金属のイオン化傾向と電池
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「化学基礎」の内容 (3) ア (イ) ㋑「酸化と還元」。
内容の取扱いが「金属のイオン化傾向やダニエル電池の反応にも触れること」を求めている部分にあたる。
0. どういう論点か
金属が陽イオンになりやすい順を イオン化傾向といいます。
この 1 列で、金属と水・酸との反応も、電池の向きも決まります。
Li K Ca Na Mg Al Zn Fe Ni Sn Pb (H) Cu Hg Ag Pt Au
←──── 陽イオンになりやすい(=酸化されやすい・還元剤として強い)
| どこまでか | 反応 |
|---|---|
| Li〜Na | 常温の水と反応して水素を発生 |
| Mg〜Pb | 酸(塩酸・希硫酸)と反応して水素を発生 |
| Cu・Hg・Ag | 塩酸には溶けないが、硝酸や熱濃硫酸には溶ける |
| Pt・Au | 王水にしか溶けない |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 水素より左の金属だけが塩酸に溶ける(銅は塩酸に溶けない)
- 電池の負極になるのはイオン化傾向の大きいほう(溶けるほうが負極)
- 負極では酸化、正極では還元が起こる
1. イオン化傾向
根拠: 学習指導要領 化基-(3)-ア-(イ)-㋑
金属が水溶液中で陽イオンになりやすい性質を何という?
イオン化傾向
大きいほど電子を失いやすく、酸化されやすい。
イオン化傾向が大きい金属は、酸化されやすいか、されにくいか?
されやすい(=還元剤としてはたらきやすい)
電子を出す側になりやすい。
イオン化傾向の順を、リチウムから金まで言うと?
Li K Ca Na Mg Al Zn Fe Ni Sn Pb (H) Cu Hg Ag Pt Au
水素を目印として並びに入れておく。
常温の水と反応して水素を発生する金属はどこまで?
Li・K・Ca・Na(イオン化傾向がとくに大きいもの)
マグネシウムは熱水と、アルミニウム・亜鉛・鉄は高温の水蒸気と反応する。
塩酸や希硫酸に溶けて水素を発生する金属は、どこまで?
水素(H)より左にある金属
Mg・Al・Zn・Fe・Ni・Sn・Pb など。
銅・水銀・銀が塩酸には溶けないのに、硝酸には溶けるのはなぜ?
塩酸の H⁺ では酸化できないが、硝酸は酸化力の強い酸として金属を酸化できるから
このとき発生する気体は水素ではない。
白金や金を溶かすことができるのは?
王水(濃硝酸と濃塩酸を 1 : 3 で混ぜたもの)
イオン化傾向が最も小さく、反応しにくい。
硫酸銅(Ⅱ)水溶液に亜鉛板を入れると、何が起こる?
亜鉛が溶け、銅が析出する
亜鉛のほうがイオン化傾向が大きいので、電子を渡して自分が陽イオンになる。
硫酸亜鉛水溶液に銅板を入れると、何が起こる?
何も起こらない
銅は亜鉛よりイオン化傾向が小さく、電子を渡せない。
2. 電池
根拠: 学習指導要領 化基-(3)-ア-(イ)-㋑
電池とは、どんな装置か?
酸化還元反応で放出される化学エネルギーを、電気エネルギーとして取り出す装置
電子の移動を導線を通して起こさせる。
電池の負極・正極では、それぞれどんな反応が起こる?
負極で酸化(電子を失う)、正極で還元(電子を受け取る)
電子は導線を負極 → 正極へ流れる。
2 種類の金属を電解液に入れて電池をつくると、どちらが負極になる?
イオン化傾向の大きいほう
溶けて陽イオンになる側が負極。
ダニエル電池は、どんな組み合わせでできている?
負極に亜鉛板と硫酸亜鉛水溶液、正極に銅板と硫酸銅(Ⅱ)水溶液
2 つの水溶液は素焼き板(セロハン)で仕切る。
ダニエル電池の負極と正極で起こる反応は?
負極: Zn → Zn²⁺ + 2e⁻(酸化)/正極: Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu(還元)
亜鉛板は溶けて軽くなり、銅板には銅が析出して重くなる。
ダニエル電池で 2 つの水溶液を素焼き板で仕切るのはなぜ?
2 つの溶液が混ざるのを防ぎながら、イオンを通して電気的なつり合いを保つため
混ざると亜鉛板の表面で直接反応してしまい、電流が取り出せない。
充電できない電池と、充電できる電池をそれぞれ何という?
一次電池(充電できない)と二次電池(蓄電池)(充電できる)
マンガン乾電池は一次電池、鉛蓄電池やリチウムイオン電池は二次電池。
水素と酸素の反応から電気を取り出す電池を何という?また、生成物は?
燃料電池。生成物は水だけ
酸化還元反応を電池として使う代表例。