標本調査
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 第 3 学年 D データの活用 (1) 標本調査 ア (ア)「標本調査の必要性と意味を理解すること」と
(イ)「コンピュータなどの情報手段を用いるなどして無作為に標本を取り出し,整理すること」。
0. 何を押さえるか
調べたい集団の全部を調べるのが全数調査、一部を取り出して調べ、全体の傾向を推定するのが標本調査です。
全部を調べると時間や費用がかかりすぎたり、調べると製品がこわれてしまったりするとき、標本調査を使います。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 母集団 | 調査の対象となる集団全体 |
| 標本 | 母集団から取り出した一部 |
| 標本の大きさ | 標本にふくまれるものの個数 |
| 無作為に抽出する | かたよりのないように、母集団から標本を取り出すこと |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 全数調査か標本調査かは、「全員を調べる必要があるか」「調べられるか」で決まる(健康診断は全数、品質検査は標本)
- 標本は無作為に抽出する。自分で選んだり、集まりやすい人だけに聞いたりすると、かたよる
- 推定は比で行う。標本での割合が、母集団でもほぼ同じと考える
1. 全数調査と標本調査
根拠: 学習指導要領 中3-D-(1)-ア-(ア)
国勢調査は、国の人口や世帯の実態を正確につかむために、全員を対象にする全数調査です。
一方、テレビの視聴率や世論調査のように、全員を調べるのが現実的でない調査は標本調査で行います。
全数調査と標本調査の違いは?
全数調査は対象の全部を調べる。標本調査は一部を取り出して調べ、全体を推定する
標本調査は、時間・費用・手間を減らせる。
母集団・標本とは何か?
母集団は調査の対象となる集団全体、標本は母集団から取り出した一部
標本にふくまれるものの個数を標本の大きさという。
学校の健康診断は、全数調査・標本調査のどちらが適するか?
全数調査
一人ひとりの健康状態を知ることが目的なので、全員を調べる必要がある。国勢調査も全数調査。
工場の製品の品質検査(たとえば電球の寿命)は、全数調査・標本調査のどちらが適するか?
標本調査
全部を調べると、売る製品が残らなくなる(調べるとこわれる)。
内閣の支持率などの世論調査は、全数調査・標本調査のどちらで行われるか?
標本調査
全国民に聞くのは時間も費用もかかりすぎる。
2. 無作為に抽出する
根拠: 学習指導要領 中3-D-(1)-ア-(イ)
標本が母集団の傾向をよく表すためには、かたよりなく取り出す必要があります。
番号をつけて、乱数さい・乱数表・コンピュータの乱数などを使って選ぶのが、無作為に抽出する方法です。
「無作為に抽出する」とはどういうことか?
母集団のどれもが同じ程度に選ばれる可能性があるように、かたよりなく標本を取り出すこと
調べる人の考えが入らないようにする。
無作為に抽出するために使う道具の例は?
乱数さい・乱数表・コンピュータ(表計算ソフトなど)の乱数
母集団に番号をつけ、出た乱数の番号のものを選ぶ。
全校生徒の睡眠時間を調べるのに、3 年生だけから標本を選ぶのが適切でない理由は?
標本がかたよるから(学年によって生活のしかたが違う)
全校生徒から無作為に選ぶ必要がある。
「駅前で、声をかけやすそうな人を選んで聞く」調査の問題点は?
選ぶ人の考えが入り、無作為に抽出したことにならない
その場所・その時間にいる人だけに限られることも、かたよりの原因になる。
3. 標本から母集団を推定する
根拠: 学習指導要領 中3-D-(1)-ア-(イ)
無作為に抽出した標本では、ある性質をもつものの割合は、母集団での割合とほぼ等しいと考えられます。
これを使って、母集団の数量を比で推定します。
標本調査で母集団の数量を推定するとき、どんな考えを使うか?
標本での割合と、母集団での割合がほぼ等しいとみる(比の考え)
たとえば「母集団の総数 : その中の数 = 標本の大きさ : 標本の中の数」。
標本の大きさを大きくすると、推定はどうなりやすいか?
