海洋と大気の相互作用
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「地学」の内容 (3) ア (イ) ㋑「海水の運動」。
告示は「海洋と大気の相互作用について理解すること」を求め、内容の取扱いは
地球上の水の分布と循環にも触れることを求めている。
0. どういう論点か
大気と海は一方通行ではなく、互いに影響し合っています。
その代表がエルニーニョ現象で、大気(貿易風)の変化から始まって海が変わり、
その海がまた大気を変えるという順序が問われます。
| 平常時 | エルニーニョ発生時 |
|---|---|
| 貿易風が強く、暖水が西部(インドネシア側)に吹き寄せられる | 貿易風が弱まり、暖水が東へ広がる |
| ペルー沖で湧昇があり、冷たく栄養塩が豊富 | 湧昇が弱まり、東部の海面水温が上がる |
| 西部で上昇気流=多雨 | 対流の位置が東へずれ、世界の天候が変わる |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- エルニーニョ現象は「貿易風が弱まる」ことから始まる
- ラニーニャ現象はその逆(貿易風が強まり、東部の水温が下がる)
- 地球上の水の 97 % 以上は海水(淡水はごくわずか)
1. 海と大気のやり取り
根拠: 学習指導要領 地学-(3)-ア-(イ)-㋑
海が大気に与えているものを 3 つ挙げると?
水蒸気(潜熱)、熱、二酸化炭素などの気体
海面は地球表面の 7 割を占める。
大気が海に与えているものを 2 つ挙げると?
風(表層の海流をつくる)と、冷却・加熱による水温の変化
降水と蒸発で塩分も変える。
海が「気候の緩衝装置」として働くのはなぜ?
水の比熱が大きく、大量の熱を蓄えられるから
だから海に近い地域は寒暖の差が小さい。
海洋が蓄えている熱の変化が気候にとって重要なのはなぜ?
大気よりはるかに大きな熱容量をもち、長期の気候変動を左右するから
温暖化で増えた熱の 9 割以上は海が吸収している。
2. エルニーニョ現象とラニーニャ現象
根拠: 学習指導要領 地学-(3)-ア-(イ)-㋑
エルニーニョ現象とは?
太平洋赤道域の東部(ペルー沖)で、海面水温が平年より高い状態が続く現象
数年おきに起こり、1 年ほど続く。
エルニーニョ現象はどうやって始まる?
貿易風(東風)が弱まり、西部にたまっていた暖水が東へ広がるから
同時に東部の湧昇が弱まる。
エルニーニョのとき、ペルー沖の漁業はどうなる?なぜ?
漁獲が減る。湧昇が弱まって栄養塩が供給されないから
「エルニーニョ(神の子)」の名は漁師が付けた。
ラニーニャ現象とは?
貿易風が強まり、太平洋赤道域の東部の海面水温が平年より低くなる現象
エルニーニョと逆の状態。
エルニーニョ現象は、なぜ遠く離れた地域の天候まで変える?
上昇気流(積乱雲が集まる場所)の位置が東へずれ、大気の大循環全体が変わるから
大気を通じて世界中に影響が及ぶ(テレコネクション)。
エルニーニョの年、日本の天候はどうなる傾向がある?
冷夏・暖冬になりやすい
太平洋高気圧の張り出しが弱まる。
エルニーニョ現象が「相互作用」の例といえるのはなぜ?
大気の変化(風)が海を変え、変わった海面水温がまた大気の循環を変えるから
どちらが原因とも言い切れない関係になっている。
3. 地球上の水の分布と循環
根拠: 学習指導要領 地学-(3)-ア-(イ)-㋑
地球上の水の分布と循環は、量の大小を押さえるのが先です。
地球上の水のうち、海水の割合は?
約 97.5 %
淡水は 2.5 % ほどしかない。
淡水のうち、もっとも多いのはどこにある水?
氷河・氷床(淡水の約 7 割)
次が地下水で、河川や湖の水はごくわずか。
水の循環を駆動しているエネルギーは?
太陽放射(と重力)
蒸発させるのが太陽、落とすのが重力。
地球全体では、蒸発量と降水量はどんな関係?
等しい(釣り合っている)
ただし海では蒸発が多く、陸では降水が多い。
海で蒸発が降水を上回っているのに、海水が減らないのはなぜ?
陸から河川や地下水として水が戻ってくるから
差の分が陸から海への流れになる。
水の循環は、地形の形成とどう関わる?
降水と流水が風化・侵食・運搬・堆積を引き起こす
単元 04 の地表の変化の原動力になっている。
大気中の水(水蒸気)の量は全体のごく一部だが、なぜ重要?
入れ替わりが速く(平均約 10 日)、潜熱として大量の熱を運ぶから
量ではなく回転の速さが効く。