ヘスの法則
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「化学」の内容 (2) ア (ア) ㋐「化学反応と熱・光」。
内容の取扱いは「ヘスの法則を扱うこと」を求めており、解説は
「ヘスの法則を用いることにより測定が困難な反応熱を求められる」ことを挙げている。
0. どういう論点か
エンタルピー変化は、途中の道すじによらず、始めと終わりだけで決まります。
これがヘスの法則で、直接測れない反応熱を計算で出すために使います。
炭素から一酸化炭素を作る反応のように、途中で止められない反応は直接測れません。
そこで「炭素 → 二酸化炭素」と「一酸化炭素 → 二酸化炭素」という測れる 2 つから引き算します。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- ヘスの法則が成り立つのは、始めと終わりの状態が同じとき(状態の指定を揃える)
- 反応式を逆向きにしたら、ΔH の符号も逆にする
- 生成エンタルピーから求める式は 「生成物の和 − 反応物の和」(向きを逆にしない)
1. 法則そのもの
根拠: 学習指導要領 化学-(2)-ア-(ア)-㋐
ヘスの法則(総熱量保存の法則)とは?
反応エンタルピーは、反応の経路によらず、始めと終わりの状態だけで決まる
途中で何段階を通っても、合計は同じになる。
ヘスの法則が役に立つのはどんなときか?
直接測定できない反応の反応熱を求めるとき
炭素の不完全燃焼のように、途中で止められない反応がその例。
反応式を逆向きに書き直すと、ΔH はどうなる?
符号が逆になる(絶対値は同じ)
行きと帰りで、出入りするエネルギーの向きだけが変わる。
2 つの反応式を足し合わせるとき、ΔH はどう扱う?
同じように足し合わせる
式を何倍かしたときは、ΔH も同じ倍率にする。
2. 生成エンタルピーから求める
根拠: 学習指導要領 化学-(2)-ア-(ア)-㋐
一度この式にしてしまえば、連立方程式を解かずに済みます。
単体を基準(0)にそろえた高さの差を計算しているだけです。
生成エンタルピーから反応エンタルピーを求める式は?
ΔH = (生成物の生成エンタルピーの和)−(反応物の生成エンタルピーの和)
引く向きを逆にすると符号が反転するので注意。
この式で、反応物に単体が含まれているときはどう扱う?
単体の生成エンタルピーは 0 なので、そのまま 0 として足す
酸素 O₂ や黒鉛 C はここで消える。
燃焼エンタルピーから反応エンタルピーを求める式は?
ΔH = (反応物の燃焼エンタルピーの和)−(生成物の燃焼エンタルピーの和)
生成エンタルピーのときと引く向きが逆になる。
なぜ燃焼エンタルピーのときだけ引く向きが逆になるのか?
基準が「燃やしきった状態(CO₂ や H₂O)」で、下向きにそろえているから
生成エンタルピーは単体を下の基準、燃焼エンタルピーは燃焼後を下の基準にしている。
3. エネルギー図で考える
根拠: 学習指導要領 化学-(2)-ア-(ア)-㋐
エネルギー図で、発熱反応の生成物は反応物より上と下のどちらに書く?
下
エネルギーが減ったぶんが熱として出ていくので、低い位置になる。
エネルギー図の矢印の長さは何を表す?
エンタルピー変化の大きさ(絶対値)
向き(上向きか下向きか)が符号にあたる。
黒鉛とダイヤモンドの生成エンタルピーが違うのはなぜ?
同素体で、もっている化学エネルギーが違うから
基準に選ぶのは安定な黒鉛のほう(こちらが 0)。
測定が困難な反応熱を求める実験を組み立てるとき、必要なのは?
同じ始点と終点をつなぐ、測定可能な別の経路
その経路上の反応熱をすべて測れば、目的の値が計算で出る。