母集団の傾向に近くなりやすい(ばらつきが小さくなる)
小さい標本では、たまたま選ばれたものに結果が左右されやすい。
練習問題
問 1 次の調査は、全数調査と標本調査のどちらが適しているか。
(1) 国勢調査 (2) 缶詰の中身の検査 (3) 学校で行う視力検査 (4) テレビの視聴率調査
(1) 国勢調査 (2) 缶詰の中身の検査 (3) 学校で行う視力検査 (4) テレビの視聴率調査
(1) 全数調査 (2) 標本調査 (3) 全数調査 (4) 標本調査
方針 「全部を調べる必要があるか」「全部を調べられるか」の 2 つで決める。一人ひとりの結果が必要なら全数調査。全部調べると品物がなくなる、または手間がかかりすぎるなら標本調査。
- (1) 国勢調査は、国の人口や世帯の実態を正確につかむための調査で、全員を対象にする。全数調査。
- (2) 缶詰は、開けて調べると売れなくなる。全部を調べると売る缶詰が残らないので、一部だけを調べる。標本調査。
- (3) 視力検査は、一人ひとりの視力を知ることが目的なので、全員を調べる必要がある。全数調査。
- (4) 視聴率は、全世帯を調べるのが現実的でない(時間も費用もかかりすぎる)。一部の世帯を調べて全体を推定する。標本調査。
問 2 ある中学校の生徒 600 人から無作為に 40 人を選んで調べたところ、1 か月に本を 10 冊以上読んだ生徒は 6 人だった。全校でおよそ何人と推定できるか。
およそ 90 人
方針 無作為に選んだ標本では、10 冊以上読んだ生徒の割合が、全校でもほぼ同じと考える。だから、標本での割合を求めて、全校の人数にかける。
- 標本での割合を求める。40 人のうち 6 人なので、
- 全校の 600 人でも、同じ割合とみる。人数は
- 先に 20 でわる。
- 3 をかける。
- 全校では、およそ 90 人と推定できる。
- 確かめ(別の見方)。全校は標本の (倍)なので、人数も 15 倍して 。同じ答えになる。
問 3 池の魚の数を調べるため、80 匹をつかまえて印をつけて池にもどした。数日後に 60 匹をつかまえると、印のついた魚が 12 匹いた。池の魚はおよそ何匹と推定できるか。
およそ 400 匹
方針 印のついた魚は、池の中によく混ざっている。だから、印のついた魚の割合は、池全体でも、2 回めにつかまえた 60 匹でも、ほぼ同じと考える。池全体を 匹として、比の式をつくる。
- 池全体を 匹とする。池全体では、 匹のうち印のついた魚は 80 匹。
- 2 回めにつかまえた魚では、60 匹のうち印のついた魚は 12 匹。
- 「全体 : 印のついた魚」の比が等しいとみる。
- 比の性質(外側どうしの積と、内側どうしの積は等しい)を使う。
- 右辺を計算する。 なので、
- 両辺を 12 でわる。
- 池の魚は、およそ 400 匹と推定できる。
ここで間違えやすい 比の左右で順をそろえる。左が「全体 : 印つき」なら、右も「全体(60): 印つき(12)」の順にする。
問 4 袋の中に白い碁石がたくさん入っている。そこに黒い碁石 60 個を入れてよく混ぜ、無作為に 50 個取り出したところ、黒い碁石が 6 個ふくまれていた。袋の中の白い碁石はおよそ何個と推定できるか。
およそ 440 個
方針 入れた黒い碁石を「印」と見る(問 3 の魚と同じ考え)。混ぜたあとの袋全体を 個として、黒い碁石の割合が、袋全体と取り出した 50 個とで同じとみる。求めるのは白い碁石なので、最後に黒い碁石の 60 個をひく。
- 混ぜたあとの袋の中の碁石全体(白と黒の合計)を 個とする。そのうち黒い碁石は 60 個。
- 取り出した碁石では、50 個のうち黒い碁石は 6 個。
- 「全体 : 黒い碁石」の比が等しいとみる。
- 比の性質(外側どうしの積と、内側どうしの積は等しい)を使う。
- 右辺を計算する。 なので、
- 両辺を 6 でわる。
- これは白と黒の合計なので、黒い碁石の 60 個をひく。白い碁石は (個)
ここで間違えやすい は黒い碁石をふくんだ数。ここで止めて「500 個」と答えない。
問 5 箱に入ったみかん 2000 個から無作為に 50 個を取り出したところ、傷のあるものが 3 個あった。箱全体で傷のあるみかんはおよそ何個と推定できるか。
およそ 120 個
方針 無作為に取り出した 50 個での「傷のあるみかんの割合」が、箱全体でもほぼ同じと考える。標本での割合を求めて、箱全体の個数にかける。
- 標本での割合を求める。50 個のうち 3 個なので、
- 箱全体の 2000 個でも、同じ割合とみる。個数は
- 先に 50 でわる。
- 3 をかける。
- 箱全体では、傷のあるみかんはおよそ 120 個と推定できる。
問 6 市の図書館の利用者を対象に「市民は 1 か月に平均何冊本を読むか」を調べた。この調査の結果から市民全体の傾向を推定するのが適切でない理由を答えよ。
図書館の利用者は、本をよく読む人にかたよっているから
方針 標本調査で全体を推定できるのは、標本が母集団からかたよりなく(無作為に)選ばれているときだけ。そこで、母集団は何か、標本はだれかをはっきりさせて、かたよりがないかを見る。
- 知りたい集団(母集団)は、市民全体。
- 実際に調べた人(標本)は、図書館の利用者。
- 図書館に来る人には、本をよく読む人が多いと考えられる。本をあまり読まない人は、標本に入りにくい。
- 標本がかたよっていて、母集団(市民全体)から無作為に選んだ標本になっていない。
- このため、結果は市民全体よりも多めに出やすく、市民全体の傾向を推定するのは適切でない。