化学が築く未来
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「化学」の内容 (5) ア (ア) ㋑「化学が築く未来」。
告示は「化学の成果が様々な分野で利用され、未来を築く新しい科学技術の基盤となっていることを
理解すること」を求めており、解説は資源・エネルギー・情報・生命・環境・材料に関連する先端の化学を
例に挙げている。
0. どういう論点か
この論点は覚えるためのものではなく、方向を知るためのものです。
ここに挙げた技術はどれも進行中で、数値や達成の度合いは動きます。
ですからカードにしているのは「何を目指している技術か」だけで、性能や年号は入れていません。
| 分野 | 化学が担っていること |
|---|---|
| 資源 | 少ない元素で同じ働きを出す(元素戦略) |
| エネルギー | 蓄える・変換する(次世代型蓄電池・燃料電池) |
| 材料 | 炭素だけで違う性質を出す(カーボンナノチューブ・グラフェン) |
| 環境 | 作る過程から負荷を減らす(グリーンサスティナブルケミストリー) |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 元素戦略は「代替」と「減量」(希少な元素を、ありふれた元素で置き換える)
- 同じ炭素の単体から、フラーレン・カーボンナノチューブ・グラフェンが作られる(構造が違う)
- グリーンケミストリーは「出たものを処理する」ではなく「出さない作り方にする」
1. 資源とエネルギー
根拠: 学習指導要領 化学-(5)-ア-(ア)-㋑
元素戦略とは、どんな考え方?
希少な元素を、ありふれた元素で置き換えたり、使う量を減らしたりして資源を有効に使うこと
レアアースやレアメタルへの依存を下げる。
触媒の開発が資源の問題に効くのはなぜ?
少ない量で反応を進められ、より穏やかな条件で作れるようになるから
白金のような希少な金属を使わない触媒の研究も進んでいる。
次世代型蓄電池に求められている性質は?
同じ重さ・体積でより多くのエネルギーを蓄え、長く安全に使えること
再生可能エネルギーの利用にも、電気自動車にも欠かせない。
再生可能エネルギーの利用で、化学が担っている役割は?
発電の量が変動するぶんを蓄えたり、別のエネルギーに変換したりすること
蓄電池や、水素として蓄える技術がその例。
人工光合成が目指しているのは?
光のエネルギーで、水や二酸化炭素から有用な物質を作ること
植物が行っていることを人工的に実現しようとしている。
2. 材料と情報
根拠: 学習指導要領 化学-(5)-ア-(ア)-㋑
フラーレン・カーボンナノチューブ・グラフェンの共通点は?
どれも炭素だけからできた同素体
構造(球状・筒状・シート状)の違いで性質が変わる。
カーボンナノチューブが注目されているのはなぜ?
非常に強く、電気も熱もよく伝えるから
構造によって導体にも半導体にもなる。
超伝導とは?
ある温度以下で電気抵抗が 0 になる現象
送電の損失を無くしたり、強い磁場を作ったりできる。
分子を用いる情報素子が目指しているのは?
分子 1 個を素子として使い、極限まで小さくすること
半導体の微細化の限界を超える手がかりとされている。
大規模な量子化学計算で何ができるようになった?
実験の前に、物質の性質や反応をコンピュータで予測すること
作る前に候補を絞れるので、開発が速くなる。
3. 生命と環境
根拠: 学習指導要領 化学-(5)-ア-(ア)-㋑
ケミカルバイオロジーとは、どんな分野?
化学の手法で生命現象を調べ、制御しようとする分野
化学と生命科学を融合したもので、創薬にもつながる。
グリーンサスティナブルケミストリーの考え方は?
環境への負荷を、出てから処理するのではなく、作る過程から減らすこと
溶媒・触媒・原料の選び方から見直す。
原子効率(アトムエコノミー)とは?
原料の原子のうち、どれだけが目的の生成物になったかの割合
副生成物が少ない反応ほど高い。
高感度の機器分析が科学捜査に使えるのはなぜ?
ごく微量の物質でも同定できるから
環境中の汚染物質の検出にも使われる。
化学が果たす役割を考えるとき、「できること」と同時に見るべきものは?
資源・環境・安全への影響
新しい物質を作る力は、負荷を増やす方向にも働く。