高温多雨で育てやすい。キャッサバは南アメリカ原産で、アフリカなどに広まった。
メキシコで主食とされてきた、とうもろこしの粉を薄く焼いたものを何という?
トルティーヤ
とうもろこしはアメリカ大陸原産の作物。
小麦を主食とする地域でも、パンのほか、インドのナンや中国北部の麺・饅頭(マントウ)など食べ方が違うのはなぜ?
同じ作物でも、それぞれの地域の歴史や調理の習慣によって加工の仕方が異なるから
主食の作物は自然条件で、食べ方は文化で決まる面が大きい。
3. 生活文化の広がりとグローバル化
根拠: 学習指導要領 地理探究-A-(5)-ア-(ア)
人や物、情報の移動が活発になると、ある地域の生活文化が世界に広まる一方で、広まった先の条件に合わせて形を変えます。
移民が移り住んだ先に故郷の食文化を持ち込み、それが現地の食文化の一部になることもあります。
世界に店を広げる外食チェーンが、進出先の宗教や好みに合わせて商品を変えることを何という?
現地化(ローカライゼーション)
たとえばインドでは、ヒンドゥー教徒が口にしない牛肉を使わないハンバーガーが売られている。
イギリスでカレーが身近な料理になったのは、どのような人の移動と関わる?
植民地だったインドなど南アジアからの移民
移民が持ち込んだ食文化が、移住先の生活文化の一部になった例。
2013 年に「和食;日本人の伝統的な食文化」が登録された、UNESCO の制度は?
無形文化遺産
建物や自然を対象とする世界遺産とは別の制度で、慣習や食文化など形の無い文化を対象とする。
グローバル化で世界中に同じ商品や店が広まる一方、伝統的な生活文化を守ろうとする動きもある。この 2 つの傾向をまとめると?
生活文化の画一化(均質化)と、地域の個性の見直し
たとえばファストフードの広まりに対して、地域の食材や伝統料理を見直すスローフードの動きがある。